第15話 ドクからの依頼

4044 7 25 8:42

セベラル王国 南町 ギルド

赤木

今日はクエストの仕事は休みで、俺は一人でギルドの椅子に座っていた。

今日は定休日だから、一人で銃の点検をしている。

前回の討伐クエストで、モンスターの攻撃で、M4A1が一部壊れ、今は直せるところを精一杯直している。

が、パーツ多くて直しようがないので、後で武器屋に行って、修理代払って直すか。

M4A1と工具をデバイスでしまい、今度は右腰のHK45自動拳銃を出す。

スライドを引いて、状態を確認して、しまう。

よし、整備終わり。さて、武器屋に行くか。

ライフル直しに。

と席を立つと、

「おい!俺に従えよ!」

「嫌よ!離して!!」

何やらトラブル発生。

やれやれ、仕方ない。

周りが騒ぐ中、俺はトラブルの発生源の二人の元に向かう。

「おいおい、落ち着けよ」

「あ?誰だ!」

「一介のDランク冒険者さ。トラブっているあんたらを見つけてな。何揉めていやがる?」

「お前には関係ないだろ!」

はぁ……またお決まりのセリフだな。

「確かにな。だが、放っておけない。お嬢ちゃん、何で揉めているんだ?」

「この人、Bランク冒険者ですけど、何度も求婚を迫ってきて、しかも今日は特に強引で、私を連れ込もうとしたんです!」

「ほう。ホントか?」

「俺はBランク冒険者だ!それなりに実力がある!だから俺が好意で仲間にしてやると言ったのに、この女!」

「ひっ!」

「おいおい。彼女を怖がらせるなよ。それでも冒険者か?」

「うるさい!!」

男は腰からM9自動拳銃を出し、俺に向ける。

「キャー!!」

「おい!こいつ銃を出したぞ!」

「やばい!撃つ気か?」

周りの野次馬が騒ぐ。

それにしても、珍しい銃持ちの冒険者か。

撃たせたらマズいな。

「落ち着けよ。その拳銃をしまって、紳士的に話そうぜ、な?」

銃を下ろすよう言ったが、怒りで俺の声が聞こえていないようだ。

面倒くさ-。話が通じないのはかなり面倒くさい。

どうしよう……ん?

男の拳銃のセーフティが掛かったままなのを目撃した。

ラッキー!だったら、

「分かったよ。俺が拳銃貰うから、渡せよ」

少しずつ男に近づく。

「この野郎!俺を馬鹿にしやがって!」

「その拳銃で何を撃つ気だ?夢と希望か?」

「何だと!?」

男が油断し、銃口をそらした隙に拳銃を掴み、男の顔をエルボーして、手を掴みながら前に倒した。

「ぐおあ!」

男から拳銃を強奪する。

「アマチュアめ」

拳銃のマガジンを落とし、薬室の9ミリ弾を排莢し、撃てなくした。

「セーフティを心掛けているのは良いことだが、いざ撃つって時にはセーフティをオフにしろよ」

「く、クソ」

よろめきながら立ち上がる男。

「まだやる気か?これ以上は止めた方がいいぞ」

「あ?」

「周りを見ろよ」

周りの野次馬のほとんどが冒険者だ。彼らは警戒して武器を構えている。

もし暴れたら、彼らに袋叩きされる。

「そんな状況なら、大人しく投降しろよ」

「…………」

男は不利だと悟ってか、すっかり大人しくなり、周りの冒険者に連行された。

「あ」

落としたマガジンと薬莢を拾い、マガジンに薬莢を込めて、拳銃に装填し、後ろ腰のホルスターに収める。

どうせ奴にはもう必要ない拳銃だ。

「あ、あの!」

「ん?」

さっきの冒険者の女の子か。

「あ、ありがとうございます!おかげで助かりました!」

「おう。また困ったことがあったら、南町のシェアハウスに行け。いいな?」

「はい!」

冒険者の女の子からお礼を貰い、トラブルを解決した俺はギルドを出て、武器屋に向かった。

若干視線が集まっていたが、気にせずに武器屋に向かった。







「あんた、これは無理だ」

「マジかよ……」

武器屋のおっちゃんにM4A1を見せたが、修理は無理だと言われた。

「銃の内部がほとんど使い物にならなくなっている。これは俺でも無理だ。買い換えるなら、今一丁あるぞ」

「ああ……また今度にするわ。とりあえずありがとうな」

銃を受け取り、デバイスでストレージにしまう。

はあ……お気に入りのライフルが……

「結構ヘコんでいるな。気に入っていたのか?」

「まあ、十年以上使っていたライフルなんでな……俺が最初に使ったライフルなんだよ」

ゲームで初期武器としてあったM4A1。

何気に気に入っていたんだよなあ。

廃銃になって、ちょっとショック。

はあ……

ため息をつく。

と、店内の左奥に「Shooting Room」と書かれたドアを見つけた。

「おっちゃん、あの部屋って……」

「ん?ああ、買った客が試し撃ちする為の室内射撃場だ。一応撃ちたい奴でも気軽に出来るぜ」

「いくらだ?」

「一時間で銀貨十枚だ」

「ちょうど良い。気分晴らしに撃ってみるか」

「分かった。だが、金は前払いだ」

「あいよ」

おっちゃんに銀貨十枚を出す。

「毎度。じゃ、付いて来い」

おっちゃんに案内され、室内射撃場のドアを開け、中に入る。

中はコンクリート壁で、三十メートル射場が目の前にあった。

電球で薄く照らされ、下に何発ものからの薬莢が落ちていた。

射場で撃っている人を見かける。

平民らしき男性、冒険者の男、撃っている奴は様々だ。

「……ん?」

一人射場で撃っている奴で、俺が気になった奴がいた。

GIGNの戦闘服を着て、フランス製のコンバットアーマーを着込み、目出し帽に防弾フェイスバイザーを付けた男がFN社製のP9自動拳銃を撃っている。

あいつ……この国の特殊部隊か?それとも……

「おい。どこで撃つんだ?」

おっちゃんに声を掛けられ、どの射座で撃つか決める。

「うーん、あいつの隣にしてもらえるか?」

俺はGIGNの戦闘服を着た男の右隣の射座を指差す。

「そいつの隣か?分かった。そこに行って、適当に一時間撃ってこいよ」

「ありがと」

「あと、ヘッドホンを付け忘れるなよ」

「分かっているよ」

言われた後、すぐデバイスで軍用ヘッドホンを出し、それを付ける。

俺はおっちゃんと別れ、射座につく。

さて、腰のHK45から撃とうか。

腰のHK45を出し、スライドを引いて、十五メートル離れたターゲットを狙う。

おりゃ!

散発的に拳銃を撃ち、ターゲットの真ん中を狙い、撃ち抜いていく。

全弾撃ちきり、横にあるボタンで、丸のターゲットを引き寄せる。

うわ、ほとんど真ん中かよ。サバゲーの頃はもうちょっと命中精度低かったのに。

隣の特殊部隊員のターゲットを見る。

ほぼ真ん中!しかも、俺より早く撃っている!

特殊部隊員が拳銃をリロードし、スライドストップを下げ、スライドを戻した後、隣の俺を見てきた。

「もしかして……赤木さんですか?」

優しい声で特殊部隊員は話す。

「あ、ああ」

「僕は第七部隊隊長のドクです。よろしく」

ドクが手を出し、お互い握手を交わす。

「今日は休みなのか?」

「ええ。任務も診療も無い久しぶりの休みですよ」

「それにしては戦闘服なんだな」

「今日はアミリアさんに付き合わされていましてね、その帰りにここに立ち寄った訳ですよ」

「アミリアにかあ……あんたも災難だったな」

「ええ。本当ですよ」

しばらく、お互い拳銃を撃ちながら話す。

「あんた、衛生兵か?」

「ええ。そうですが、よく分かりましたね」

「肩の赤の十字架を見て、そう思っただけだ」

「はい。僕は特殊部隊に入った時から衛生兵でした。負傷した仲間を救う為に、自ら志願したのですよ」

「なるほど」

「あなたは見た所かなり腕の良い人ですね」

「まあ、このアバターのステータスのおかげだ。正直、助かっているよ」

「それなら、依頼が出来そうだ」

ん?待て。依頼だって?

思わず撃つのを止める。

「軍が直接冒険者に依頼するのか?」

「正確には国王から承認を得たボスから頼まれたのですが……」

「どんな依頼だ?」

「ふふふ。それは……」

それは?

「秘密です」

言わねぇのかよ!





12:53

王国から西に約五十キロメートル離れた大神殿跡地

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この大神殿はかつて古代の神聖教の信者が建て、信仰の象徴としていたが、二年前の魔人戦争で魔人側の砲撃で半壊、神聖教の信者も魔人に恐怖して放置。

今は誰にも管轄されていない大神殿である。

その大神殿の中には、捕獲作戦に失敗したGS師団の生き残り二十数人と、その捕獲作戦の責任者を始末したマッチョの男が潜んでいた。

マッチョの男は設置型の無線機で、ある人物と話していた。

「So when can I fight?(それで、いつになったら戦えるんだ?)」

『Do not worry.Your job is coming.Wait till then (安心しろ。お前の仕事はちゃんとやってくる。それまで待機しろ)』

「I'm following you because you'll fight the man who killed Major Jane.(お前らに従っているのはジェーン少佐を殺したあの男と戦わせてくれるからだぞ)」

『I know it.Calm down.(分かっている。落ち着け)』

男は昔従っていた魔人ジェーン少佐の部下だった。

彼も魔人であり、超人的な能力を得ている。

魔人は戦争によって全滅したはずだが、彼は一足先に逃れ、生き延びたのである。

男は自分の上官を殺した兵士を憎んでいて、捕獲派の陣営と手を組み、復讐の機会を待っていたのだ。

『Wait until the chance comes,isn't it good?(チャンスが来るまで待機しろよ、良いな?)』

そこで通信が終了した。

男は乱暴に受話器を置く。

「Shit.」

男は今は自分の部下のGS師団の傭兵の元に向かった。






翌日

セベラル王国 軍基地 ブリーフィング室

赤木

ドクと別れた夜、軍から依頼が来て、その説明が今日やるから軍基地のブリーフィング室に来てみれば、俺とセレナ、プリスキン、ボブスキーは仏壇の目の前で、その周りにはこの国の兵士が座っているのだ。

俺はドクから聞いていたから平気だが、他の三人は少し固くなっていた。

突然過ぎるだろ、ドク!

しかも、兵士の服装はアメリカ陸軍のマルチカム迷彩で、アメリカ製のアーマーを装備し、防弾ヘルメットを被っている。

兵士達は鍛えられていて、威圧感が凄かった。

と、周りを見渡すと、何人か女性兵士が座っているのが見える。

女性兵士もいるのか……

「おい、赤木!軍の依頼だから来てみれば、何の作戦だ?軍との合同作戦だとは思わなかったぞ!」

「どういう事!?説明してよ!」

プリスキンとセレナから質問攻めされる。

「それは後から分かる。だからしばらく待て」

早く来てくれゼロ!こいつらを抑えるのはキツいぞ!

セレナとプリスキンからの質問攻めに耐え、十分後、ようやくゼロとドク、あと兵士と同じ服装の男と、帽子をかぶっている同じ服装の女がやってきた。

やっと来た……助かった……

「全員起立」

兵士達全員が立ち上がり、俺達も立ち上がる。

「今からブリーフィングを行う。座れ」

ゼロの言葉で全員座った。

「えー、兵士の皆さんは知っている通り……じゃないや、冒険者の皆さんは作戦の詳細を知らないのでもう一度説明します。この前起きた転生者襲撃事件の首謀者を殺した奴らの居場所が分かった。場所はここから西に約五十キロ離れた旧大神殿に潜伏しているのを偵察機で確認したと報告があった。捕獲派の情報を聞き出すチャンスだ。王国から許可は取った。つまり、やり方はこちらに一任されているってことだ。質問は?」

「ボス」

「何だ、プリスキン」

「理由は分かったが、俺達は何をすればいい?と言うより、なぜ俺達が?」

「決まっているだろ、ドクの推薦で依頼したからだ。それに、お前達の任務は軍務のサポートだ。安心しろ、報酬はちゃんと用意する」

「具体的な作戦は?」

「それを今から説明する。レギー」

「Yeah」

レギーと呼ばれた男がホワイトボードに大神殿の地図を貼る。

「これは貴族のコネを使って手に入れた地図だ。大神殿の周りは大理石の壁で囲まれ、中は棺桶サイズの長方形の石が等間隔で置かれている。大神殿は入り口の奥だ。入り口の前はレンガの道になっている。幸い遮蔽物が多い。石に隠れながら移動する。冒険者は後方で兵士のサポートだ。必要があれば攻撃に参加しろ」

「敵の数は?」

「GS師団の傭兵二十数人とリーダー格の男が一人だ。そんなに多くはない」

「武装は?」

「不明」

次々と兵士達が質問する。

「道中までは?」

「トラックで移動だ」

「魔力持ちはいるのか?」

「おそらくいないと思う」

そこで、兵士達の質問が終わった。

「よし、質問は良いか?二時間後に第二車両倉庫に集合だ。解散」

兵士達が立ち上がり、ブリーフィング室を去った。

「まさか軍の作戦のサポートとはな、驚いたぞ、ドク」

「ま、そういう事です。あなた達のサポート、期待していますよ」

ハア、断れば良かったな。

「お前ら、この二人は初めてだったな。第五部隊隊長のレギー=シーメンス中佐と副隊長の加奈子=シーメンス少佐だ」

「よろしくな」

「よろしくね~」

「またあんたの腹心の部下か?」

「まあ、というよりは親戚だ。娘とちょっとな」

「ああ、はい」

聞かなかった事にしよう。

「この二人とドクが作戦指揮をする。この三人の指示に従ってくれ」

「了解。ま、とりあえずは頑張るよ。行くぞ、三人共」

「は、はい……」

「分かったよ……」

「了解……」

気乗りしない三人の返事。

「おいおい。大丈夫か?この調子で?」

「大丈夫だ。俺達は……仕事はきっちりこなす冒険者だからな」

俺はゼロ達に格好良く言い放った。

「似合ってないぞ」

「シャラップ!」

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