第151話 傭兵王との会談
傭兵国首都パスターバに着いて、ネドット家で一晩お世話になった翌日、シャイアス殿に案内されて、城へと向かう。
まぁ、朝からちょっと驚いたこともあったんだが、今は落ち着いている。
その驚いた事とは、プエリーラさんの年齢だ。
朝、何となく「リュールって母親似だよな」と言ったところ、何故か歳の話になったんだ。
で、聞いてみてビックリ!
プエリーラさん、20代後半かと思ったら、今年で35と言われた。
ナリアは童顔だったので理解できるが、プエリーラさんは美魔女と言うに相応しい女性だったことが判明した。
『え? いくつだと思ってたんだい?』
『20代後半かと』
『あら、お世辞でも嬉しいねぇ』
『いや、お世辞ではなく、本気でそう思ってました。リュールは若いころに産んだのだと思っていましたから』
『クロノアス卿、人の妻を口説かないで欲しいのだが?』
『邪推過ぎです。シャイアス殿』
なんてやり取りがあったほどである。
リュールも、将来は美魔女になるのか……。
はっ!何か寒気が!
……うん、この考えは危険だな。
「何を考えてるの?」
「なんも考えていませんよ」
「嘘だね。まぁ、追及しないであげるよ」
ヴェルグは勘が鋭い。
迂闊なことは考えられんな。
そうでなくても、顔に出やすいみたいだし。
「ん。もうすぐ」
「リュール、その、ん。ってのはなんだい?」
「ラフィの前だとそうなる。変? お父さん」
「いや。お前がそれで良いなら気にしないが」
雑談しながら向かっていると、城が目の前に見えた。
さて、ここで本来なら、父上に激怒されそうな話をしようと思う。
その話とは、傭兵王との会談に向かうのに、馬車を使わず、徒歩で来たことである!
陛下や父上に知られたら、大目玉間違いなしの案件である。
と言うのも、今回の会談は、同盟盟主として赴いているからだ。
言わば俺は、各国の取り纏め役的な立場として、今回の会談に臨む形となっている。
なのに、馬車で向かわず徒歩でと聞いたら『体面と言うものがな!』とか『体裁を整えんか!』とか、終いには母上迄出てきて泣かれそうな感じもある。
これは絶対に秘密にしないといけない。
そう、心に誓い……何故か、後日バレたことを言っておく。
バレた後、めっちゃ怒られました。
閑話休題
城の門番に俺達が来たことをシャイアス殿が伝え、兵士が顔色を変えて脱兎のごとく走っていく。
一体、何があったというのか?
俺が分からずにいると、シャイアス殿が説明してくれた。
「竜王国での顛末に、帝国内乱の話。傭兵国兵士の一部は、トラウマになっているのですよ」
「竜王国の話は分かるが、なんで帝国内乱の分まで?」
「これでも我がネデット傭兵団は、この国で1、2位を争う程の傭兵団なのです。その傭兵達が通じないとわかれば……」
「機嫌を損ねないために動くと? 俺はそこまで野蛮人ではないのだけどなぁ」
「だよね。精々、我儘くらいだよ」
「過保護とも言う。ラフィはちょっと甘過ぎ」
「ぐっ! まさかの身内からの口撃……」
「はっはっは。仲が良いですな。これなら私も安心です」
雑談しながら待っていると、さっき走って行った兵士が戻ってくる。
めっちゃぜーはー言ってるが、どうにか同僚の門番に要件を伝え、もう一人の門番がこちらへ相対する。
「お待ちしておりました、皆さま。王は早急に用意をするとの事ですが、少しお時間を頂くとの事です」
「長いようなら、町でも散策して時間を潰すが?」
「30分以内には、全て整えるとの事ですので、是非、城内の応接室でお待ちいただけないかと」
「了解した。では、待たせてもらおう」
「ありがとうございます。不肖、私がご案内させていただきます」
「よろしく頼む」
門番の兵士に案内され、城内に入る。
色んな城を見てきたが、傭兵国の城は良く言えば機能的で、悪く言えば質素。
余計な物を置いていないのだ。
最低限の調度品はあるが、過度に配置しておらず、動きやすさを重視させた感じだ。
ただ、仮にも一国の城なのにこれで良いのか?とは感じてしまう程だった。
まぁ、国それぞれに特色はあるし、口には出さんが。
「こちらで暫し、お待ちください」
「感謝する」
兵士は応接室の前まで案内し、扉を開けた後、一礼して去って行った。
うん、これが普通の兵士の対応だよなぁ。
チラッとシャイアス殿を見ると――。
「何か誤解されているようですが、あれが普通ですよ。噂だけで怯えている兵士など、使い物になりませんな」
「もう一人の門番は?」
「あの者は実体験していますから。確か、元は海洋団の一員で、竜に殲滅させられた生き残りだったはず……」
「あ、納得しました。うん、あれで生き残ったのなら、トラウマにもなるわ」
「張本人でしょうに……」
シャイアス殿のジト目が俺に刺さるが、華麗にスルー。
最近、俺のスルースキルも磨きが掛かって来たな。
なんてことを思いながら、部屋で寛ぐ。
部屋の中にはメイドさんが居て、お茶やお菓子を提供してくれた。
そして、きっちり30分後、一人の騎士が現れる。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません。会談の準備が整いましたので、お呼びに参りました」
「ご苦労様。参加者は何名ですか?」
「王と側近数名になります。私は護衛役として同席致しますので、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
迎えに来た騎士に案内され、会談場へと向かう。
案内された部屋は会議室。
中に入ると、30代後半くらいの男性が椅子に座って待っていた。
ただ、その姿は威風堂々としていて、如何にも武人って言った感じである。
だが、その男の第一声を聞いた途端、ちょっとズッコケそうになってしまう。
「いらっしゃ~い!」
「何処の桂 〇枝だ!」
「かつ……? なんかわかんねぇが、ノリは良いな!」
思わずツッコんでしまった。
いや、だってさぁ……言い方と仕草が『完コピしてんの?』ってくらい、前世で偶々見た番組にそっくりなんだもん。
あ、ヴェルグがジト目で睨んできてる。
「ごほん、失礼した。ちょっと知ってる人の喋り方に似ていたもので、思わずツッコんでしまった」
「先取していた奴がいるのか。う~む、新しいのを考えるべきか?」
「陛下。それよりも挨拶が先では?」
大臣だろうか?傭兵王にそれとなく助言していたが――。
「つかみは大事だろうが。まぁ良いか。改めて、ようこそ。俺が傭兵国の王、ジャバ・ウォッカ―・イジェネストだ」
「同盟盟主、グラフィエル・フィン・クロノアスです。こちらは婚約者のヴェルグとシャリュール・ネデットです」
「ヴェルグです」
「シャリュール。……ウォッカ―、また強くなった?」
「こら、リュール! 陛下になんて口を!」
「気にすんな、シャイアス。お前んとこの娘だけは特別だ。本来なら、お前の娘が王なのだからな」
どういうことだ?
チラッとシャイアス殿を見ると、何故か傭兵王が答えてくれた。
「前の傭兵王決勝戦でな、シャリュール嬢と戦って、俺は負けてんだよ。ただな、シャリュール嬢がやりたくないって辞退してな。次点の俺が繰り越してんだ」
「と言う事は、実質的な王はリュール?」
「いえ。辞退した時点で、資格を失いますから。優勝者は娘ですが、国の実権はウォッカ―王が握っています」
「だとすると、竜王国への侵攻は王の指示によるものだった?」
俺がその話題を持ち出すと、ビクッ!と強張る大臣達。
傭兵王も小さな溜息を吐いてから、事情を話してくれる様だが、その前に――。
「とりあえず、座ってくれ。事の顛末は話すからよ」
「わかりました」
「あー、それとな、敬語はいらねぇ。ここは傭兵の国だ。普段通りで良い」
「これ、正式な会談ですよね? 形式は必要なのでは?」
「正式だが、ここにはお前さん方しかいねぇからな。俺は成り上がりだから、出来るなら普段どおりが好ましいのさ」
「そういう事なら、遠慮なく」
「おう」
何というか、少し皇王に似ている部分があるな。
ただ、気さくな分だけやりやすいのか?
一応、言質を取られない様に警戒だけはしておくけど。
少し警戒しながらも、用意された席に座り、侍女達が全員分のお茶を用意していく。
その様子をチラッと見ると同時に、瞬時に鑑定もしておく。
侍女達を鑑定してわかったことは、俺の想像通り、護衛も兼ねている事だった。
どの国も一定以上の戦闘能力保持者が、王の側近侍女を務めていることを改めて知った。
尚、その侍女達の実力だが――。
(ナリアには単体では敵わないが、2対1なら万が一も有り得る強さか)
今まで見てきた侍女達の中でもトップクラスであった。
流石、傭兵の国と言うべきかね。
だからさ……、ヴェルグは疑惑の目を向けないんで欲しいんだが。
「(新しいお嫁さん探し? ミリアに言いつけるよ)」
「(勘違いするな。強さを調べていただけだ)」
「(ふーん。で、どの程度なの?)」
ヴェルグと小声で話しながら、先程見た鑑定結果を教える。
そうすると、ヴェルグも興味を持ったようだ。
そして、ここからは小声ではなく、念話での会話に切り替わった。
『ナリアでも2対1になると危ないくらい強いんだ。他の国はどうなの?』
『ナリアを除けば、この国が一番じゃないかな? 次が帝国だな。うちの国が次で、最下位は神聖国だな』
『王様が聞いたら、ラフィに依頼しそうだね』
『ナリアの貸し出しと訓練をか? 勘弁してくれ。絶対に言うなよ? それと、陛下な』
なんて念話をしているうちに、全員にお茶が配膳され、本題へと入る。
そして、傭兵王の話だが、まずはこの国の内情について少し話し始めた。
「話をする前に、この国の王がどうやって決まるかは知っているか?」
「確か、数年に一度、武術大会を開いて、優勝者が王になるでしたっけ?」
「間違ってねぇ。んで、俺はその王を12年続けている」
「俺が竜王国で暴れたのが2年前だとすると……、当時は政権交代前だったと?」
「いや、政権は既に交代し終わった後だったんだが、その時の大会なんだよ。シャリュール嬢に負けた大会は」
「は? 当時12歳の女の子に負けたと?」
「地味に傷ついたぜ。1か月くらい落ち込んで、色々と見落としをするくらいにはな……」
(12歳の頃のリュールに負けるとか、傭兵王って実は弱い?)
失礼な考えが浮かんでしまったので、申し訳ないが鑑定を一瞬だけ発動して、リエルに精査してもらう。
リエルは瞬時に精査し終わり、俺に見せてくれたのだが、傭兵王のステータスは想像より高かった。
(当時より強くなってるとリュールは言っていたし、相当な実力者じゃね?)
ナリアだと確実に負けるステータスを持つ傭兵王。
我が家の家臣でも、傭兵王に勝てる人間は少ない程のステータスなのだが、12歳のリュールは勝ってるんだよなぁ。
改めて、リュールの強さを再確認したわけだが、本題からズレ始めていたので、思考を元に戻す。
「では、何故竜王国に攻め込んだのか、理由を聞きますが……」
「海洋団に関しては、すれ違いだな」
「……は?」
この王は何を言っているのだろうか?
そんな話を信じろと?
しかし傭兵王は、こちらの事などお構いなしに話を続ける。
「元々、海洋団については、竜王国の現状調査を海から行う様にと命令を出していたんだよ。腐竜問題は、竜王国だけの話じゃなかったからな」
「どういうことです?」
「あのまま汚染が拡大していたら、竜王国首都に汚染が広がるまでに、傭兵国の一部も汚染されてたって話だ」
「竜王国は確か、その問題に傭兵を雇い入れていましたよね?」
「ああ。だがな、こっちも商売だ。国家の固有戦力ならいざしらず、民間の傭兵団だぞ? 無償でやれとは言えねぇ。だからこその海洋団だったんだが……」
「そこで先程のすれ違いにいくのか」
「そうだな。そしてそのすれ違いだが、大量の竜の群れに船団は恐慌状態に陥り、指揮官は混乱。相手が危害を加えるつもりは無いと言っていたそうだが、信じられないと戦闘を強硬。結果、船団は壊滅だ」
…………うん、これは半分やっちまってる。
あの時、俺は傭兵国が竜王国へ侵略を開始したと確信していた。
だが、話を聞けばご覧の通り。
でもなぁ、傭兵王の話が真実とは限らないんだよな。
証拠が無いし……。
それに、国境砦に侵攻したのもある。
その話をすると、傭兵王は深いため息をついて
を始めた。
「砦の件は、現場の暴走だ。指揮官が前王の息子だったことは知っていると思うが……」
「捕らえたのは俺だから知っていますよ」
「実はな……、現場には動くなと指令書を送ったんだよ。それなのにあの馬鹿ども、勝手に動きやがって!」
「政権奪取を目論んでいたそうですが?」
「間違いない。こっちの不手際もあるが、概ねそれで合ってる」
「不手際を聞いても?」
そう聞くと、大臣達は良い顔をしなかったが、傭兵王は仕方ないとばかりに話してくれた。
まぁ、国の汚点みたいなことだし、気持ちはわかる。
でもな、聞かないと話が進まないのも事実なんだよ。
「軍の指揮官な、前王の息子になっていたのを気付いていなかったんだよ。一応、軍職には就けていたからな。事務方だが」
「それが蓋を開けたら、現場総指揮官だったと?」
「書類を偽装しやがった様でな。気付いた時には、全て終わった後で賠償責任だよ……」
「当人たちはどうなったので?」
「全部吐かせた後、処刑した。竜王国への誠意も込めた意味合いでな」
「前王は、文句を言わなかったので?」
「前王は評判が悪くてな。恨まれてた傭兵の一人に殺されている。母親の方は、幼少期に亡くなっているそうだ」
更に詳しく聞くと、前王には妾もいたらしいが、政権交代時に大部分を手放したそうだ。
理由は養えないからなのだが、ここで傭兵国の貴族について知ることになった。
「傭兵国の貴族ってのはな、前王が退任時に国民投票によって、どの程度の爵位を与えるか決めるんだ。でだ、前王の爵位は騎士爵と最低爵位だった。年金は出るが、何人も妾を養えるわけがねぇんだよ」
「ん? それだと、貴族になったら王にはもうなれない?」
「いや。大会で優勝すればなれるぞ。尤も、デブった奴が勝てるほど、大会は甘くねぇ。最悪、死人が出る大会だからな」
王を決める大会と言うのは、かなり危険らしい。
観客に被害がいかないよう、結界などの展開は何重にも施されているそうで、武技だけではなく、魔法も使用可能で、前大会では死人はいないが重傷者は何人もいたそうだ。
そんな大会で、当時12歳のリュールは優勝したのか……。
さて、ここまで話を聞いたが、問題は証拠が無いことだ。
作り話と切って捨てるには問題だろう。
だが、傭兵国側が正しいとも言えない状況。
そこでふと、竜王国との話し合いはどうなったのか気になったので聞いてみる。
「竜王国への賠償金はどうなったんですか?」
「折り合いがつかなくてな。払う気はあるが、金額が……な」
「詳しく聞いても?」
話を聞くと、竜王国側は相当怒っていて――当たり前だが――賠償金の支払いは一括でしか認めないと言っているそうだ。
で、その金額なのだが……。
「国庫を空にしても足りねぇんだよ。分割は認めねぇし、こっちが一括で払える金額を提示したら『全く足りない!』とか言われるんだぜ? もうさ、王なんて辞めてぇよ……」
目が単一色になり、天井を見上げる傭兵王。
彼は天井を見上げながら――。
「そうだ、王なんて辞めてしまおう。傭兵も引退して、自由な冒険者で食っていこう」
「陛下ぁぁ! どうか戻ってきてください!」
傭兵王は精神的に追い詰められているらしい。
大臣達が必死に、現実へ呼び戻している。
そこで思ったのが、王ってそんな気軽に辞めれるのかって話。
その事を聞くと、国民も知っている話らしく、シャイアス殿が話してくれた。
「5年毎に大会を行うので、無理ですな。ただ、例外もあります」
「その例外とは?」
「王の身に何かあった場合ですな」
そう言って話す内容は、納得できる内容だった。
基本は5年毎の大会で決めるが、王が崩御すれば前倒しで行われるそうだ。
では病欠の場合だと、どうなるのか?
これは2種類に分かれるらしい。
王の回復が見込めない場合は、崩御してからか、大会時期が来てから開催するそうだ。
そして、もう一つの方だが、回復の見込みがある場合、大会自体を遅らせるらしい。
その判断は病床であっても、最終判断が降せる状態である事。
何故、こんな制度を設けているのかと言うと、それにも理由があった。
「傭兵国は傭兵が作った国ですから、等しく機会を設ける事とされています」
「その理念は良いですが……」
「他にもあります。大会ですから、当然、予選があります。そして、王はシード権を与えられていますので、本戦からしか出ません」
「ああ、遅らせる理由はそこですか」
「ええ。そして、そのことが等しく機会をに繋がるのです。シード権は、前優勝者への賞品でもありますから」
そこまでシャイアス殿が話したところで、傭兵王が現実に戻ってくる。
まだちょっと現実逃避しそうな感じはあるが、埒が明かないので話を進める。
「さて……。問題は証拠が無いことなんですよねぇ」
「証拠か……。そう言えば、俺の執務室に何度か書き直した指令書があったはずだが……」
「なんでそんなものを取ってあるんですか?」
「全て破棄したはずなんだが、別の場所に置いていたようでな。何故かそのまま片付けなかったんだよ」
「それ、見せてもらえます?」
そう言うと、大臣の一人がわざわざ取りに行くようだ。
流石に一兵士には頼みづらいか。
大臣が戻るまで、適当に話をして待っていると、数枚の羊皮紙を持った大臣が戻ってくる。
そして持ってきた羊皮紙をこちらに手渡してくれた。
その羊皮紙を見てみるが――。
「これ、証拠になるのかね? 後で書いても大丈夫そうだし」
「だがなぁ……。他にと言われてもなぁ……」
お互いが唸っていると、ヴェルグが俺の服を引っ張って来た。
ヴェルグに顔を向け、用件を聞くと――。
「これ、インクが古いよ。最近書いたものではないと思う。鑑定とかリエルを使ったらどうかな?」
「あ、その手があったか」
「ラフィ――しっかりしてよ……」
「すまん……」
と言うわけで、鑑定とリエルを起動。
結果は、2年前の物と出た。
こうなると、傭兵王の言葉の信憑性が一気に出てくる。
ただ、竜王国側が認めるかと言えば、別の話なんだよなぁ。
どうするか悩んだ結果――。
「傭兵王、この会談に竜王国王を交えたいんだが、良いか?」
「それは構わねぇが……」
「悪いようにはしない。信じて欲しい」
「……わかった。信じよう」
傭兵王の承諾も貰ったので、懐からスマホもどきを取り出し、竜王国王へと連絡する。
さて、どう転ぶのか未知数だが、良い結果になるように動くとしますか。
傭兵国はリュールの故郷だしな……。
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