第14話番外編 セレナの葛藤

「ハア……」

自分の部屋に戻ったセレナはベッドに倒れた。

「……何で赤木君はあんなに人助けをしたいの?」

セレナは助けた女子高校生に言った言葉を信じられなかった。

もしかして、赤木は私の事をあまり意識していないのか?

時々セレナはそう考えていた。

セレナは地球で初めてあの日より前から赤木の事が好きだった。

ゲームでいつも助けてくれたり、優しくしてくれたりしてくれる赤木が好きで、意識するようになるのに時間は掛からなかった。

何とか振り向かせようと努力するが、赤木はかなりの鈍感な為、なかなか気づいてくれないのだ。

「そこが……私が惚れた理由の一つだけど、鈍感過ぎるよ……」

何とかして気づかせたい。だけど、直球で好きって言うのは気が引ける。

(どうしよ……)

セレナはシャワーを浴び、体を温めて、もう一回ベッドに倒れると、ドアがノックされた。

(誰?)

そう思い、ベッドから起き上がりドアを開けると、

「よう」

「赤木君!?」

意中の男、赤木が立っていた。

「どうしたの?」

「いや、話したい事があってな。……風呂上りか?」

「え、ええ」

「……」

「何?」

「言ったら殴られるから言わねぇ」

「怒らないから!」

(何なの?)

セレナは赤木が何を言おうとするのか気になっていた。

「ここじゃなんだ。中に入れたら話す」

「分かった」

とりあえずセレナは赤木を中に入れ、一緒にベッドに座る。

「で、何なの?言ってみて」

「……エロいと思った」

「……え?」

「湯上がりで、パジャマだぞ。誰だってそう思う、だろ?」

「…………」

(やっぱり、それが赤木君らしい)

誰でも気軽に、対等に話す。

それが赤木という男だと思った。

「赤木君って遠慮が無いね」

「それが俺だ。誰でも遠慮ないぜ」

「あなたって不思議な人」

「ほう」

「目上の人でも態度を変えないし、喧嘩腰だし、不思議な人だよ」

「なんか馬鹿にしていないか?」

「いやいや!していないよ!」

(やばい。変なこと言っちゃった!)

「本当か?確かめてやる」

赤木がセレナの顔に近づいた。

「へ?」

「………馬鹿にはしていないようだな。だが、顔が赤いのが気になるな」

「へ?あ、あの……」

「何だ?」

「は、恥ずかしいよ」

「遠慮がないと言った筈だぞ」

「うううう……」

セレナは近い赤木の顔を見て、赤くなってしまった。

「これ以上はマズいな。やめておくか」

赤木は顔を遠ざけた。

「うううう……」

(ひ、卑怯……)

セレナはずるいと思った。

悔しいと思っていると、赤木が突然話題を変えた。

「俺の遠慮なさが気になってるだろ」

「え?」

「顔に出てるから、すぐ分かったよ。理由は分からないが、きっかけは熊と戦ったからだ。それ以来、色々と問題に突っ込むようになってな」

「…………」

「カツアゲしているチンピラにも、痴漢をしている奴にも、迷惑をかけている奴にも容赦なく立ち向かった。正義感では無い。何か成し遂げたい……又は興味があったからか……理由は分からん」

「気持ちの変化?」

「かもな」

赤木は自嘲気味で笑った。

「だが、俺は一人の少女の気持ちも分からない未熟者だ。それにこの性格で敵を作った事がある。完璧とは言えないな。だから俺はある意味で嫌われ者さ」

「そんなことないよ!」

力いっぱいセレナは叫んだ。

「セレナ?」

「覚えている?あのゲームを一緒にやっている時、私の悩みをちゃんと聞いてくれたよね?」

「ああ」

「あなただけなの。私の悩みをちゃんと聞いてくれたのは。私は学校で長年いじめられていたの。私が気に入らない同級生の女の子から。陰口を言ったり、嫌がらせしたりして、精神的にいじめていたの」

「…………」

「そんなボロボロの心を癒してくれたのは赤木君、君だよ。ゲームの中だけだったけど、悩みをちゃんと聞いてくれて、嬉しかった……救われたの」

「…………」

「だから、あなたは未熟者じゃない。人の心を理解し、優しく接する男の子だよ。自分を責めないで……」

「……まさか、セレナに諭されるとはな。いやはや、人生何があるか分からないな」

赤木は真っすぐセレナを見つめる。

「ありがとな。ちょっと気分が良くなった」

「うん。私も気分が良いよ」

「それと……」

「?」

「俺は難聴系主人公じゃないから、ようやくお前の気持ちが分かったよ」

「え?じゃあ……」

「だが返答は待ってくれ。三日以内には話す。待ってくれるか?」

赤木の頼みにセレナは頷いた。

「ありがとう。それじゃ、俺は寝るよ」

赤木はベッドから立ち、部屋を出ようとする。

「あ、それとセレナ」

「何?」

「俺は…………恥ずかしい!言わないでおく。じゃあ、お休み」

ドアを少し強く閉める。

(……やっぱり、赤木君は男の子だなあ)

素直ではない赤木を見て、セレナは安心した顔で思った。

(……早く返事してよ、赤木君。私は待っているから)

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