第115話 リーゼ、恐ろしい子!

 無事にラスボスっぽいゴーレムを倒して、次の階層に行く

 着いた先は、少し広い部屋

 部屋の中には何も無く、奥に扉が見える


「鬼が出るか、蛇が出るか…」


 誰かがそんな言葉を発した後、扉を開ける

 尚、この世界の鬼とはオーガの事を指す

 前世でも同じ言葉があったが、意味が微妙に違うのだ

 …どうでも良い話だな


 扉を開けると、光が差し込み、少し眼が眩む

 眼が慣れ、辺りを確認すると


「は?なんじゃ、これ!?」


「お宝の山だな…」


 そこにあったのは、飛空艇だった

 大きさは帝国の物よりも小さい

 敢えて言うならば、中型飛行艇と小型飛行艇と言ったところか


 数は目算だけでも軽く500隻以上

 更には、地下へと続く扉も見つかり、確認しに行く

 そこには、組み立て途中や塗装中の飛空艇があった

 数?上階にある飛空艇の倍以上はある


「「「おっしゃー!これで俺達も大金持ちだぁー!!」」」


 複数の男性冒険者が大声を上げる中、第3陣のリーダーが何かを考え、こちらに質問してきた


「今、俺達の依頼状況はどうなっているんだ?」


「第2陣は失敗扱いですね。ただ、無事に帰還するのであれば、今回の件は不問になると聞いてます」


 これは出発前に、陛下とギルマスから伝えられていたことだ


『かなり想定外の事が起こっている様ですし、無事に帰還するなら、不問で良いですね?』


『ギルドマスターよ。本来なら、失敗扱いでは無いのか?想定外に対処しながら達成するものだと思うが?』


『遺跡探索とダンジョンの攻略では、準備する内容が違います。ある程度なら対処できますが、今回の件を見ると』


『陛下。自分もギルマスの意見に賛成です。但し、第3陣については、時間的に失敗と捉えるのは早計です。よって、第2陣のみ失敗扱いが妥当かと』


『グラフィエルもギルマス側か……わかった。第2陣に関しては失敗扱いにするが、無事に帰還したのなら、いくばくか褒賞を用意しよう。お主と第3陣については帰還後に考える』


 この様な話し合いがなされていた

 そして、声を上げたのは第2陣の男性冒険者ばかり

 彼らは失敗扱いなので、大金が入ってくることは無い

 その話を横で聞いていたので


「そんなぁ~。それはあんまりだ~」


「2カ月で見切られるとか、理不尽過ぎだわ」


「グラフィエルさんからも、口添えしてくださいよ」


 詰め寄る、第2陣男性冒険者

 なので、彼らのメリットを話しておこう


「悲観することはない。今回の依頼では、無事に帰還すれば不問になる。依頼達成数に傷はつかないし、ギルド側の戦力算定ミスって形で、ギルド側が責任を持つんだ。金では買えない報酬だぞ」


「それは、そうだけど」


「それに無一文ってわけじゃない。ちゃんと報酬は出る。命があって、依頼達成数に傷がつかなくて、お金も手に入る。最良じゃないか?」


「言われてみれば…命あってのものだしな」


「第3陣については、代表者…今回だとリーダーと補佐役が城に呼び出されて、会議だな。そこで、色々と決まるんだが…」


 そう言ってから、リーダーの方を見る

 彼は肩を竦めて、一言


「俺達も微妙なラインだな。ただ、最後のゴーレムに全滅、若しくは大打撃を受けて、攻略は出来たとしても何人かは死んでた。やってみないと分からない話だが、俺達は命があっただけ儲けものだな」


 そう言って、仲間の方へと視線を移す

 仲間達も異論は無いと頷く

 後は、陛下とギルマス次第だな


 その後、一通り探索し、途中で厨房やら仮眠室やらを発見

 中々に厳しい戦いだったこともあり、全員が「一休みしよう」と言うので、本格的な休息に入る


 まともな飯も食っていない……と言うか、あの状況では食欲が湧かなかった事もあり、全員の腹の虫が一斉に鳴り出す

 女性陣は顔を赤らめ恥ずかしそうだが、食欲には勝てないんだから、仕方ないと思う


 全員の腹を満たす為、俺は空間収納内にある食材を大量に取り出し、ミリア達に渡す


「では、色々と作りますね」


「ミリアさん、私も手伝います」


「僕も」


「僕はミリア達の護衛をするよ。男も多いし」


 ミリア、ナユ、リアが調理担当

 ヴェルグがその護衛につく

 他の女性冒険者達も「簡単な物なら」と言って、ミリア達と一緒に食事の準備へ

 男性冒険者達は、料理が出来るまでの間、各々に組んで探索

 30分後に集合と言う事にした


 俺は少し気になる事があったので「俺は少し遅れるから、先に食べといて」とだけ告げ、壊したゴーレムの部屋に行く


「一人は駄目だぞ」


 そう言って、ウォルドと第3陣のリーダーがついてくる

 本当は一人で調べたかったのだけど、仕方ないか

 そう気持ちを切り替えて、ゴーレムの部屋へと行く


 最終戦の部屋には、ゴーレムの残骸がある

 そして奥には、この部屋に通じていた転移陣

 俺は、その転移陣を起動させる


 転移陣の先の部屋を確認しに行くと、肉壁や触手が消え、本来の遺跡になっていた

 ゴーレムの残骸がそこらにある中、もう一つの事も確認する


「(……ふむ。時空間干渉は消えているな)」


 となると、あのゴーレムが起点だった?

 でも、あのゴーレムの性能でそこまで出来るのか?

 それに、もう一つの懸念事項


「(この場合、格納庫?ドッグ?どちらでも良いけど、あそこにも空間干渉で空間拡張されているんだよなぁ)」


 そうなると、再びダンジョン化するのではないかと懸念が残る

 二人は黙ってついてきているが、何か思う所はあるらしい

 先程から警戒はしながらも、何かを考え込んでいる


 下で確認することを終え、格納庫の方へと戻る

 ……やはり、大規模な空間拡張がされている

 今では希少な時空間属性だが、昔は使い手が多かったのだろうか?

 そう考えてしまうほどに、ここの空間拡張は立派であった


 それからもう一度、他を見回り、危険が無い事を確認していく

 その道中、蒼白く光る魔石を発見した


「これは…何かの魔道具?」


「どれどれ……そうだな、魔道具だな」


「そう言えば、他にも同じ魔道具があったぞ」


 3陣のリーダーの言葉を聞き、その場所へ案内してもらう

 その言葉通り、部屋の隅に同じ魔道具があった

 ……もしかして、反対側にもある?

 そんな考えの元に、反対側の方を探してみると


「こっちにもあったな」


「これは、なんの魔道具なんだ?」


「光を灯す設備?いや、それにしては大掛かりな気も」


 二人の言葉を聞きながら、俺は魔道具に【鑑定】をかける

 予想通りなら、多分……


 鑑定結果は、俺の予想通り【空間に作用する魔道具】であった


 この鑑定結果が示すなら、これが空間拡張をしていると判断できる……出来るのだが……


「(1万年以上前の遺跡で、未だに魔力枯渇しない魔石を含んだ魔道具が存在するのか?)」


 新たな疑問が生まれた

 しかし、この疑問は直ぐに解消された


 小1時間程見回り、皆の元へ一旦戻り、休憩と食事を取る

 同時に、男性冒険者からは情報共有も行う

 すると、とある情報を聞く事となった


「もう二階層、地下があったんだけどよ、その最下層にバカでかい魔石とその魔石の設置場所に魔力溜まりを見つけんだ」


「バカでかいって、どれくらいよ?」


「オークション行きクラスの魔石だな。取り外すか相談しようと思ってな」


「それは、止めた方が良いな」


 俺の言葉に、全員がこちらを振り向く

 ミリア達は、大人しく静かに食事を満喫中


「さっき確認したんだが、ほとんどの部屋に空間拡張が使われている。恐らく、その魔石から魔力が供給されていると思う。もし、取り外したりしたら、何が起こるかはわかると思うんだが?」


 俺の言葉に、全員が唾を飲み込む

 もし、空間拡張が解除されたら、部屋は圧縮されてしまう

 それでも、そこそこの広さがあれば、問題無いが、極端に狭かったら?

 答えは簡単

 全員が圧縮されて、ピチュン案件だ

 簡単に想像できる内容だっただけに、誰も魔石を取り外そうとは言わなくなった


 食事後は全員が睡眠を取り、6時間後に起床

 しかしここで、問題が発生


「どうやって、外に出るんだ?」


 この言葉に固まる全員

 そこからは、出口を探す探索が始まるのだが……


「直ぐに見つかったな」


「この場所が生産場所や基地だったのなら、そりゃあるわな」


「あの焦りは何だったのか……」


 意味もなく疲れた俺達であった

 出口から外に出て、探知魔法を仕様

 探査して分かった事は、王都から然程離れていない事だった


「あれ?ここって、王家直轄領?」


「マジか……」


「後で処罰とか嫌なんだけど」


「寧ろ、褒められるんじゃね?」


 等と好き勝手に予想を立てながら、俺の開いたゲートを潜っていく冒険者達

 今回は、冒険者ギルド内に直接繋げたのだが……


「うぉっ!?なんだなんだ?」


「これって、ゲートか?」


「おい、あいつらって、遺跡探索に出た奴らじゃねーか?」


 少々、ギルド内が騒がしくなってしまった

 その騒ぎを聞きつけ、ギルマスが降りてくる

 俺が最後にゲートを潜り、ギルド内に出るのと同時にギルマスと鉢合わせる


「グラフィエルか……ご苦労さん、と言いたいところだが、直接ギルド内に繋げるバカが何処にいる!」


「ここにいる!」


 開き直って胸を張って答える

 ギルマス、げんなりする

 ミリア達は後ろで


「まぁ、ラフィ様ですし」


「今更感はありますし」


「ラフィだから、とも言うけど」


「何か問題がある様に見えないけど?」


 等と、好き勝手に言い放題

 最近では、苦労人となったウォルドが俺とギルマスの間に入る

 3分後、双方落ち着いたところで本題に入る


「まずは、各冒険者からの報告だな。それと、第2、第3のリーダーとグラフィエルは、城で報告があるからな。明日、迎えを出すから、今日は報告だけして解散だ」


「もうすぐ、日が暮れるんですけど?」


「早めに済ますから、よろしく」


 結局、屋敷に帰ったのは、完全に日が暮れてからであった

 帰る途中で夕飯を食べて帰ったのは、ちょっとした思い出かな

 ミリア達とこういった感じで食べることは無かったしな



 翌日、珍しく寝坊した俺は、昼前まで寝ていた

 尚、寝坊したのは俺だけではなく、捜索に出ていた全員が寝坊した

 精神的な疲れが出たのであろう


 着替えを終え、食堂に向かうと皆が待っていた

 ウォルドは冒険者ギルドに出向いているらしい

 食事を取り終わる頃にウォルドが帰って来る


 話を聞きたいところだが、丁度良く城からの迎えも来た

 タイミングが良いのか悪いのか、悩むところだな

 馬車に乗り込もうとしたところで、馬車が多いことに気付く


「私達も一緒に行きますよ」


 リーゼが代表して答える

 あれ?こういう場合ってミリアじゃなかった?

 ミリアの方を向くと、既に乗り込んで静かにしている

 いつの間に乗り込んだんだ?


 ちょっとした不思議があったが城に向かって馬車は走る

 ナユ、リア、シアの3人は留守番をすると言って、残っている


「平民の私が行っても……」


「下級貴族の娘だよ?行っても何も言えないよ」


「シアはお役に立てそうにないのです……」


 とは3人の言葉だ

 無理強いするつもりも無いので、3人の要望を聞き入れていた

 で、現在は城の会議室にいるのだが……


「余の直轄領にそんなものがな……」


「ある意味、爆弾ですな」


「否定はしませんが、警備の者は配置しませんと」


 遺跡内で見つかった物に関しては、陛下は警備の者を一応は配置させている

 人数が少ないので、追加で人員を送る予定らしい


「そこは問題ではないな…問題は、お主等への報酬だが」


「見つかった物が物ですしな。査定額をどうするか…」


「帝国から、わかりそうな人を拉致ってきますか?」


「言葉を選べ…気持ちはわかるがな」


 査定額が算定しづらい中・小型飛空艇

 更には、その数も膨大である

 正直、どれほどの値がつくかも不明だ


「もう一つ…3陣の者達への報酬だが」


「それに関しては、話をしています。算定額の1割を報酬として支払う事で合意しています。本人達は『グラフィエルがいなければ、生きていなかったかもしれない。報酬に関しては任せますが、ある程度は欲しい』との事でしたので」


「ほう…流石は高ランクと言うべきか。第2陣の者達はどうなのだ?」


「そちらは、一人につき大金貨1枚で話をつけました。こちらも了承済みです。戦力の算定ミスと想定外すぎる依頼なので、こちらが謝罪と口止めをする形にはなりましたが」


 リーダー二人がいる前で、普通に話をする陛下とギルマス

 ギルマスから言い含まれているのか、軽く頷くだけで一言も声を発しない

 少しの静寂の後、陛下の声が発せられる


「ガマヴィチ、報酬の算定にはどれくらいかかる?」


「今の時点ではなんとも……基準となるものが帝国にしかないですし、如何ほどにすれば良いか。頭の痛い問題です」


「ふむ……ところで、グラフィエルよ。はまだ持っておるのか?」


ですか?数は大丈夫ですが、どなたかにお渡しするので?」


「同盟国に渡そうと思ってな。無論、余が買い取る」


「いえ、そう言う事でしたら、献上させて「駄目ですよ」」


 俺の言葉を遮り、リーゼが割って入る

 ミリア達は、静かにお茶を啜っている


は、ラフィ様がお義兄様から報酬として頂いた物です。お義兄様のお顔を立てる為にも、ラフィ様の為にも、簡単に献上する物ではありません」


「いや、しかしだな」


「テオブラム王も、買い取ると仰っておりました。でしたら、お売りになれば宜しいです。私の父にも買い取る様に打診させますので」


「それは、不味くないか?」


「特に何も。テオブラム王へお売り頂いた金額よりも、少し高めの金額が望ましいですね」


 リーゼの言葉に会議場が静まり返る

 俺はチラッと陛下の様子を見る

 と、同時に


「はははは。流石は皇王の娘だな。余の顔を立て、利益を取り、自身の国へも実利を取らせるか。ふむ、良かろう。グラフィエルよ。一つにつき、白金貨1枚以下では売らぬように。余は更に、5つ買うとしよう」


「陛下!」


「良い。ガマヴィチよ、これは実利のある話だ。グラフィエルの顔も立つ。同盟の立役者である以上、その顔に泥を塗るわけにはいかんのだ」


「差し出がましい事を申してしまい、申し訳ありません」


「気にするな。そなたは真にグラフィエルの婚約者よな。我が娘にも見習わせぬといかんな」


「お父様…それは、どういう意味でしょうか?」


 陛下とリーゼは、分かり合った様子である

 流れ弾で被弾したリリィが陛下に文句を言う

 場は少しカオスだが、和んだようにも見えた


「リーゼ殿、すまぬがグラフィエルと共に各国へと言って貰えぬか?その間に、小休止を入れたいと思うのだが」


「わかりました。行きましょうか、ラフィ様」


「え~と、話が見えないんだが?」


を同盟国へ、今直ぐ売りに行くのですよ。まずは私の母国、フェリックへゲートを繋げて頂けますか?」


 有無を言わさぬリーゼに、言われた通りにゲートを繋ぐ

 二人でゲートを潜り、皇王へと謁見

 そして、話に出た、魔道通信機を売る


 リーゼが皇王に話を通し、1台だけ売るのだが、その額は1台につき白金貨3枚とかなり吹っ掛けていた

 実の親に対し、高額で売る娘

 こういう関係で良いのかと思う

 ただ皇王自身はこう語った


『素晴らしく育ったが、育てすぎたかもしれんな。グラフィエル卿よ、少しは娘の手綱を握ってくれ』


 あ、やっぱり?

 皇王も娘であるリーゼの容赦なさに、悲しくなった様だ

 その後、神聖国、竜王国と順番に売りに行き、最後に帝国へ

 皇帝にも同じ金額で売るのかな?と思っていたのだが


「ドグラギル皇帝陛下、少し耳寄りなお話が」


「フェリック皇王の才女殿か。で、どんな話だ?」


「実は、ランシェスで中・小型の飛空艇が発見されました」


 え?喋っちゃうの?秘匿しないの?

 そんな俺の気持ちを知らずに、皇帝とリーゼは話を続ける


「それで、帝国にどうしろと?」


「見つかったのは良いのですが、発見者は婚約者のグラフィエル様でして。お力をお貸し頂きたいのですが」


「……大型飛空船の算定額を知りたいのか?」


「それもですが、二つ、お耳寄りな情報があります」


「聞こうか」


 俺そっちのけで、話を進める皇帝とリーゼ

 今の俺はただの運送業者になっていた


「帝国が保有する、大型飛空艇を売って頂きたいのです」


「大層な話よな。見返りは中・小型の飛空船数隻か?」


「それで良いのでしたら構いませんが、帝国では発見されていない古代の魔道具がございます」


「ほう…興味深いな」


「同盟国の皆様はお買い上げされましたが、1台のみとさせて頂いています。ですが……」


「なるほど。大型飛空船の売買によっては、複数売ると言う事か。で、値段はいくらで、何に使うのだ?」


 皇帝の言葉に対し、実演して見せる俺とリーゼ

 実演の効果は抜群だった


「これは素晴らしいな。1つで白金貨3枚か…もう少し、安くならんのか?」


「お安くは出来ますが……」


「大型飛空船を交渉に出せ……か。あれの算定額は、安く見積もっても黒金貨5枚以上だぞ?」


「10個買われるのであれば、大白金貨3枚になります。更には、算定の済んでいない飛空艇もありますので」


「損はさせぬと言う事か……良かろう。我が帝国から数名を出向させよう。代わりと言っては何だが」


「では、この場で1台お譲りいたします。出向代は、これでいかがですか?」


「問題無い。追加で10買わせてもらおう。勿論、大型飛空船の売買を視野に入れてだ」


「ありがとうございます」


 俺は傍で聞いているだけで、話がトントン拍子に進んで終わる

 リーゼの才覚の片鱗を見せられた

 リーゼ、恐ろしい子……

 将来、尻に敷かれるのが確定した瞬間であった


 話も終わり、急遽、出向者が集められ、全員でランシェスへと戻る

 会議室では、何故かフェルとリアフェル王妃が増えていた


「ラフィ、おかえり」


「成果は…聞くまでも無いようですね」


 二人の言葉に対し、軽くお辞儀をして、何事もなかったかのように席へと戻るリーゼ

 フェルとリアフェル王妃は、出向組を案内するために来たようで、出向組を率いて部屋から出ていく


 その様子を眺めた後、陛下の方へ顔を向けると、そこには疲れ切った陛下がいた


「なんかあったの?」


「リリィに嫌われて、落ち込んでるだけですよ」


 ティアが答えてくれる

 尚、誰も助け船を出さなかったらしい

 陛下の精神メンタルが心配である


 以降は算定待ちとなり、会議は終了

 陛下はリーゼを気に入った様だが、俺からすれば『リーゼ、恐ろしい子!』と言う気持ちが拭えない出来事であった

 きっと、交渉事ではリーゼには勝てないだろうな

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