第4話 軍基地襲撃

赤木

「それで、これから俺達はどうなりますか?」

セレナと誓い、互いに助け合う事を決めた俺は部隊長の錬子にこれからの事を聞いた。

「うーん。これは私の一存じゃあ決められないなぁ。実は君達は訳ありだからね」

「訳あり?」

訳ありな理由を聞こうとしたら、錬子の執務机の電話が鳴った。

「誰から?」

「さあ?」

錬子は電話に出る。

「はい……ああ、これはボス。何でしょう……はい……はい……ええ。二人は今ここにいます……はい……え?王国に?……分かった。すぐに向かうわ……ええ……ええ……了解。着きそうになったら電話するわ……ええ、じゃあね、ボス」

話を終え、電話を切った錬子。

「みんなよく聞いて。これから王国に帰還するわ。すぐに準備を」

「急ですね。相手は誰からです?」

「王国軍司令官、ゼロール=スカーレット」

まさかの軍司令官からの電話だった。

「何て?」

「転生者の二人を連れて王国に帰還せよ。王国で保護するらしいわ。」

「信用出来るのか?」

「安心して。ボスはあなた達を助けるわ。私が保障する」

そこまで言うなら仕方ない。

「さて、車の手配を……」

錬子が電話しようとした時だった。

基地の倉庫が爆発した。

「!?」

いや、爆発じゃない。何が落ちる音が……

その後、倉庫から砲弾が降り注いだ。

「砲撃?」

「来たわね。優子、無銘、フール。戦闘準備」

呼ばれた三人が壁の近くの棚から武器を取り出し、装備ハーネスを付ける。

「一体何事だ?」

「襲撃よ。あなた達を消したい連中の傭兵がこの基地を襲ったわ」

「何!」

「窓から傭兵がちらほら見える。今兵士達が応戦しているわ。今の内に逃げるわよ」

錬子が席を立ち、フールからイタリア製のAR-15を受け取る。

「どうやって?」

「地下に車がある。車に乗って緊急用の地下道路から王国に向かうわ」

地下道路?

「有事の際の脱出路よ。そこから王国の近くまで繫がっているわ」

なるほど、準備が良い事で。

「私達が道を切り開くわ。プリスキン。二人を頼むわ」

「了解」

「ちょっと待った」

「何?」

「俺達二人を戦力に入れろ」

「足手まといはごめんよ」

「ゲームで経験は積んでる。それに、」

セレナを見る。

「セレナはうちのナンバーツーだ。行くぞ、セレナ」

「うん!」

俺とセレナはデバイスでアーマーと武器を実体化し、戦闘準備をする。

「腕はナマっていないか?」

「大丈夫よ。これから取り戻すから」

「今回は人数が多い。連携して脱出するぞ」

「了解タスク、いや赤木君」

俺はアメリカ製のM4A1を装備し、セレナはFN社製のSCAR-Lを装備する。

「ふっふっふ。どうやら戦えるようだぜ、錬子さんよ」

「……いいわ。ただし、私の指示に従いなさい。いいわね?」

「おう!」

「了解!」

「おお!お前らやる気か?気に入ったぜ」

M240Bマシンガンを持ったフールに気に入られた。

と、そこへ、

「錬子隊長!」

ライフルを持った兵士が急いで現れた。

「どうしたの?」

「外にいた兵士達は全滅。敵がここに侵入しています」

「そ、分かったわ。ところで、コードナンバーを言いなさい」

「は?それってどうい、」

錬子が素早く右腰のFNX-45を抜き、腕でスライドを引いて、兵士の頭を撃ち抜いた。

撃ち抜かれた兵士はそのまま倒れる。

「…………」

俺は錬子が兵士を撃ち抜いた理由が分かった。

兵士番号を答えられなかったからだ。

兵士番号を答えられない奴は……

錬子が兵士の目出し帽を脱がず。

スキンヘッドの四十代の男の顔が現れた。

「偽物よ。うちの兵士になりすまして騙すつもりだろうけど、私の目は誤魔化せないわ」

さすが人の心を読む女。

目出し帽越しでも分かるとは。

「優子、無銘」

AK-74を持った優子と64式小銃を持った無銘がドアに張り付き、ドアを出て廊下を警戒した。

「クリア」

「クリア」

「了解。私が先導するわ。フール。私の後ろに。赤木、セレナは私達に付いて来て。プリスキン。殿は任せたわ。」

錬子が無銘が警戒している方に向かい、俺達はそのまま付いて行き、警戒していた無銘が

そのまま銃を構えたまま優子の肩を叩き、俺達に付いて来た。

階段を下り、一階に降りようとしたが、砲撃で階段が崩落し、通れなくなっていた。

(非常階段を使うわ。付いて来て)

錬子はハンドサインで俺達に伝え、非常階段に向かった。

左を曲がれば非常階段があるところで錬子が左腕を挙げた。

俺達はそのまま待機し、優子は後方を警戒する。






錬子が角から廊下を覗く。

(奥の角に敵。二人が非常階段から出てきた。アサルトライフルを装備している。腰には拳銃、アーマーにグレネード)

確認したものをハンドサインで伝えた。

「無銘」

無銘が錬子の後ろに着く。

俺達は一人分、後ろに下がった。

(私が援護するから、あなたは奥の敵を)

(了解)

錬子が指で3、2、1と指でやり、0になったら、錬子が角から銃を突き出し、一発ずつで非常階段近くの二人を倒し、無銘がすぐに奥へ走った。

約三十メートル奥の角から、AK-47を持ったゲリラ装備の男が無銘に向け銃撃した。

無銘は壁に足を付け、そのまま走った。

相手の男は悪態をつきながら無銘に向け銃撃した。

しかし、無銘は壁を交互に飛び跳ねながら走る為、狙いが定まらない。

無銘は男と距離が約十メートル程の時に飛び、64式小銃の銃剣で男の喉を突き刺した。

「ぐ……お……」

無銘はそのまま男を押し倒し、奥の角で隠れていた男四人を発見し、腰の二丁の拳銃で彼らを4~5発撃ち込んだ。







「移動するよ」

俺達は非常階段へ走る。

前から無銘が歩いて来た。

「倒したのか?」

「そうだよ~。楽勝だったよ」

奥を見ると、倒れている男を見つけ、わずかしか見えないが、血が飛び散っている壁を見つけた。

「どうやったんだ?」

「秘密」

「非常階段は大丈夫よ。中に入って」

順番に非常階段の中に入る。

「!」

「クソ!」

優子とプリスキンが俺達が来た廊下から敵が現れ、ライフルを連射した。

まだいるのか。

一人は二人に撃たれ、死んでいるが、角に隠れているのが見える。

「弾切れになったら入って!援護する」

セレナが二人に指示し、俺達二人はドアを盾にして、二人の後退を援護する。

二人が非常階段に入り、敵が出てきたところを二人で撃ち、敵を足止めした。

すると、黒装束の男が現れ、手から火炎放射する。

やば!

俺とセレナは間一髪で相手の火炎放射から回避した。

「大丈夫?」

「ああ。手から火炎放射する奴がいたぞ。何なんだ?」

「魔術師よ。魔法を使って、私達を攻撃しているわ。」

魔術師がいるのか。

色々混ざっているな、この世界は!

だが、火炎放射のおかげで廊下は燃え、入れなくなっていた。

すると、フールが階段にクレイモアを設置した。

「念のためな」

「この階段はそのまま地下まで繫がっている。降りるわよ」

俺達は周りを警戒しながら、階段を降りていった。

地下二階のところで、上から爆音が聞こえた。

フールのクレイモアに引っ掛かったな。

「急いで」

俺達は急いで階段を降りて、地下の車両置き場に着いた。

コンクリートで固められ、ハンヴィーが二台停められていた。

だが、他にも停められていた形跡が残っている。

「他の車は?」

「追跡されるのは嫌だから、二台しか停めていないよ。他は先に本部に運んだわ。さ、乗って」

「第十部隊と俺達で別れようぜ」

「なら、そうしよう」

「お~い!待ってくれ~!」

別の非常階段から二人のスペツナツ装備の男二人が来た。

俺達は警戒して銃を構える。

「おいおい!俺はボブスキー三等兵だ!コードは100003だ!」

「俺はウェイン二等兵。コードは100019です」

二人の兵士が名前と階級、コードナンバーを言った。

「生き残りの兵ね。他は?」

「残念ながら敵にやられた」

「そう。ちょうど良い。ドライバーが欲しかったんだ」

「そう言うと思ったぜ!任せろ!」

俺達はボブスキーとウェインと共に、ボブスキーが運転するハンヴィーに俺、セレナ、プリスキン。

ウェインが運転するハンヴィーには第十部隊が乗り、ドライバーがエンジンをかける。

豪快なエンジン音が鳴り響く。

『こちら錬子。上に防弾ルーフ付きM2重機関銃があるわ。誰かそこに就きなさい』

ハンヴィーの無線機から錬子の声が聞こえた。

「プリスキン。俺がやる。連絡を」

「了解。あー、こちらプリスキン。赤木がガンナーに就く。どうぞ」

『了解。こちらは優子を就かせるわ。発進して』

第十部隊が乗っているハンヴィーが先導し、俺達のハンヴィーも付いて行き、地下道路に入った。

地下道路はトンネルみたいに上に蛍光灯が立て続けに設置されていて、少し暗めだ。

道幅は乗用車四台分ととても広い。

ハンヴィーのエンジン音が鳴り響きながら、地下道路を走る。

走り続けて数分後、後ろから何かの音が響いた。

「何か来るぞ!」

俺は重機関銃を後ろに向け、重いボルトを二回引く。

何が来るんだ?

すると、奥から二台の馬車が走ってきた。

馬車が車と同じスピードが出るわけないだろ!

『馬に魔石が付いている。あの魔石はスピード強化と防御力アップの魔法が付与されているわ』

魔石だと?

すると、馬車の硬そうな二台の上が開き、二人のゲリラが現れる。

ゲリラはロシア製のAK-47を連射してきた。

「撃ってきたぞ!撃ちかえすぞ!」

俺と優子は重機関銃を連射し、硬そうな馬車に当てる。

だが、馬だけではなく二台にも魔石が付けられていた。

さっきから何度も撃っているが、弾の曳光弾で弾かれているのが分かる。

「出口まであと少しだ!踏ん張れ!」

ドライバーのボブスキーが運転しながら応援する。

優子も重機関銃を連射しているが、ガンナーの二人には当たっていない。

クソ!どうすれば?

すると、錬子のハンヴィーの後部座席のドアが開き、フールがマシンガンを連射する。

敵も荷台から一人出てきて、ロシア製のPP-19ビゾンを連射する。

一台は錬子のハンヴィーに釘付けだ。

俺はもう一台の馬車に連射する。

すると、荷台からさっきの魔術師が出てくる。

おう!マジか!

魔術師が火の玉を連続で放つ。

「避けるぞ!」

ボブスキーが叫び、火の玉を避ける。

火の玉は地面に着弾後、爆発した。

当たったらひとたまりもねぇ!何とかしないと!

すると、馬車がこっちに迫ってきた。

ハンヴィーのスピードが上がる。

馬車のAK-47持ちの男が錬子のハンヴィーを攻撃する。

「赤木君。これを」

セレナからグレネードを貰う。

今ハンヴィーと馬車の距離は近い。

魔術師は更に魔力を溜めて攻撃するようだ。

グレネードのピンを抜き、レバーを外し、

喰らいな!

グレネードを馬車の荷台に放り込む。

馬車はスピードが落ちた後、爆発した。

やった!

残り一台!

すると、さっきの魔術師が別の馬車に移っていた。

いつの間に。

「見えたぞ!出口だ!」

二台のハンヴィーと馬車が地下道路を出て、地上に出る。

何処かの枯れた大地に入り、三台がドックファイトをする。

馬車は魔術師のおかげで、俺達は手も足も出なかった。

そんな時、上空からアメリカ製のAH-6Jリトルバードがやって来た。

右側にグレネードランチャーを持った黄緑と黒の迷彩服の男が座っていた。

『こちらリトル6。攻撃している馬車を確認。排除します』

ヘリから榴弾が五発送られ、馬車を攻撃し、魔術師ごと吹き飛ばした。

『脅威を排除。そのまま警戒態勢に入ります』

ヘリはそのまま俺達の近くを飛び、周囲を警戒した。

『あれはボスが送ったヘリね。助かったわ』

俺は銃座から降り、シートに座る。

「はあ~、何とかなったな。」

「さすがじゃねえか。おかげで追っかけていた敵は全滅した」

「お疲れ、赤木君」

「やるじゃねえか」

「はあ~、疲れた」

『こちら錬子。何とかなったわね。被害は?』

「こっちは大丈夫だ。そっちは?」

『残念ながら、ドライバーが死んだわ。弾が頭に当たってね。防弾ガラスが貫通して、側頭部に命中したわ。今無銘が代わって運転しているわ』

「ウェイン。クソ!」

ボブスキーが嘆く。

仲間だった兵士が死んだんだ。

嘆くのは当たり前だ。

「了解。そのまま王国に向かうぜ」

『了解。王国までヘリが護衛するわ。襲撃はないと思うけど、警戒してね。アウト』

「了解、アウト」

プリスキンが通信を終える。

「このまま王国に向かうぜ。しばらくは休めるな」

「あいつらは何者だ?俺達を攻撃してきたぞ」

「今、勢力が分かれていてな。お前を捕まえようとする半分の国と一部の貴族、殺そうとする三割の国と過激派グループ、保護しようとする残りの国と貴族で分かれているんだ」

「じゃあ今のは。」

「殺そうとする国から雇われた過激派グループだろうな」

「なぜ殺そうとする?」

「国の思惑は分からんが、過激派グループは元は神聖教という宗教の信者だが、二年前の魔人戦争で突然暴れ、今やテロリストとなったんだ。理由はボスの娘ともう一人の男が聖女やら神の使いだと崇められ、それを気に食わなかったからだろう」

あれか。自分達の信じている神が侮辱されるやらなんやらで、暴れ回っているんだな。

「それでなぜ俺とセレナが狙われる?」

「転生者だからだ。この世界に転生した者は、強大な力を持ち、いずれ世界を征服するだろうと神聖教の司教が予言したんだ。それがお前達だ」

ハア?世界を征服する?漫画かよ。

「事実だぜ。それ以来、周辺各国の動きが激しくなったんだ。テロリストも貴族子飼いの私兵もだ。理由はお前達の捕獲だ」

「何?」

「そんな……」

だから、プリスキンが保護したのか。

俺達が転生者で、狙われている事を知って、俺達を保護したのか。

「となると、あんた達は保護しようする陣営の方か」

「そうだ。だから俺達がここまで来たんだ。先に保護出来て良かったぜ。他の奴らに先を越されたらヤバかったな」

確かに、捕まったら殺されるか、利用されるに違いないな。

「このまま王国に向かい、ボスに今後の事を言われるだろうから、それまで待機しろ」

……俺達を殺そうとする陣営に捕まえようとする陣営。

どうやら俺達は、かなり混沌としている世界に転生してしまったようだな。






数時間後

しばらく走っていると、壁で囲まれた国が見えた。

長さはとても広く、高さ三十メートルくらいある程高かった。

上には兵士が何人かいて、周囲を警戒しているようだ。

壁の門には警備する兵士が五人、アサルトライフルを装備してきた。

「着いたぞ。ここから入れば、セベラル王国の中だ」

車が兵士に停められ、錬子のハンヴィーと俺達のハンヴィーに一人の兵士が現れた。

「プリスキン少佐、ボブスキー三等兵。市民証をお願いします」

プリスキンとボブスキーがカードを見せる。

「ありがとうございます。あちらの隊員の死体は我々に任せてください」

「頼みます」

兵士がヴェインの死体を運び、棺のような箱に入れた。

そして、

「こちらの車はここで置いといてもらい、こちらで用意した車に乗ってください」

「第十部隊は?」

「後処理がありますので、そちらについて行けません」

「分かった」

俺達は兵士が用意した車に乗り換えた。

第十部隊のみんなは俺達に手を振り、兵士達と移動した。

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