バレンタインデー特別話 まさか、あれが無いなんて!

この話は最上級生で卒業間近である2月上旬時の話だ

転生して12年経つがずっとあれが無かった

そう!バレンタインデーとチョコである!


自慢じゃないが前世では必ず義理チョコを複数個貰っていたのだ!

そして転生後もバレンタインがあると期待していたのだが、無かった

俺はダメージを負って四つん這いになった

それが7つの頃の話である


それから5年経ち、12歳になった今!・・・・新事実が判明した

この世界にチョコが存在しなかった

え?マジで?ココアはあるのに?

そう思ったのも仕方ないと思う


ココアとチョコを素材から製法したなら途中までは工程が同じはずなのに

そこで詳しく調べてみると、色々とわかった

原材料がかなり高い

前世のココアがスーパーで300円~400円位が平均相場に対し、転生後で同じ量のココアを買おうとすると銀貨5枚である

前世の金銭に戻すと5万円である

超高級飲料だったのだ


何故そこまで高いのかをさらに調べてみる

そして分かった意外な事実

原材料の平均相場が安定していないのだ

その為、安くても大銅貨2枚で高い時は銀貨2枚である

そこから加工代が掛かり、提供になると高価になってしまう


これはテコ入れか安定供給が必要か?と思い調査を開始する

調査した結果、栽培している者がいなかった

そりゃ、高騰するわ

と言う訳で、全智神核完全監修の元、栽培できるか試してみた


試すと言っても、今から結果を出すにはそれなりの時間がかかるので色々ズルはしました

土壌最適化と時間経過を使って実験

ついでに土地的に栽培可能かも実験

結論は栽培は可能だが、ランシェス南方の1部分のみであった


理由としては至極簡単で、栽培に適した土壌や温度に湿度などがそこしかない為

ただ良い事もあって、前世の原材料よりも今の原材料の方が品種的に強い事が判明し、栽培しやすかったのだ

しかし、問題が無いわけではなかった


栽培に適した地域が小領家群であった

主に農作物で領地を経営している為、変えて下さいとは言いづらいのだ

そして、安定供給が可能ならば俺の稼ぎにしようとも思っていたため非常にやりづらかった

悩みに悩んだ挙句、保留にした

一応資料は作って保管しておこう


とにかく原材料が高いせいでチョコ迄手が回らなく、また製造方法自体も無いなら自分で作ってしまおう!

原材料を購入し、全智神核フル稼働でココアバター迄作り、カカオマスに混ぜてチョコを作って味見する

・・・・うんまい!久しぶりのチョコだぁぁぁ!!


この感動を誰かと分かち合いたいと思った俺は、家族に味見して貰う事にした

家族みんなでティータイム時にチョコを出して食べて貰う

初めは訝しんでいたが女性陣が口に入れると一転して美味しいの嵐

男性陣には少し甘い様であったがそれでも好評だった

何処で買って来たのかと聞かれたので手作りと答えると驚かれる

この分なら他の人でも平気かなと思い、翌日に学校で配ってみた


級友全員にチョコを配り、食べて貰うと、美味しいや甘いなどの声

全員が大層気に入ったみたいでどこで買ったか聞かれる

家族と同じ様に自分で作ったと答えると、3人の目がキランと光る

フェルとリリィとベガドリオの目が

3人は素早く俺に近付き


「ラフィ!レシピ売ってくれ!」


「ラフィ。余りがあれば王家に献上して欲しい」


「ラフィ様。今度一緒に作りましょう!」


三者三様であった


とりあえずベガドリオにはレシピ売却は保留

フェルとティアには後日に王宮で作って良いならと伝えた

ベガドリオは少し悔しそうだったが拒否したわけではないと言い、理由も明かした

原材料が安定供給されずバカ高い理由を

それを聞いたベガドリオは渋々だが納得し、引き下がった

フェルとティアは材料費は王家が出すから請求するようにと言われ、次の休みに作りに行くと約束しておいた

勿論、ティアも一緒であるし、公爵家もくるそうだ


一通り話も終わり、卒業まで自習なので雑談しながらある事に気付く

(あれ?そういや今日って2月14日じゃね?)

今日はくしくもバレンタインデーであった

調べて実験して作っていたらいつの間にか当日になっていた


何たる不覚!

貰いたかったのに渡す側になってしまうとは!


だが、美味しいと言って貰え、皆が幸せそうなので、まぁいっか

少し笑って、友チョコだなと思いつつ皆で再び雑談をする

後日、王宮でチョコを献上すると王妃様方と王女様方が大層気に入って根掘り葉掘り聞かれそうになったが、原材料がぁぁぁ!でその場は乗り切った


しかし、同年の収穫祭時に徹底的に追い詰められゲロりました

ゲロった為、専売は出来なくなったが、王家主体で原材料の栽培と安定供給が推進され、年間総売り上げの1割が俺の利益になり、更に数年後には勝者と敗者が生まれるバレンタインデーが今世に再び産声を上げ、阿鼻叫喚が沸き起こるのであった




余談だが、安定供給が実現した原材料のカオコの実はその値段を大銅貨1枚で安定させ、ココアが大銅貨3枚、チョコが大銅貨5枚で販売される事となり、俺は地味にウハウハであった

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