第3話 セレナがこの世界に!?

「あんたの名前は?」

「プリスキンだ。プリスキン少佐」

「そうか。俺は三日月赤木。前まではタスクって呼ばれていた男だ」

まずはお互い自己紹介する。

「赤木?本当に赤木って名前か??」

「そうだよ。しつこいなぁ」

「……そうか。そういう事かよ」

何一人で納得しているんだ?

「説明してくれよ。俺に何か?」

「いくつか質問させてくれ。お前はどうやってここに来たんだ?」

「は?」

「答えろ」

どうやって来たか?そりゃあ……

「ある日知り合いに刺されて、死んだと思ったら、この世界に……」

「その直前まで一緒にいた女がいたよな?名前は?」

は?何で知っている?

そう思ったが抑えて質問に答えた。

「星野セレナ」

「…………」

おっさんは手を頭に置き、ハァとため息をついた。

「おい。一体何だってんだ?」

「……いいか?よくしっかり聞けよ。星野セレナは、この世界にいる。」

「え?おい!そりゃ本当か?おい!」

「本当だ。軍基地の近くで倒れているところを兵士が確認して、保護したんだ。名前は確かに星野セレナだったよ」

「……!!」

セレナがこの世界にいる!

「おっさん!セレナは何処だ?教えてくれ!」

俺はおっさんに掴み掛かる。

「落ち着け若いの。冷静になれ」

「あ、ああ」

頭が冷え、冷静になって掴み掛かった手を離した。

「セレナは今、ここから南東にある軍基地にいる。ここから軍基地まで約150キロだ」

遠っ!めっちゃ距離があるじゃねぇか。

「だが安心しろ。近くに民間用だが、車がある。それならすぐに着く」

「車があるのか?何処に?」

「少し歩くが、近くだ」

「なら早く行こうぜ。案内してくれ」

「せっかちだなぁ。付いて来い」

俺は了解し、プリスキンと共に車がある場所に向かった。

車は数分歩いた路地に停められていた。

黒の日本車だった。

「に、日本車?なんで?」

「お前の疑問は車の中で答えるよ。とにかく乗れ!」

車のドアを開け、プリスキンは運転席に乗り、俺は後部座席に座った。

プリスキンがエンジンをかける。

だがエンジンがかからない。

「どうした?」

「クソ。こんな時にエンジンのへそが曲がりやがった」

「動かせるか?」

「少しの時間があればな。」

すると、前を見ると、ゾンビが何体も壊れた家から現れてきた。

「な!」

「クソ。銃声で目覚めたか。」

このままだとゾンビが来てしまう。

「おっさん。エンジンがかかるまで援護する。早く動かしてくれよ。」

そして俺は車を出て、拳銃でゾンビの頭を撃った。

その後もゾンビの頭を撃ち抜き続けた。

だが拳銃だけでは力不足だ。

どんどんゾンビが迫ってきている。

クソ。キリがねぇ。

しかも、どんどんゾンビを倒している内に最後のマガジンになってしまった。

これでラスト。

「赤木!俺のライフルを使え!」

プリスキンが窓からM16A3アサルトライフルを寄こした。

俺はすぐに受け取り、セミオートでゾンビの頭を撃ち抜き続けた。

素早く、そして正確に、たくさんのゾンビを撃ち続け、

車のエンジンが鳴り響いた。

「直ったぞ!乗れ!」

俺は急いで車の後部座席に乗る。

「無茶するぞ!掴まれよ!」

車を猛スピードでバックして反転させ、プリスキンがアクセルを深く踏み、車を急発進させた。

ゾンビは次第に小さくなり、見えなくなった。

ふぅ~。

「良くやった、赤木。助かったぞ」

「はあ~。危なかった~」

ゾンビはノロかったから当てやすかったが、数が多くて大変だった。

おっさんがアサルトライフル渡してくれて助かったぜ。

「それにしても、お前射撃が上手いな。1~2発でゾンビを正確に倒すとはな」

「ま、この体はそういうヤツだからな」

「どういう事だ?」

「ま、話すよ」

俺はプリスキンにこの体がゲームのアバターだと教えた。

「なるほど。射撃が上手いのは、そのアバターのおかげって事か」

「そういう事だ。さあなぜ中世ヨーロッパ風の世界に車があるんだ?俺はてっきり異世界に転生してしまったのかと思ったぜ」

「ま、正解だ。ここは異世界だぞ。じゃなかったらゾンビの説明がつかないだろ」

やっぱり異世界に転生したのか。

「それにしても、あんたが転生者だとはな。悪ぃな。銃を向けてしまってよ」

「気にするな。それより転生者って?」

「言葉通りだよ。この世界に転生した人の事だ。召喚されるのは希だが、転生はお前とセレナが初だ」

召喚?

「こっちの世界の人間が別の世界の人間を召喚する事だ。一部の魔術師が使える魔法だ。一生に一回しか使えないらしいがな」

「じゃあ、ここはやっぱり、異世界か?」

「そうだ、その通りだ」

おおー!異世界に転生するとは!

「?それだと変じゃねぇか?」

俺はプリスキンにいろいろ質問してみる。

「異世界なのに何で車があるんだ?」

「長話になるが、いいか?」

俺は力強く頷く。

「分かった。その前に、ほれ」

プリスキンが黄緑色の液体が入った瓶を渡す。

「緑茶だ。ちゃんと冷えているぜ。」

俺は受け取り、瓶の蓋を開け、久しぶりの飲み物を飲む。

やっぱり緑茶は美味ぇなぁ。

「話すぜ。今から十五年前、この異世界にある傭兵集団が召喚された。ゼロフォースという民間軍事会社の傭兵達だった。彼らは基地ごと召喚され、召喚した王国の命令に従い、この異世界で戦った。彼らにはたくさんの銃と兵器、技術、そして一部の魔法が使える傭兵のおかげで王国に貢献した。だが王国の裏切りに遭い、彼らは地下に逃げ、しばらく潜伏した。そしてある日、ある国王の招待でその国の軍を任せる事になった。その国の名前は中央王国、セベラル王国。この世界で一番上の国だ」

セベラル王国……

「セベラル王国は平等な社会でな。貴族も平民も関係ない。差別の無い国なんだ。彼らもその国に忠誠を尽くし、王国の為に戦った。十五年前の世界大戦、そして二年前の魔人戦争で彼らの人気が上がり、今では傭兵のボス、ゼロール=スカーレットは銃士様と呼ばれ、英雄になった。無論、彼の腹心の部下もだ。今この世界で軍事力があるのはセベラル王国だけだ。他の国はセベラル王国の足元にも及ばない」

おお。この世界初の召喚者が傭兵だとはな。

そりゃ、異世界のバランスが崩れる訳だ。

「ちなみに、俺は二年前まで第五部隊にいた。元ネイビーシールズのレギー=シーメンスが隊長の部隊だ。彼は凄かった。狙撃の腕も上手い。一人でも強い。そんな男だったよ」

何だそのハリウッド映画に出てきそうな奴は?チートかよ。

「車や銃があるのは、そいつらの技術がその国に譲ったのか」

「いや、正確には貸しているだ。国が金を支払って彼らの技術を貸しているんだ。理由はあまり広がらせない為だ。他国が力を得たら大変だからな」

「そこまで考えているのかよ。その軍をやっているボスってのは頭が良いんだな?」

「頭が良くなきゃ傭兵部隊のボスをやっていないだろう。ちなみに、ボスは日本出身だ」

同じ日本人かよ!

「今は可愛いカミさんと可愛い娘と一緒に暮らしながら軍の司令官を務めているよ」

しかも既婚者で、子供もいたー!

「他の傭兵もこっちで家内を作っている奴もいる。俺もボスの傭兵部隊にいた。楽しかったぜ。あの頃は」

「まあ、その国の事は分かった。で、セレナは?」

「セレナはセベラル王国から北西にある軍基地にいる。今そこに向かっている所だ。」

「いつまでに着く?」

「あと二十分だ」

「分かった」

俺はシートにもたれかかる。

異世界召喚された傭兵がいる異世界ねぇ。

俺の予想した異世界ライフとは違う世界になっているだろうな。

そのゼロールって奴が何処まで異世界で名を挙げたんだ?

少し気になるぜ。

そうこう考えていると、平地に出た。

奥に軍基地が見える。

「もうすぐ着くぞ」

車は軍基地の正面のゲートで止まる。

警備している兵士が来た。

スペツナツ兵装の男だった。

手にはAK-12を持っている。

他の兵士も同じだった。

プリスキンが窓を開け、兵士に話し掛ける。

「プリスキン少佐」

兵士が敬礼する。

「もう一人の転生者を見つけた。彼女の知り合いらしい」

「!分かりました。後で錬子隊長に」

「分かったよ」

兵士二人がゲートを開け、車は前に発進した。

軍基地は思ったより小さく、隊員宿舎と三つの大きな倉庫があるぐらいだった。

道中、走っている兵士達を見かける。

俺が見る限り、訓練されたプロの軍人だった。

なるほど。ゼロールの部隊はよく訓練されているな。

「着いたぞ」

隊員宿舎の駐車場に車を停め、俺とプリスキンが車を出る。

「おっさん。いや、プリスキン。忘れ物だ」

俺はM16A3アサルトライフルを渡す。

「フッ。ありがとよ。」

礼を言い、受け取ってスリングで背中に背負った。

「行くぞ」

俺とプリスキンは隊員宿舎の入り口に入った。

プリスキンは受付に何か伝え、受付の女性はすぐにプリスキンに言った。

プリスキンは礼を言い、俺のところに戻った。

「セレナは三階だ」

俺はプリスキンに付いて行き、階段を登った。階段にはセベラル王国軍のポスターがたくさん張られていた。

「入隊希望者は毎年多い。月に四回、民間向けの入隊試験がある程だ。」

階段を登り切り、セレナのいる部屋に向かった。

そして、その部屋に着いた。

「ここにセレナが……」

待ってろ。今行くからな。

プリスキンがドアをノックする。

「プリスキン少佐だ。転生者の少年、三日月赤木を連れて来た」

「入って」

すぐに若い女性の声が聞こえ、ドアを開けた。

中は事務室みたいな場所だった。

一番奥のいかにも偉い席には、紫髪のロングのスーツにスカートの女性、その手前の左のソファーにはメイト服の青髪少女、和服を着た日本人っぽい少女、桃髪の露出の高い服の女性が座っていて、テーブルを跨いだ右のソファーに、

「あ…………」

明るい茶髪に銀色の瞳、ピンクのワンピースを着たセレナが座っていた。

「セ、セレナ…………」

「あ、赤木君…………赤木君!」

セレナは立ち上がり、俺に抱きついた。

「赤木君!良かった…………」

「俺もだよ」

セレナは泣き、力強く抱きしめる。

「ちょっと痛ぇよ、セレナ。俺はここにいるぜ」

「赤木君!うう……うわあああああ!!うわあああああん!!」

あ~あ。おもいっきり泣いちゃった。

「セレナ……泣くなよ。ほら、」

デバイスで操作して、ハンカチを出す。

「涙用のハンカチだ」

セレナはハンカチを受け取り、涙を拭った。

「笑顔のセレナの方が一番美しいぜ」

セレナはその言葉を笑顔で返した。

周りを見ると、全員ニヤニヤしている。

「赤木。男だねぇ~。泣いちゃいそうだ」

嘘つけ。ニヤニヤしているクセに。

「さて、感動の再会のとこ悪いけど、話したい事があるから、ソファーに座って。プリスキンも」

少し赤い俺と俺より更に赤いセレナと、さっきからニヤニヤしているプリスキンは右のソファーに座った。

ニヤニヤするな!おっさん!気持ち悪いわ!

「さて、まずは自己紹介しよう。私は錬子。第十部隊の隊長よ」

「錬子はゼロの部隊に来る前は殺し屋をやっていた。銃のスペシャリストで、依頼する奴らから人気者だった女だ」

そんなおっかないのが部隊長かよ。

見た目に反して、恐ろしい女性だ。

「今私がおっかないと思ったでしょ?」

なぜバレた!?

「彼女の洞察力は凄いからな。少し見ただけで何を考えているのか分かるらしい」

本当におっかねぇ~。

「私は第十部隊副隊長の優子=ガーランドです。よろしくお願いします」

メイト服の少女が紹介した。

脇にはM92F拳銃が二丁、収まっていた。

この人、ガンマンなのか?そうには見えないが。

「おいおい赤木。見た目で判断するのは良くないぞ。彼女は見た目に反して戦う時はまるで狼のようだぞ。身体能力が人の五倍あるからな。弾を避けたり、跳躍したりと、桁違いな力を持っているぞ」

「ふふふ。少佐、ずいぶんとお詳しいですね」

あれ?優子の笑顔が怖いぞ。

「悪ぃ。言い過ぎたな」

「次はありません」

やっぱり怖ぇー!!笑顔が怖ぇよ~!

「私は無銘です。赤木さん、よろしくお願いします」

和服の少女は頭を下げ、自己紹介した。

なんかこの子はまともそうだな。

意外に礼儀正しかった。

「唯一の普通担当です。よくみんなのブレーキをかけています」

苦労してそうだ。特に仲間の。

「んじゃ、最後は私だな。私はフール。能力は自己再生だ。よろしくな」

桃髪の露出が激しい女性が自己紹介した。

言葉、男!顔は可愛いのに、男勝りな言葉で台無しだよ!

って自己再生?

「それが彼女の能力だ。傷ついても、すぐに再生するらしい」

「ま、痛いには痛いけどな」

何だこのツッコミどころ満載な部隊は!?

四人だけでも結構凄いぞ!

「赤木君。しかも部隊はこの四人だけだよ」

嘘!少数精鋭部隊かよ。

「ふふふ。気に入ってもらえて何よりだわ。さて、二人の名前は知っているから自己紹介はいいわ。セレナが話してくれたからね。じゃ、次は二人がこの世界に転生した理由を聞こうか。転生者は君達が初めてだからね」

「どういう事です?」

「後で理由を教えるわ。さあ、まずは赤木から」

俺か?まあ、この際だから、ここにくるまでの話をするか。

俺はみんなに転生する前の事を話した。

「なるほど。その体はゲームのアバターの体だと?」

「ああ。セレナはアバターと変わらないから、分かりにくいと思うけどな」

「てか、学校のいじめっ子に刺されて死んでここに来たのか?セレナとイチャイチャしている途中に刺されるとは、お前も不幸な男だな」

「うっせ。プリスキンには言われたくない」

「なるほど、後でデバイスについて聞くけど、その前にセレナね」

セレナの顔が青くなる。

「赤木も来たし、そろそろ話してくれない?転生する前の話を……」

セレナは突然、震え始め、手で震えを抑えようよとする。

「セレナ?」

「…………」

「どうしたの?」

「具合が悪いのか?」

ボソボソとセレナが何か呟いている。

俺は近づいて聞いてみる。

「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」

謝っている?何に?

このままだとセレナが話してくれない。

俺はデバイスで回復液の成分が含まれているクリームを出し、指で少し取って、彼女の手に広げた。

「それは何なのですか?」

「精神が安定する成分が含まれているクリームだ。ま、回復用のクリームだがな」

しばらくすると、セレナがようやく落ち着いた。

「大丈夫か?セレナ。」

「うん。大丈夫だよ。クリームのおかげで落ち着いたよ」

「無理して話さなくてもいいぞ」

「大丈夫。これは赤木君にも知ってもらいたいから」

俺に知ってもらいたい?

セレナはみんなを見て、話し始めた。

「今から話しますね。話は赤木君が死んだ直後から始まります。彼の学校のいじめっ子に刺されて死んだ私はしばらく嘆いていました。さっきまで一緒だった赤木君が死んで、私の精神はほぼ崩壊していました。すると、赤木君を刺した男が突然逃げだしました。私はすぐに追いかけ、建物の裏路地まで追い詰めました。」

「何で彼は逃げだしたの?自分の保身?」

「それもそうだと思いますが、私が復讐に走ると彼は考えて逃げだしたのだと思います」

「復讐に走る?どう見てもお前さんはそうには見えないがな。」

「当時の私もそう思っていました。でも、本当に復讐に走ってしまい、彼を殺してしまいました」

『!?』

セレナが……敦を殺した?

「説明してくれない?」

「…………」







セレナ

『待った!待ってくれ!これには訳が……』

『何が!?赤木君を刺したお前が、なぜ逃げる!?答えて!』

『俺は大学の推薦を受けているんだ。バレたら終わってしまう!』

『は?』

『それに、俺の父親は総務省の幹事官だ!すぐにもみ消してくれると思うさ。』

『もみ消す!?赤木君を殺しておいて、自分は逃げる気!?』

『うるさい!あんな、俺よりチヤホヤされた野郎が、ウザかったんだ!刺してすっきりしたよ!』

『……は?』

『あ?何だよ?』

『…………』

『……おい!何でパイプなんか持つんだ?』

『…………』

『おい!馬鹿!止めろ!!』

ガン!ガン!ガン!

『おい!痛え……止め、』

ガン!ガン!ガン!ガン!

『や、止め、』

ガン!ガン!ボキ!

『……ゆ、許して…………』

『……ふざけるなああああ!!』

バギ!!ガン!ガン!ガン!ボキ!ボキ!

…………

カランカララン

『…………地獄で赤木君に謝ってよ……』




「…………」

「…………」

「…………」

誰も口が閉じたままだった。

セレナがまさか敦を殺してしまったとは……

俺は驚きより罪悪感が多かった。

俺が死んだせいで、セレナが人を殺してしまった。

「……その後は?」

顔が少し優れない錬子がセレナに聞く。

「必死になってその場を離れました。無我夢中になって逃げていたら、なぜか赤木君のマンションに着いていました」

「ほう。なぜだ?」

「手を見たら、赤木君が渡してくれたカードキーがありました。そのカードキーで赤木君の部屋に入り、赤木君の部屋で泣きました。何で赤木君が死んでしまったのか、なぜ自分が赤木君を刺した男を殺してしまったのか……もう…………悲しくて……うう……」

ポロポロと涙を流すセレナ。

「そして自然と部屋にあったロープを天井に付けて、椅子に登って、首を吊りました。自然と痛みは無かったです」

「そう……だったの……」

「悲しいお話です」

「セレナさん……」

「胸糞悪ぃ結末だな……」

「……」

誰もがセレナの話を聞き、重苦しい気持ちになった。

殺した罪悪感と俺が死んだショックでセレナは自殺してしまった。

俺は後悔と罪悪感で心が締めつけられた。

俺が死んだせいで、敦も死に、セレナも自殺してしまった。

俺が……死ななければ……こんなことには……

「おい。赤木」

プリスキンが俺を揺らす。

「まさか自分のせいだと思っていないか?」

「え?いや……」

「自分のせいにするな。悪いのはそのいじめっ子の奴だが、俺はそいつの嫉妬心が分かる。俺だって、昔好きだった女が好きで、そいつに付いている男が気に食わなかった。殺してやろうかとも思った。だが、俺は殺して何になると思い、殺さなかった」

「…………」

「…………」

俺とセレナがプリスキンの話を聞く。

「セレナ。お前は衝動的に人を殺してしまった。それは例え一緒にいた赤木を殺した奴でも、許されないことだ。だからといって自分を責めるな。罪を認め、償え。それがお前の為でも、赤木の為にもなる」

「…………はい」

「そして赤木。お前は自分を責めすぎだ。それはやり過ぎると身を滅ぼす。それだとセレナがもっと悲しむ。いいか。お前がセレナを支えろ。お前しか適任はいない。いいな?」

「…………ああ」

「よし。最後は二人で話し合え。これからどうするのかを……」

俺はセレナの方を向いた。

「セレナ、プリスキンの言うとおりだ。お前は人を殺してしまったが、ここに責める奴はいない。俺もそうだ。だから、一緒に罪を背負おうぜ。俺達は偶然であれ、なんであれ、一緒になったんだ。二人で支え合おうぜ」

「……こんな私でも、赤木君はいいの?」

「馬鹿だな。誰が長年ゲームで支えたと思っているんだ?もちろんいいぜ」

「……赤木君」

「だからよ、あの時の続きをここから始めようぜ。俺はまだお前とやりたい事がたくさんあるからな」

「……うう……ひっく……赤木君……」

泣いているセレナを見る。

「おいおい。泣いているセレナは似合わねぇぜ。ほらよ」

ハンカチでセレナの涙を拭う。

「笑っているセレナが俺は好きだ」

「……ふふふ。ずるい……」

良かった。笑ったぜ。

「最後にセレナ」

「何?」

「俺は、この世界に転生する前、お前の自殺の夢を見たんだが、最後にスマホで何を見たんだ?教えてくれ」

それだけは確かめたい。

「これだよ」

セレナがスマホを取り出し、画面を見せる。

「……なるほどな。ありがとよ」

画面には、秋葉原で撮ったツーショット写真が映っていた。

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