第12話 初クエスト

4044 7 19 13:44

セベラル王国 南町 ギルド

赤木

優子の過去を聞いてから一夜明け、俺達はランクアップしてから、初めてのクエストを受けにギルドに来ていた。

優子は皆の所に戻ると、朝に家から出ていた。

それにしても、優子の親友の生まれ変わりがあの夜桜先生か。

なんかたまに変なことを言うなぁと思っていたが、前世の記憶を一部覚えていたみたいだな。

ま、俺も純粋な生徒思いの先生は夜桜先生以外は見たこと無いからな。

俺も生徒として尊敬していた。

だから、俺はそんな夜桜先生を手伝いたいと思えたんだよなあ。

「それでどうする、赤木?」

回想していたら、ボブスキーが声を掛けた。

「何だ?」

「どのクエストを受けるんだ?」

「ん?ああ……」

そうだった。今はEランクのクエストの張り紙の束を一つ一つ見ていたんだ。

「色々あるなあ。どれにするか迷うぜ」

「魔物化した牛の討伐、古城の調査、薬草の採取、まだあるぞ。どれだけあるんだ?」

「で、一応リーダーの赤木よ。何にするんだ?」

「そうだな……最初は楽なのにしようぜ。……ってお?」

クエストの張り紙をパラパラめくっていくと、一つ面白いクエストがあった。

「これにしようぜ」

「何だ?」

「面白い薬の素材集めだ。最初はこれで決定だ」

俺が選んだクエストは、とある薬の素材の採取だった。

依頼者はとある魔術師。

ある薬を作りたいと思っていたが、素材の一つが危険度の高い地域にあって、自分は戦闘が得意ではないから、クエストとして発注し、依頼したのだ。

仲間達を説得させ、最終的には皆納得し、受付にクエストの手続きをし、素材のある東の草原にレンタルの馬車で向かった。

車ではない理由は目立つからである。

俺とセレナは神聖教の過激派達に狙われていて、わざわざ目立つ行為はしたくないからだ。

レンタルの馬車は出来るだけ安い馬車にして、薬の素材があるという王国から東に約十二キロ離れた草原に向かった。

既に戦闘服に着替え、馬車の荷台で俺とセレナとボブスキーは待機し、プリスキンは馬を操っていた。

「ボブスキー。お前の持っているそれは……」

「ああ。かなりデコっているが、ロシア製のAK-12だぜ。ロングバレルにマズルブレーキ、二倍スコープを付けているぜ」

「前から思っていたが、ボブスキーはロシア人か?」

「ああ。モスクワ生まれだ。父親がな」

「ここで育ったのか?」

「ああ。父親から軍人になれとしつこく言われて、あれこれ軍の訓練をしている内に、いつの間にか軍人になってたって訳だ」

「へえ。軍人になった感想は?」

「いろんな意味で最高……だな」

こうして三人で話していると、

「もうすぐだ。準備しろ」

目的地にもうすぐ到着するとプリスキンから言われた。

それぞれのアサルトライフルのセーフティを外し、コッキングを引く。

馬車が止まり、俺達は馬車を降り、広い草原に足を踏み入れた。

草以外ちょっと大きな岩がちらほら見える以外何も無いな。

「よし。プリスキン、馬車を見張れ。セレナは魔力探知で魔物が来ないかチェックしろ。素材は俺とボブスキーが探す。何かあれば無線で伝えろ、いいな?」

『了解!』

俺は皆に指示し、それぞれの仕事に就き、俺とボブスキーは草むらに隠れていると言われている素材の一つを探す。

確か綿みたいな形の素材だよな?

こんな一面草しかない場所で探すのか。

うわ、めっちゃ怠い。

「探すか」

「そうだな」

手分けして、草むらに隠れている綿みたいな素材を探した。

だがずいぶんと探したが、一向に見つからない。

「見つけたか?」

「いや。てか、張り紙で図は見たが、とても小さかったぞ。見つけられるか?」

「見つけなきゃ、報酬は貰えないぞ。頑張れ」

そして探すこと三分。

「…………お?」

草むらの中に白く小さい綿があった。

それを手に取る。

間違いない。探し物の素材だ。

「見つけたぞ」

「やったな」

こっちに来たボブスキーに見せる。

「本当に小せえ。よく見つけられたな」

「偶然さ。これでクエスト成功だな」

「ああ。後は離脱するだけだな」

「そうしたいけど、多分こういう場合は……」

すると、セレナから無線が来た。

『二百メートル東から複数の魔物の反応を感知。警戒して』

「やっぱりな。当たって欲しくなかったけど」

「とりあえず見るか」

「了解。確認する」

俺とボブスキーはかがみ、双眼鏡で確認する。

確かに、イノシシの魔物の大群が向かって来ているのが確認出来た。

「イノシシの魔物多数。大群でこっちに来ている」

『どうする?』

「このままだとイノシシにひかれる。倒すぞ。セレナ、レディ」

『了解。しばらく援護して』

「ラジャー」

「やりますか」

腰だめにM4A1アサルトライフルを構える。

ボブスキーも腰だめにAK-12アサルトライフルを構える。

「撃て」

合図し、イノシシの魔物にセミオート射撃した。

なるべく頭を狙い、イノシシの数を減らしていく。

弾が切れたら、空のマガジンを捨て、新しいマガジンを装填する。

だが数が多く、着々と近づいて来た。

「セレナ。まだか?」

『準備出来たよ。今から撃つね』

「了解」

すると、後ろから複数の青い彗星が空を飛び、イノシシの魔物の大群に着弾した。

ドドドドドカアアアアアアン!!

大群の大半がセレナの魔法で吹き飛び、大群の動きが止まった。

「おお。結構吹き飛んだな」

「だな。後は残党処理だ。セレナ、ありがとう。後は俺達が仕留める」

無線でセレナに伝え、爆撃を喰らったイノシシの大群に接近した。

まだ戦う意思のあるイノシシが何頭かこちらを睨め付けている。

俺とボブスキーは容赦なくイノシシを撃ち、仕留めていく。

俺達を恐れた生き残りのイノシシの魔物は後ろへ一目散に逃げていった。

「撃つなよ。多分セレナがやるから」

「了解……」

その後、逃げているイノシシ達に雷が落ちた。

これで全滅だろう。なんだかイノシシが逆に可哀想になってくるな。

「てか、いつ雷を落とす魔法を覚えた?」

「一昨年らしい。偶然成功して、すんごい喜んでいたのを覚えている」

「あいつの吸収スピード早え~」

あいつは絶対怒らせたらやばい。なるべく怒らせないようにするか。

「さて、制圧したな。こいつらの状態の良い皮を剥ぎ取るか」

「経験が?」

ボブスキーが説明した。

「祖父が猟師でな。仕留めた動物の血抜きや皮の剥ぎ取りはお手の物だ」

「じゃ、剝ぎ取り係はボブスキーに決まりだな」

「お前もやっておけ。教えるから」

「なら、ご教授願いますよ」

と、雑談していると、

「…………ん?」

奥にでっかい熊が座っていた。

「何だ?あのデカい熊は?」

「明らか野生じゃないな。あんなデカい熊はいないしな」

「セレナ、確認してくれ」

セレナに確認させる。

『これは……大型の魔物ね。ちょっと難易度は高いよ。やれる?』

「もちろん。だけどセレナのサポートが必要だ。やってくれ」

『分かった。危なくなったらサポートする』

「了解。頼むぜ」

俺とボブスキーはどんどん近づく大型の熊と相対する。

焦げ茶色に染まっている毛皮に、鋭い爪と牙、そして赤い目。

化け物だな。てか、魔物だけど。

「グルルルル」

めっちゃ唸っているな。そんなに腹が空いているのか?

いや、警戒しているのか。さっきから近距離で左右に動いて俺達を観察しているな。

天敵と相対しているように感じているのか、あの熊は。

「どうする?」

「なら、熊撃ちらしく」

腕のデバイスから、ドイツ製のボルトアクション式ライフルKar98kとイサカM37ポンプ式ショットガンを出す。

「これでやるか」

「面白い。俺がライフルを使う」

「俺はショットガンだな」

俺がイサカM37ショットガンを取り、ボブスキーがKar98kボルトアクション式ライフルを取る。

「あの熊、律儀に待っていやがる」

「熊なりの余裕だろ?なら、素直に受け取るか。お前は狙撃で援護しろ。俺があの熊と戦う」

「お前だけ楽しむ気か?」

「ああ。二回目の熊との勝負だ。一回目は引き分けだが、今回は勝ってやる」

俺は熊の前に立ち、ボブスキーは後ろに行き、Kar98kを構える。

さて、このアバターの体でサシの勝負は初めてだな。

どこまでやれるかな?

まあ、今までの感覚でやってみよう。

「グルルルル!」

「おうおう。そちらからどうぞ」

すると、素直に熊が鋭い爪で襲ってきた。

後ろに下がり、熊の爪を避ける。

軽く避けれたな。アバターの恩恵は凄いな。

アジリティもかなり上げられているから、早く避けられるな。

「?」

熊が当たっていない事に疑問を持ち、爪を見る。

「どうした?来いよ」

熊を挑発してみる。

「グオオオオオオ!!」

熊は挑発に乗り、俺に飛び付こうとする。

その間にボブスキーが狙撃し、熊の肩を撃ち抜く。

「へっ!」

「さあ、こっちの番だ」

俺はショットガンのスラッグを撃ち、熊の手をボロボロにした。

皮は硬い訳ではないな。

なら、やりやすい。

「グオオオオオオ!!」

熊が立ち、威嚇の声をあげる。

その後、熊は俺に爪で引っ掻く。

俺は避け、横に回り込む。

避けた後、熊に複数の穴が開き、血が噴き出る。

セレナのエアバレットの援護射撃だな。

圧縮された空気の弾が、熊の体を貫いたんだ。

熊が呻いている隙に、スラッグ弾で熊の足の関節を破壊し、熊の瞬発力と機動力を無くした。

関節をやられた熊は前に倒れる。

俺が怖かったのは熊の突進だ。

熊の突進のスピードはとても早い。

普通に立ち向かったら最悪死ぬ。

だから、熊が余裕を見せて突進をしなくて良かった。

こうして簡単に足を破壊出来たからな。

さて、次は腕だ。

「ボブスキー、左腕を破壊しろ」

「あいよ」

ボブスキーが三発撃ち、熊の腕を撃ち、破壊する。

俺も熊の左腕を撃ち、ボロボロにした。

「よう。自分がこうなっているのが不思議か?」

信じられないって顔をしている熊に尋ねる。

熊でも驚く顔はするんだな。

「一つ昔話をしよう。あれは小学校の山登りの時だ。コースから外れ、皆とはぐれ、一人彷徨っていると、お前より小さい熊と遭遇した。と言ってもあっちでは大人サイズの熊だったけどな」

「…………」

「俺はその時、十歳の子供で、熊を見たときは震え上がったよ。だが、近くのマチェットを見たとき、冷静になれた。何故かは分からなかったけどな」

ショットガンのスラッグ弾を装填しながら近づく。

「けど、今分かった。その理由は、」

熊の頭に銃口を向ける。

「熊を倒せる。そう思ったからだ」

ショットガンを連射し、熊の頭をズタズタにする。

排出部から空のシェルが落ちていく。

装填されている8発のスラッグ弾を撃ち尽くし、最後の空のスラッグ弾が落ちていく。

「仕留めた」

『大丈夫だった?』

「ああ。一回目の熊の方が強かった気がする」

『魔力反応は無いわ。一応クリアよ。魔物の毛皮を剝ぎ取って、撤収しましょう』

「了解」

見ていたボブスキーが近づく。

「熊と戦ったのか?」

「ま、相打ちだったけどな」

「そうか。こいつらの毛皮を剝ぎ取ろう。さっさと剝ぎ取って、撤収だ」

「ああ」

「そうだ。こいつを返すよ」

ボブスキーがKar98kを返した。

「また狩りをしたいな」

「いつでも出来るだろ?」

「そうだな」

ボブスキーを手伝い、状態の良い毛皮を剝ぎ取り、馬車に乗って王国に戻った。

結果、熊の毛皮とイノシシの毛皮二十枚という上々な結果だった。

町に戻り、クエスト成功の報告をして、報酬の大銀貨十枚を貰った。

毛皮は東町の買い取り屋に買い取って、金に換金した。

特に熊の毛皮の買い取り額が高かった。

理由は、あの熊の魔物は大型の魔物で、軍でも手を焼く程の強さを誇っていたからだ。

俺的には足を潰した時点で勝ち確だったけどな。

それにしても狩猟……か。

今度ボブスキーを誘って、やってみようかな?







買い取り屋で一旦解散し、セレナは町で買い物、プリスキンとボブスキーは南町に戻った。

俺は適当に歩き回り、東町の探索をしていた。

この町は娯楽施設が多いみたいだな。

カジノに武道館、劇場、飲食店、様々な店があった。

さて、今の所持金は金貨十枚と大銀貨十枚、銀貨五枚だ。

結構金があるな。何か買おうかな?

そう思い、何か良さそうな店を探していると、

「東町の武器屋か……」

町の西側に赤い建物の武器屋があった。

この世界の武器屋はどうなっているんだ?

気になるし、ちょっと入ってみるか……

ちょっとした好奇心で、武器屋の中に入る。

おお。すげえ。

店内にはたくさんの銃や剣、盾、槍、ナイフなど様々な武器が並べられていた。

国から販売の許可を取ったのか?

壁に「軍御用達!」と書かれている。

軍人もここで買うのか。

店内の奥へ行くと、ガタイの良いおっさんの店員が立っていた。

「いらっしゃい。見ない顔だな。旅人か?」

「つい最近ここに住むことになったんだ。クエスト帰りに気になってここに来てみたんだ」

「お兄さん、お目が高い。ここは唯一銃を販売している武器屋だ。世界でここしか無い最新の銃を公式に販売しているんだ。国王陛下が直接俺に銃の独占権を与えてくれたんだよ」

「それで人が多いのか」

後ろを見ると、銃を見ている冒険者がちらほらいた。

「駆け出しの冒険者には人気でよ。一部の銃を安くして売っているんだ」

「へぇ」

「お兄さんも見ていくかい?今日は常連の依頼した新型拳銃を依頼した奴が受け取るんだ」

「銃を造れるのか?」

「金は高く取るが、俺は元々鍛冶屋なんでね。銃を造るのは設計図見ただけで分かるよ」

「すげえ。で、その依頼した奴はいつ来る?」

「あと少しで来るはずだが……」

ガチャッ

木製のドアが開かれた。

ドアから入ってきたのは、ロングヘアの黒髪に黒目、白のワンピースを着た女性だった…………

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます