第152話 傭兵国が選んだ道
傭兵王から了承をもらい、懐からスマホもどきを取り出してコールする。
傭兵王を筆頭に、大臣達も目を見開いてスマホもどきを凝視するが、無視して竜王国王が出るのを待つ。
つうか、そんな物欲しそうな目で見てもやらんよ?
傭兵王よ……もっとこう、威厳を見せてくれんかね?
飼い主に食べ物を強請る犬みたい目をしないでくれ……。
この時、ヴェルグとリュールが、傭兵王に対する見方を大きく変えてしまったことは、仕方ないことだと思う。
傭兵王の自業自得ともいうが……。
何度かコールをした後、竜王国王が出てくれた。
今思うと、こちらから国のトップに連絡をするなんて、初めてではないだろうか?
初めてでなくても、非常に珍しいことではある。
大抵、ゲートを使って直に会いに行くからな。
おっと! 思考が変な方向に逸れる前に、話をしなくては。
「もしもし?」
『その声は、クロノアス卿か? 何とも珍しい』
「あはは……。まぁ、自分でもそう思います。今は大丈夫ですか?」
『時間的にも問題はない。それで、どうしたのだ?』
「実は今、傭兵国の傭兵王と会談中だったのですが……」
竜王国王に今の状況を説明する。
そして、問題点の説明を次に行う。
説明し終わった後、本題の話をするのだが……。
「なので、竜王国王にも会談に参加して欲しいんですよ」
『また、難題を……。流石に私だけだと駄目だな。何人か見繕うので、用意が出来たら連絡しよう』
「ありがとうございます。ゲートは何処に開けますか?」
『玉座の間に開いてくれ。そこで待っている』
「護衛は何名でしょうか?」
『近衛筆頭を連れていく。礼儀的にも多くは連れて行けんが、クロノアス卿がいるのであれば、安全には問題ないだろう』
「わかりました。では、連絡をお待ちしています」
『うむ。なるべく早くする』
そう言ってから、通話を終えて切る竜王国王。
話も終わって席に着くと、早速、傭兵王から色々聞かれた。
主に、スマホもどきについて――。
「売ってくれ!」
遺跡からの出土品であることや古代文明期の遺産である事を話したのだが、数だけは明確にしなかった。
だが、それが失敗だった。
明確な数を言わなかったのを「在庫はある」と捉えられてしまったのだ。
結果、先の「売ってくれ!」に繋がるのだが、当然だが断る。
ちゃんと理由もあるので、説明はするぞ。
ただ先程から、ヴェルグのジト目が向けられるが、敢えて享受しよう。
「無理です」
断った後に説明を始める。
同盟参加国にしか販売してない事。
数を制限している事。
国家中枢にしか販売しておらず、所有権は王が持っている事。
個人所有者は、王しかいない事。
そして最大の理由が、傭兵国の政治にあると告げた。
「ウォッカ―殿が王を退いた後、次の王が所有者になるんですが、その辺りはどうお考えで?」
最大の懸念がこれである。
同盟参加国は、最低でも3代は良好な関係を築けると思う。
俺もまだ生きているだろうし、現王の息子や孫が調子に乗るとも思えない。
仮に敵対したら、竜の大群が押し寄せるだろうし。
だが、傭兵国は例外を除き、5年毎の大会がある。
王が変われば、方向性も変わる。
故に安易には売れない。
その事に対する、傭兵王の答えは――。
「最低でも後7年は問題ねぇが……。だが、心配する要素はねぇだろ」
「ウォッカー殿は、言葉遣いはともかく、教養はあります。ですが、後任にあると言いきれますか?」
ど正論で論破しに行く。
すると、大会の予選に関する内容を話し始めた。
それを聞いて、ある程度は納得したが、不安要素は十分にある。
その内容だが――。
「予選はな、1次と2次があるんだ。1次予選は、単純に戦闘力と運だが、2次は違う」
「では、2次予選の内容を教えてください」
「2次予選は、知力だ。教養ありきの大会なんだよ。ただ、点数が良いだけじゃ突破できねぇ。一定の点数に加え、必ず正解しなければならない問題も含まれている」
「全てを突破して、初めて本戦出場ですか。……あれ? だとしたら、リュールは……」
確か、前大会には本戦決勝戦まで行ったんだよな?
となると、教養の部分も突破している。
リュールの方を見ると、ちょっと誇らしげにしていた。
そんなリュールに聞くと――。
「ん。ネデット傭兵団は、教養にも厳しい。勉強しないと、幹部にはなれない。私も頑張った」
偉いでしょ?褒めて褒めて!と言わんばかりに、頭を差し出してくるので、軽く撫でてあげる。
あまり表情が変わらないリュールだが、明らかに雰囲気がにへら~として、顔を綻ばせている雰囲気になり「えへへ~」と、嬉しそうにする。
ヴェルグはまたもジト目だ。
その目は「リュールに甘過ぎ」と言っているようだった。
スルーは不可能なので「ごほんっ」と咳払いしてから、話を戻す。
「それでも不安要素はありますね。どうせ、ウォッカ―殿も野心はあるのでしょう? 後任が同盟を抜ける可能性もあるわけですし」
「それはそうだが……」
「ぶっちゃけ、内政干渉でもしないと無理ですね」
「一応聞くが、どの部分にするつもりだ?」
「大会そのものにですね」
「言いたいことは何となくわかった。だがよ、本戦に残れる奴なんて一握りだぞ? 前大会でも、本戦出場者は俺を含めて8人だったしな」
聞けば、2次予選で粗方脱落するらしい。
前大会も本戦出場者は、現傭兵王とほぼ同年代しかいないと言う。
戦闘力は現傭兵王より下なので、余裕だったとも言われる。
そして、過去には2次予選で全員脱落と言う事もあったらしく、書物にも記されているらしい。
初代傭兵王が取り決めた内容らしいので、初代も脳筋だけの奴はいらないと考えたのだろうな。
唯一、若い世代で上がって来たのがリュールだけとも言われた。
傭兵国の今後が危ぶまれる。
「余計に不安材料しかないじゃないですか」
「じゃあ、どうするんだよ?」
「若い世代を教育するべきでしょう」
「どうやってするんだ?」
「内政干渉になりますけど?」
「聞くだけだ。有用なら、王の発案で通す」
だから聞かせろ!と、強く言われてしまう。
仕方ないので、あくまでも雑談の中での話にさせてもらった。
その了承を取って、提案をする。
「まず、大会自体を暫くの間休止か、期間を開けてもらいます。後、前大会本戦出場者には、王城にて職に就いてもらいます。見返りは、騎士爵で良いでしょう」
「それで?」
「大会は3回分ほど2次予選迄にします。2次予選突破者には、騎士爵と職に就いてもらいますが、全ての大会で合わせた人数は10名ほどでしょうか」
「……読めたぞ。教師にするわけか」
「ええ。後、2次通過者がいない場合ですが、教育すれば通過出来そうな者を選別します」
「先に就いた者が教育するのか」
「その通りです。その上で、戦闘力の話もありますので、同時に訓練や修練もさせます」
「そこまでが前準備か。それで?」
「準備が整ったのなら、王戦予備校を開校します。大会自体は誰でも参加できるようにしておきますが、予備校に通えば通過率が上がると流布すれば……」
「後任でも、馬鹿な奴は減るわけか」
「ついでに、歴史なども教えて置けば良いでしょう。各国の過去の話や悲惨な末路などを中心に」
「馬鹿な考えを起こすなって教えか」
「情勢の見極めも入っていますがね。そこまでするのに、10年は必要でしょうね」
「予備校の運営は国営か?」
「でしょうね。ああ、入学金は必要にしてください。本気度の意味合いでも」
「金が無くて入学できない奴はどうする?」
「国で貸し付けます。金利は……年1%くらいで良いと思いますよ。返済は卒業後からで、金利の始まりもそこからで良いでしょう」
所謂、奨学金制度である。
生活費などは、冒険者ギルドに登録してもらい、街中の仕事を優先し、市場調査も同時に行わせる。
レポートを提出して、優秀な者には金一封を出しても良いと思う。
予備校入学資格は、最低でも学校を卒業している事。
大会への出場規制も行い、予備校卒業までは出場禁止にする。
卒業は入学して3年。
大会までの間は、自己研鑽してもらえば良い。
あくまでも雑談程度なので、更に煮詰めなければならないだろうから、施工するならば1年以上先になるだろう。
だがその前に、聞きたい事と言いたい事があるので、言っておく。
「そもそも、現王の子供が次の王になった場合、現王の立場はどうなるので?」
「前例に照らし合わせれば、上皇だな。過去に二度あったと、記録にもある」
「なら、さっさと結婚してください。独身ですよね?」
その言葉に、苦い顔をする傭兵王。
この話題は鬼門なのか?
すると、シャイアス殿が理由を話してくれたのだが――。
「お前、まだ吹っ切れてないのか?」
「うるせぇ! プリエーラ程の女なんざ、早々いねぇんだよ!」
「全く……。ああ、失礼。現王は元々、ネデット傭兵団の団員――それも、幹部だったのですよ」
「先代団長のですか?」
「ええ。自分がナンバー2で、ジャバが3でしてね。お互い、妻に惚れていました」
「で、見事射止めたのがシャイアス殿だと?」
「実は……告白は妻からされまして」
「おい! それは初耳だぞ!?」
少し照れて話すシャイアス殿に対し、驚愕の声を出す傭兵王ジャバ・ウォッカー。
この話はリュールも母親から聞いていたらしく、更に詳しく話し始めた。
話の内容は、砂糖を大量にぶっかけた上に、蜂蜜マシマシした上で、煮詰めたような甘ったるさの恋バナだったので、割愛させてもらう。
聞いてるだけで、胸焼けしそうだったし。
その胸焼けしそうな話を聞いた傭兵王だが――。
「…………嫁、見つけよ」
心に多大な傷を負って、ようやく吹っ切れたらしい。
傭兵王の瞳から、一筋の水が流れたことから、その心情は押して然るべし。
ようやく前に進んだ傭兵王だが、心の傷が癒える日が早く来ることを切に願おう。
とまぁ、この話題が終わったところで、スマホもどきが鳴る。
相手は勿論、竜王国王。
電話に出ると、準備が整ったと言われたので、傭兵国側に説明してからゲートを開き、竜王国王とその従者を会談場に招く。
その時、傭兵王を見た竜王国側は、項垂れている傭兵王を見て「何があった?」と聞いてきたので、軽く説明する。
その話を聞いた竜王国側は王が一言。
「まぁ、なんだ……。良い出会いがあるさ」
と言って慰める場面から、3国会談が始まった。
何とも締まらない開始であったのは、言うまでもない。
竜王国側が合流したので、始めの損害賠償請求の話に戻す。
双方の言い分を紙に纏め、一度整理する。
次に、先程聞いた傭兵国側の事情説明を話し、ようやく本題へと向かうのだが――。
「仮にその話が本当だとしても、こちらが被った被害に偽りは無いのだから、支払うべきだろう」
そう主張する竜王国側。
対する傭兵国側も退かず。
「支払わないとは言っていない。だが、条件が厳しすぎると言っている」
と反論。
結果、膠着状態になる。
(さて、どうしようか?)
お互いが引かない以上、妥協案を見つけないといけない。
本来なら、双方の国で見つけるべき事柄だが、双方ともに俺との友好を望む以上、介入は必然となってしまう。
いや、必然ではないが、争った状態のままと言うのは、非常に望ましくないが正解かな?
色々と知っちゃってる俺からしたら、命を奪う事を否定はしないが、相応の覚悟は必要だと認識している。
ならばどうするのか?
(傭兵国側の事情は理解したが、じゃあ無しで。とは行かないよなぁ。支払うものは支払って、そこからが一番なんだが、竜王国側がかなり無茶を言っているのも事実なんだよなぁ)
問題は、ここの折り合いをどうつけるか?の一点。
そこさえ決めてしまえば、話はスムーズに行くと思う。
ただ、竜王国側がかなり吹っ掛けているのもあるとは思うんだよなぁ。
やはり聞くしかないか……。
「傭兵王、少し竜王国王と話したいので、遮音結界を発動しても良いですか?」
「構わねぇよ。それで、この状況が打破できるならな」
傭兵王の言質を取って、遮音結界を発動する。
遮音されているのは、俺と竜王国王のみ。
その状態で、賠償金に関する内訳を聞く。
すると、予想通りの答えが返って来た。
「当然だが、クロノアス卿への被害分も入れてある。海洋団の件もクロノアス卿がいなければ、被害が出ていたのだからな」
「その件なのですが、海洋団の分は抜いて再計算してもらえませんか? 一応、被害は無かったのですし」
「クロノス卿が言うならするが……。良いのか?」
「ちょっと考えがあるんですよ。上手く行けば、双方納得できるかもしれませんし」
そう言ってから、遮音結界を解除。
竜王国側は、俺の頼み通りに再計算し始めた。
再計算の結果、やはり一括で支払うには厳しい金額となる。
とは言え、その金額は当初の4分の3までには減っている。
だが、傭兵国が一括で支払える額は4分の2まで。
それ以上を一括で支払うと、確実に国が傾く。
公共事業の停止に始まり、インフラの整備停止に、増税すらもしないといけなくなる。
更にダメ押しで、行商税の低下も続いている。
竜王国からの行商人が減ったからだ。
現在、傭兵国が制限無く行商できる国はリュンヌのみ。
神聖国と竜王国は、傭兵国に輸出入制限をかけていた。
食料だけは規制が無い物の、その他では大規模な規制が入っている。
その確たる一つが、魔道具の輸出入規制。
傭兵国は帝国に次いで、多種多様な人種が入り乱れている。
そして、開発関係に関しては、この世界有数の国家でもあった。
一番有名なのは、消しゴムもどきであろうか?
実際の名称は違うが、この魔道具は書いた文字を消せると言う魔道具。
製紙技術はどこも似たり寄ったりだが、製紙造は国家運営である。
硬貨と同じく、一定期間毎に製造されるので、紙の値段は意外と高かったりする。
その紙を使い回せるのだから、どの国でもそれなりに仕入れてる魔道具であった。
だが、無ければ無いで構わないと言う現実もある。
その際には、製紙量を増やせば良いのだから。
結果、魔道具が大量に余り、在庫を抱えている商店や工房も多い。
倒産していないのは、商人や工房主がやり繰りしているからだろう。
傭兵国としては、何としても現状を打破したいのだ。
だからこそ、ある程度の条件は飲むつもりであったのだが、未だに進捗無し。
傭兵国の裏側は俺に縋ったとも言える状況だった。
「うーん、これでもまだ無理か」
「こちらも、これ以上は厳しいな」
「とは言え、無い袖は振れんぞ」
三者三様に言葉を出すが、現状はあまり良くない。
今はリュンヌも行商規制をしてはいないが、傭兵国とは犬猿の仲であると、有名な話だ。
何時、牙を剝くかわからない状況である。
こうなると、俺権限で動かすしかないのだが、完全に内政干渉である。
出来れば避けたい。
なので、とりあえず打開案を出してみた。
「竜王国側は、半分の金額を一括で。もう半分を分割に出来ませんか?」
「民衆感情もあるので厳しいな」
「そうなると、傭兵国側への対応になるんだけど」
「うちはどうやっても無理だな。一括で払えるのはこれが限度だ。これ以上は民に被害が行く」
「はぁ……。仕方ない。この方法だけは避けたかったんだが……」
そう言ってから、スマホもどきを手に取る。
電話の相手は、勿論、我が陛下である。
ただ、色好い返事が貰えるか?と言われたら……微妙。
多分、怒られる。
でもな、これしか解決策が無いんだよ……。
意を決してコールする。
『誰だ?』
「グラフィエルです」
『……厄介事だな?』
「はい。どうしても、陛下のお力添えが必要でして」
『お主からそうやって言うのは珍しいな。それで?』
陛下に事情を説明する。
説明し終わった後、陛下は電話越しに大きな溜息を吐き――。
『この馬鹿者が! 完全に内政干渉だろうが!』
「お怒りはごもっともです。自分でもそう思いましたので」
『はぁぁぁ……。で、落としどころは何だ?』
「養鶏技術を売る気は無いですか?」
『……あれはお主の財産だろう』
「ですが、国家運営でもあります」
『…………牧畜もお主だったな?』
「? ええ」
『こちらへの見返りは?』
「させます。話し合いは必要でしょうが」
『お主の好きにしろ。但し、国益は考えよ』
「ありがとうございます。それと、もう一つ」
『まだあるのか!?』
「傭兵国が同盟に参加した場合ですが……」
『……
「わかりました」
『グラフィエルよ。あまり他国に首を突っ込みすぎるなよ?』
「ご忠告、肝に銘じます」
『うむ。良い報告を期待しておる』
陛下との話も終わり、会談に復帰する。
さて、陛下の言質はもらったし、解決に動きますか。
「さて、こちらは話がつきました。その前に確認です。二国とも、これは内政干渉になります。その上で、条件を呑むと言うのであれば、解決策を用意しますが、どうしますか?」
「その内容による」
「こちらもだ」
「良いでしょう。まずは、傭兵国側には同盟へ参加して頂きます。これは絶対条件です」
「それで?」
「次に、自分の知的財産を販売します。竜王国側にはこれを買って頂きたい」
「どんなものなのだ?」
「養鶏に関する技術です。卵の輸出入はあれど、その数は少ないと思いますが?」
「確かに。……なるほど。安定供給が狙いか」
「それもありますが、卵は栄養価値も高く、いろんな料理に使えます。運営は暫くの間、国家運営になるでしょうが」
「国が資格を与えて、商人に画期的な養鶏技術を売るわけか。商人は薄利多売で利益を出すと?」
「ランシェスでは、既にそうですね」
「ある程度までは、国で安定供給させて価格を落とすわけか。悪くはない」
「傭兵国には、その金額を貸し付けましょう。当然、同盟に入ることが条件ですが」
「こっちには売らねぇってか」
「いえ。買えるなら売りますよ?」
「クソが! 卵に関しては竜王国から買えってか! 抜け目ねぇな」
「その代わり、さっき話したでしょう?」
「ちっ! マジで大会自体を弄れってか?」
「見返りはあると思いますが?」
「……わーったよ! それで良い」
「後は一括で支払えますね?」
「ああ。だがよ、お前は丸損じゃねぇか」
「そうだな。クロノアス卿、海洋団の件はどうするのだ?」
「悲しいすれ違いがあったようなので。こちらは、ほぼ被害が無いですし、手打ちで行こうかと」
「お互い請求はしないってか? こっちは壊滅してるんだが?」
「嫌なら良いですよ。頑張って竜王国側を説得してください」
「……クソが! 全て吞んでやるよ! そんでもって、嫁を見つける!」
「まだ引きずってたんですか……」
どうにか両国共に納得してもらえた。
まぁ、教えるのはランシェスから派遣される人なんだがな。
流石に長期滞在は厳しいし……。
さて、問題は陛下への見返りであるが……、どうしようか?
とりあえず、金利と称して、余っている魔道具でも大量に貰っていくかな。
それを陛下へ奏上すれば、体裁だけは保てそうだし。
……本当に体裁を保てるのか?
地味に不安にはなったが、他に思いつかないので、とりあえずそう言う事にしておく。
後日、陛下に呆れられたのは言うまでもなく、陛下からの依頼を無償で複数受ける羽目になった。
とほほ……。
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