第7話 セレナの異常な魔力

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セベラル王国 南町 シェアハウス

赤木

「…………ん?」

どこかの部屋で目が覚めた。

ここは………そうか。シノ達のシェアハウスの部屋か。

そういえばシノに二階の空いている部屋を紹介されて、ここを俺の部屋にしたんだよな。

部屋にはベッド、机、本棚、タンス、トイレがあった。

そのベッドで寝て、今起きた訳か。

部屋の時計を見ると、ちょうど七時。

久しぶりに早起きしたな。

学校があった時でも、学校が近かったから、ギリギリに起きて、学校に行ってたなぁ。

さて、顔を洗って、下に降りないとな。

部屋の洗面所で顔を洗い、外用の服に着替えて、部屋を出た。

リビングに向かうと、

「おはようございます、赤木さん」

「よう、赤木」

「おはよう、赤木君」

シノとプリスキンとセレナが起きていた。

「おはよう」

「朝飯が出来ているぜ。先に食べろよ」

「そうだな」

俺は席に座り、机にあったパンを食べた。

「あらあら、かっこいい服ですね」

「普段着だ。このアバターのな」

白のTシャツに青のジーンズだぞ?かっこいいか?

「いや、似合っているぞ。服のセンスは悪くないな」

「かっこいいよ、赤木君」

「そう言うお前も似合っているよ、セレナ」

黒のTシャツにピンクのスカートのセレナに言った。

「そ、そう?ありがとう」

セレナが褒められて嬉しそうだ。

「ったく」

「ふふふ」

プリスキンとシノがニヤニヤしている。

何ニヤニヤしているんだ?

「自分で考えろ」

「そうですね」

「赤木君。私、頑張る!」

何をだ?

「おはようっす」

黒っぽい緑のTシャツにネイビー迷彩のズボンのボブスキーが降りて来た。

「お前が最後だぞ、ボブスキー」

「思ったより寝ちまってよ。寝心地が良いんだよ」

それは分かる。羽毛布団はとても良い。

「それより朝飯だろ?」

「ああ。さっさと食べろよ」

ボブスキーが席に座り、朝食を食べる。

「食べ終わってから行くのですか?」

「ま、そうだな。そうなるな」

「冒険者組合はここから十分くらい歩いた場所にあります。近いので、すぐ冒険者登録が出来ると思います」

「そうか。なら、ボブスキーとセレナが食べ終わってから、出掛けるか」

俺とプリスキンは既に食べ終わっている。

「ところで、プリスキン。拳銃の携帯はこの国では許可されているのか?」

「一応戦闘職に就いている奴は許可されているが、発砲は御法度だ」

「装備するだけならいいよな?」

「ああ。そうだ」

「分かった」

俺は席を立ち、ソファーに向かって座った。

デバイスを起動し、メニューで拳銃を選ぶ。

今日は、G21でいっか。

G21を実体化し、マガジンポーチもホルスターも実体化する。

ズボンのベルトにマガジンポーチを左に付け、ホルスターを右に付ける。

ホルスターにG21を収め、席を立つ。

早抜き出来るかな?

素早く拳銃を抜いてみる。

んー?ちょっと遅いかな?

ホルスターに拳銃を収め、もう一度素早く拳銃を構える。

ありゃ。これはナマっているな。

後で治さないと。

「失礼ですが、あなたは軍人ですか?」

「いや、だがサバゲーで鍛えてはいる」

「サバゲー?」

セレナがフォローする。

「私達の世界では、銃が厳しく規制されています。代わりにエアガンという空気銃が使えて、それを使った遊びがサバイバルゲーム、通称サバゲーです」

「それで十歳から訓練しているんだ。ま、ここで実践されるとは思わなかったけどな」

「そうですか……」

「おいおい。あんたも軍人だろ?プリスキンも分かっているだろ?」

「そうだな。シノ、あんたどこの部隊出身なんだ?」

「……第三部隊出身です」

「第三部隊……エミリアの部隊か」

「第三部隊?」

「十の少女から十八の少女達で構成された部隊だ。素早い動きで敵を制圧する特殊部隊顔負けの部隊だ。部隊長はエミリア。対物ライフルのプロの少女だ」

「エミリアは召喚者なのか?」

「そうだ。ボスの腹心の部下の一人だよ。確か第三部隊の入隊試験は厳しいと聞いたが……」

「ええ、とても厳しいですよ。何人もの女の子が耐えられず辞めてしまう程です」

「そんな入隊試験に合格して、第三部隊に入ったのか。凄いな。苦労しただろう?」

「努力の賜物です……ふふふ」

……気のせいか?俺には早く戦いたい狂犬の目をした少女がいるのだが。

ま、見なかった事にしよう。

ちょうどセレナもボブスキーも食い終わったし、出掛けるか。







南町を歩いて五分、この町には驚くばかりだ。

エルフやドワーフ、妖怪、更には妖精もいる。

あと、冒険者らしい服装の集団も見える。

ランクは分からないが、ベテランの冒険者のようだった。

「あと少しだよな?」

「ああ。あと少しで着くぞ」

お?

青い制服の警官みたいな男が歩いていた。

腰にはG17拳銃が収まっている。

「プリスキン、あれは?」

プリスキンに警官に聞いてみる。

「ありゃ南町の警官だな。仕事は治安維持だ。町ごとで制服は違う」

「ふーん、この世界は普通に警官と呼んでいるのか……」

ま、馴染みやすくてちょうど良い。

それに、警官の制服は日本の警官とほぼ同じだ。それだけ治安が良いのだろう。

「本当に異世界だね」

「ああ。長年の夢が叶った」

「夢……だったの?」

「ま、すぐに行けるとは思わなかったがな」

と、話ながら歩いていると

「ここだ」

冒険者組合の建物に着いた。

木製の酒場みたいな建物だった。

屋根の看板に「サウスギルド」と書かれている。

そうか、確か呼び名はギルドだったな。

「入ってみよう」

木の扉を開け、ギルドの中に入る。

中はRPGみたいな配置だった。

壁には依頼の張り紙。

机には冒険者達が座り、作戦を立てたり、喋っていたりしている。

吹き抜けの二階にも人がいるようだ。

俺達は正面の受付に向かい、受付嬢と話す。

「あのー、すみません」

「はい。何でしょうか?」

「冒険者登録をしたいのだが……」

「冒険者登録ですね。少々お待ちください」

そう言って、紙を出し、ペンを持つ。

「お名前をよろしいでしょうか」

「赤木だ」

「セレナです」

「プリスキンだ」

「ボブスキー」

受付嬢は聞き取った名前を書き込む。

「はい。ありがとうございます。次は種族はヒューマンですね?」

「ああ。そうだ」

なぜ英語?ってそうか。こっちでは確かヒューマンって呼び名だったな。

「ありがとうございます。次は冒険者の説明ですね」

そして俺達は受付嬢から冒険者の説明を聞いた。

基本的な事はRPGと変わらない。

モンスターを狩ったり、アイテムを採取して、金を稼いだり、依頼を達成して、依頼者から報酬を貰う。

また、緊急時の際は、軍から召集命令が下り、軍と共に行動する。

受付嬢から宝石が付いている首飾りを貰う。

「それは冒険者のランクを区別するアイテムです。通行にも利用しますので、無くさないでください」

「無くした場合は罰金か?」

「はい」

じゃ、無くさないようにしよう。

俺達は首飾りを付けた。

宝石の色はグレー。

最低ランクのFを表している。

「さて、最後に……」

受付嬢が青い水晶を出した。

「ん?何ですか、これ?」

「魔力測定用の水晶です。これであなた方の魔力を測定します」

おお。何かソレっぽい。

「っと。プリスキンさんとボブスキーさんは元軍人ですね。二人は測定されていますので大丈夫です」

「測っていたのか?」

「ああ。だが、適切なしと言われた」

「俺もだよ。そんなに魔力量が無いからな」

そうなのか。

「まずは赤木さん。水晶に手を触れてください」

「お、おう」

戸惑いながらも、右手を水晶に触れる。

「?」

あれ?受付嬢が黙っている。

「あのー?」

「……あ!はい。計測終了です」

そう言われ、水晶から手を離す。

「次はセレナさん。お願いします」

「は、はい!」

セレナが水晶に触れてみる。

その瞬間、水晶が木っ端微塵になった。

……は?

「え?」

「お?」

「は?」

あれ?水晶は?青い破片はあるが……

「嘘……でしょ?」

受付嬢が信じられない顔でセレナを見る。

「セレナ。何かしたか?」

「何もしていないよ!」

「それだと水晶が木っ端微塵になった理由が分からん」

なぜ水晶はセレナに触れられた瞬間割れたんだ?

?訳が分からん。

「おい……あの子」

「測定用の水晶が割れた?」

「もしかしてあの子……」

何やら後ろが騒がしいな。冒険者達が騒いでいるのか?

すると、ドアから小さな少女が入る。

「失礼する」

第二次大戦時のアメリカ軍の軍服を着た金髪の少女だった。

金髪の少女は俺達の元に向かい、俺達の前まで近付いた。

「赤木とセレナだな?」

金髪の少女は俺とセレナに聞く。

「あ、ああ……」

「そ、そうですけど……」

胸の勲章は大佐クラスだった。

こんな小さな少女が?軍服って事は軍人か?

「これは失敬。私はアーニャ=デグレチャフ大佐だ」

「デグレチャフ大佐!?」

「第四部隊の部隊長がなぜここに?」

「あんな小さな少女とは…………」

「初めて見た」

周りの冒険者が騒ぐ。

何者だ?この少女。

「デグレチャフ大佐」

「大佐!」

プリスキンとボブスキーがアーニャに敬礼する。

「少佐とボブスキーか。久しぶりだな」

「大佐こそ元気そうで何よりだ」

「ああ。ボブスキー」

「は、はい!」

「弱虫だったお前がここまで成長するとはな……時間が経つのは早い」

「い、いえ。それより教官も元気そうで何よりです」

「またしごかれたいか?」

「え!?いや……その……」

「フ。冗談だ」

親しげに話す三人。

どうやらアーニャは第四部隊の部隊長らしい。

「それより、どうしてここに?」

「そこのセレナという少女の魔力測定を代わりに私がやる為に来たのだ」

そう言って小さな機械を出す。

「セレナ。この機械に指を入れろ」

「は、はい」

セレナは機械の穴に指を入れる。

十秒後、

「……ほう。これは受付嬢が驚くのは無理も無い」

セレナが機械から指を外し、アーニャに渡したら、そんな事を言ったのだ。

「何がだ?」

「この少女は本当にヒューマンか?魔力量が尋常じゃない」

「大佐。測定の結果は……」

「よく聞けよ。魔力量四億五千万二百、強化魔力量は五万だ」

は?何その途方もない数。

『何だって-!!』

後ろの冒険者達が驚く。

「お前……魔力量化け物かよ……」

俺も驚いて、あまり言葉が出ない。

「ちょっと赤木君!」

「なるほど、アミリアが言っていた通りだな」

「どういう事ですか?大佐」

「実はアミリアに頼まれてな。二人を連れて来いと、アミリア自ら進言してな」

アミリア?誰?

「アミリアは第一部隊隊長で、ボブスキーが前までいて、冒険者も兼任している実力派部隊だ」

「アミリア隊長が!?」

「私はただの案内役だ。詳しく知りたいなら、私について来い」

「ちょっと待て!アーニャ=デグレチャフ!」

一人の冒険者が呼び止めた。

「お前は俺の仲間を刑務所にぶち込んだクソ野郎め!お前の命を取ってやる!」

そう言って剣を抜いた。

「悪いが雑魚には付き合えない。それに、お前の仲間は町娘に手を出したのだろう?捕まって当然だ」

「何だと!」

「犯罪を重ねている奴に、付き合っている暇は無い。さっさと帰れ」

「ふざけんな-!!」

剣を構え、突撃する男。

「……マヌケめ」

アーニャは突撃した男を掴み、地面に倒した。

「ぐ!」

アーニャは腹のホルスターからステンレスのM1911ガバメントを出し、男に片手で構える。

「…………」

アーニャは冷酷な目で男を見ていた。

これが第四部隊の隊長か。

あの冷酷な目つき、とても子供には見えない。

「お待ら!奴を殺せ!」

三人の男が剣を持ってアーニャに向かって突撃する。

アーニャは迷わず三人の男の足を撃ち、負傷させた。

それと同時に第二次大戦時のアメリカ兵の迷彩服の兵士四人が中に入った。

「動くな!第四部隊だ!」

トンプソンサブマシンガン、M1ガーランド、M1A1ライフルを持った兵士四人が制圧する。

「隊長。無事ですか?」

「ああ」

「外に警察が待機しています。彼らに任せましょう」

「そうだな」

その後警察が突入し、暴れた四人の男を逮捕した。

一通り確認したアーニャは拳銃を収めた。

「さて、行こう諸君。車を待機してある。アーニャの家に行くぞ」

俺達に向け、そう言った。







ゼロ

「…………」

朝、司令官室で部下から報告書を受け取った。

内容は、殺害派のテロリスト、神聖教の過激派組織が、武器を集めている事だった。

何か企み、アサルトライフルとサブマシンガンを武器商人から買い、準備している所を偵察機で確認した。

「過激派が動いたな。ジョーカー」

地面からジョーカーが現れる。

ロングの黒髪に黒目、眼鏡を掛けた少女が俺に敬礼する。

既に黒の戦闘服を着ている。

「は、はい。そうですね」

「匂わないか?」

「ええ。さっきアーニャさんから………あの四人と接触し……アミリアさんのアジトに……向かうみたいです」

「そのタイミングでこの報告書だ。いくらなんでもタイミングが良すぎる」

「まさか……彼らを強襲する……つもりでは?」

「俺もそう思う。ジョーカー、監視を頼めるか?もし奴らが赤木達を襲ったら、交戦を許可する」

「わ、分かりました。じゅ、準備してきます」

そう良い下に消えるジョーカー。

「……さて、彼らがどうなるか。今は見守るか」

俺は窓を見て、そう言った。

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