少年期・神樹国編

第50話 一時帰国と会談

前回の話し合いから1週間が経った

今は竜達に運んで貰う為の準備中だ

海竜シードラゴン達は一度、龍島へと戻る

残りは共に行くのだが何故か白竜も付いてくると言う


「何やら面白うそうだし、久々に茶にも会いたいしの」


とは、白竜の言葉である

逆に渋い顔になっているのは水龍である


「わい、あいつ苦手なんや~」


と、言っていたので強制連行である

何故かって?面白そうだから


この1週間は特に変わりなく平穏そのもの・・ではなかったが、それなりにのんびりした日々を送っていた

この1週間の出来事を纏めるとこうである


1日目、神樹国行きのメンバーで揉める

2日目、ようやく傭兵国から使者が来る

3日目、ふざけた内容を使者が言うので傭兵国に乗り込む

4日目、傭兵国にて会談、こちらの和解案を全て飲ませる

5日目~7日目、出立の準備


簡潔に纏めるとこんな感じであるが詳しい話は別で語るとしよう


神樹国に行く前に、神聖国とランシェス王国に立ち寄る

何故両国に立ち寄るのか?神聖国側は会談の場に連れて行きたい者がいる為で、ランシェス王国側は級友達と一部王族を送り届ける為である

神樹国へは俺に竜王国からイリュイア王妃とラナで、神聖国からは教皇と途中で拾う者数名になり、ランシェス王国からはリアフェル王妃とリリィである

万が一にも収穫祭に間に合わなかった事を考えて、王太子であるフェルを初め他のランシェス王族は自国に残り、竜王国国王と王子は終戦協定の為に自国へ残る


婚約者は全員一緒なのだが、これは彼女らが頑として譲らなかった為である

冒険者の護衛については神樹国から帰国するまでは同じメンバーが護衛する

国の護衛騎士と兵は神樹国に向かう際は同行しない

これについての理由は神樹国側を刺激しない為だ





神樹国は鎖国に近い国である

現在はどの国とも相互不可侵条約を締結しているが、一部の国のみに一部の物をお互いに取引する程度だ

尚、一部の国とはランシェス王国とリュンヌ王国だけである

神聖国と傭兵国は隣国であるが取引は一切ない

それは何故か?国同士が昔から不仲なのである


この3国は同じ神を崇めているのだが主神が違うので信仰も微妙に違うのだ

主流信仰は神聖国の信仰が一番普及している

神樹国と傭兵国の信仰は自国のみだ

だが、神聖国と神樹国は実のところ同じ信仰である


神聖国は主神に創世神を置き、下には11神を置き、別枠として頂点に絶対神として原初を置く

神樹国は主神に原初を置き、下に創世神を置き、眷属神として11神を置く

崇めてる神は順位も同じなのだが主神の違いだけで不仲なのだ

傭兵国は戦神メナト・武神セブリー・魔法神ジーマの3神のみで、これまた残りの2国と不仲である


因みにどれが正解なのかと言われると神聖国が正解である

原初は創世神達を創っただけで世界は構築していない

創世神達と表現するのは別次元の別世界に同じ様な神が存在するからだ

但し固有名称が違っていたりするので全く同じかは不明であるが、原初が創った事に変わりはないので達なのである


話が脱線したがそんな神樹国へと現在は出立する直前である

先に立ち寄るのはランシェス王国

竜の飛行速度や日程を計算した結果、そちらの方が効率が良いからだ

神都に寄って中途半端に時間を浪費するより、ランシェス王国後に神都に寄った方が半日ほど短縮できるからである

予定通りに進めばではあるが

俺のお手製拡張馬車も竜達が神聖国から運んできてくれてるので旅自体は快適に行けるのだが、流石に飛びながら寝るのは怖いそうなのでギリギリまで飛んで夜は地上で寝る事になった


総勢50名以上なので流石に馬車は数台に分けている

拡張馬車の数が足りないので魔力を消費して増やす

ただ、あまり消費するわけにもいかないので最低限に留めた

こんな面倒な真似をしたのは、ゲートを全員が通るまで繋げておくより拡張した方が魔力消費量が若干少ないからだ

空の旅では傭兵国内で流石に地上へ降りて休めないので、遠回りではあるがリュンヌ王国経由で帰国する事になった


出発時間になり、竜達が馬車を掴んで飛翔する

ランシェス王都まで7日~9日位だ

天候にも左右されつつ、休みを取りながら問題無く進み、8日目の夕方前にはランシェス王国王都バウレストへと到着した


突然現れた竜の大群に大混乱が起き、冒険者と兵達が臨戦態勢になったのは仕方のない事だろう

竜の群れからリアフェル王妃が即座に降り立ち、一歩出て説明し事なきを得たが

他国の要人や共に旅行に行った学生達を見て理解はしたようだ

理解はしたようだが・・・俺は王城へと強制連行される

誰にって?リアフェル王妃にだ


どちらにしてもランシェス王国で1泊はしないといけないので、諦めて王城へ共に行くと謁見の間へと通され、ちょっと不機嫌?な陛下がお見えになる

事の事情を説明し、竜達に食事と休息を取る為の手配が行われる

武器を向けなければ問題はないと伝えておいたが脅えるのも仕方ない事だろう

ただ翌日には、人語を介する竜達と話をした兵達は打ち解けていたので、順応性早過ぎだろ!と心の中でツッコんでしまった


謁見の間で護衛達に後払いの分の報酬が支払われ、ギルマスも呼ばれており、謁見の間にて依頼達成の冒険者としての報酬が支払われる

現在は追加依頼の真っ最中でもあるが、陛下の鶴の一声で「この者達なら問題無いだろう」と告げ、追加依頼の分も支払われた

更に冒険者達には追加報酬で、今回の護衛依頼を全て完遂した場合はランクを一つ上げる事もギルマスから伝えられた

これには全員が喜び、Dの6人はCに、ウォルド達3人はそれぞれS、A、Bに、S3人はSSになる事が確定した


次に俺だが、王妃からの報告もあって陞爵は決定事項らしい

現在は男爵なのだが、陞爵後は伯爵以上が確定した

だが、最終決定には至っておらず、完全に帰国したのち改めて発表するとの事

ギルドランクについては世界で現在2人目のSSSランクが認定された

国家滅亡の案件を3つ解決した実力は無視できるものではなく、全世界のギルドが容認したそうだ


SSSの認定にはギルド本部の容認も必要であるのだが良く許可したものだ

そんな考えに至ったのは、ギルド本部は傭兵国に在るからだ

傭兵国のギルド本部では傭兵の依頼が大量にある

派兵依頼を受ける者も多いので被害は甚大なはずだと思っていたのだが、今回の戦争による被害者は0だったそうだ

そもそも誰も参加しなかったと言うから驚いた


各ランクの者から数名ずつ事情を聞いた所、総司令官の下が嫌だったという者が半数で、もう半数が悪寒を感じて見送ったという者であった

後者はいずれもB以上の者達で直感が働いたと言うべきだろう

そんな事情もあり本部も容認したそうだ

本部からの伝言もあり「一度、時間が出来たら訪ねてきて欲しい」との事である


謁見の間にて全ての事が終わり、陛下が退出してから全員が退出する

暫くぶりに屋敷に戻れると思ったのだが・・・次は応接室に連行される

そこには久しぶりに見る両親とティアの家族に各国要人が勢ぞろいしており、席に着くようにと促される


何となく察した俺は諦めました・・・・色々と・・・

応接室にて色々と話し合われる

両親からは、もうなんていうかね・・・何をしとるんやうちの息子は!ってな目で見られてましたとも

まぁ、そんな目だけではなく流石うちの息子だって目もしてましたが


そして、陛下の不機嫌な理由はリリィとの婚約が原因なようだ

色々言ってくるがその都度、リアフェル王妃に睨まれ、抓られ、殴られる

トドメの一撃はリリィが放った言葉だ


「お父様は私が幸せになるのが許せないのですね。わかりました。変な男の所に嫁いで不幸になってきます」


泣きながら言ったリリィの言葉に陛下はフィニッシュを決められて撃沈した

尚、リリィの涙は嘘泣きであるのは全員がわかったが黙っておこう・・・リリィの幸せの為にも・・・


次にティアとの婚約であるが、こちらは陛下と違って大賛成で乗り気である

反対されるかもと覚悟していた俺とティアは拍子抜けである

但し条件は付けられたが


その条件とは子供の誰かを跡継ぎに指名するか俺が公爵家を継ぐかのどちらかである

ただ婿に入る必要性は無く、将来継げば良いとかなり緩い

ティアの両親はさっさと隠居して任せたいと言い、祖父は俺なら後見人にさえなれば後は心配する必要はないから好き勝手出来るとの理由から緩いそうだ

ただ、子供達の人生は子供達が決めるべきなので約束出来ないとはっきり言った


その言葉にニヤッと笑ったのはヴィルノー先代公爵である

どうも試されていた様で、豪快に笑いながら


「一人孫娘だからな!跡継ぎの事は考えないといかんが子供を継がせると言っておったら認めんかったさ!」


と言い、ティアの両親は


「一番はティアの幸せだからね。前者は一応伝えて、継ぐかどうか確認だけして欲しいな。後者は・・・期待しないで待ってるよ」


と言われ、俺とティアは祝福された

それを見ていたリリィは


「お父様もあんな感じなら」


と残念な父親を見て、深く・・・深~くため息をついた

ティアとの家族との婚約についての話も終わり、これで終わりかなと思うが全然終わりじゃなかった

次は婚約者4人が家の両親へ挨拶を始めた


「ミリアンヌ・フィン・ジルドーラと申します。神聖国にて御子をしておりました。お義父様、お義母様、これからよろしくお願い致します」


「ランシェス王国第5王女リリアーヌ・ラグリグ・フィン・ランシェスです。既にご存じとは思いますが改めてご挨拶を。お義父様、お義母様、よろしくお願い致します」


「ランシェス王国公爵家が長女ティアンネ・フィン・ランシェスです。お義父様、お義母様、よろしくお願い致します」


「オーディール竜王国王女シャラナ・ゴショク・フィン・オーディールと申します。お義父様、お義母様、よろしくお願い致します。ご旅行の際には是非、竜王国へお越し下さい。私で良ければご案内させて頂きます」


4人の挨拶が終ると、父が返礼をする


「ランシェス王国辺境伯グラキオス・フィン・クロノアスです。こちらにいるグラフィエル・フィン・クロノアスの父です。こちらこそよろしくお願い致します。暴走しがちな息子なので苦労を掛けると思いますが」


「アリーエル・フィン・クロノアスです。息子の実母になります。可愛い義娘が出来て良かったわ。これからよろしくお願いしますね」


「ルルエナ・フィン・クロノアスです。息子の義母になります。昔の息子の話を聞きたい時はいつでも聞いてちょうだい」


「サラッと過去を暴露します発言は勘弁して下さい母上」


ルルエナ母さんに一応釘を刺しとく・・・無駄だと思うけど

そしてリリィの父親である陛下は、リリィが俺の両親をお義父様お義母様と呼ぶのを聞くと「ぐふっ!」とか「ごふっ!」とかダメージを受けた後にうちの両親を睨み、リアフェル王妃に思いっきり殴られた


さて、これで全部終わ「では、次の話に」・・・・・帰らせてくれよぅ

全ての話が終ったのは夜も結構深くなってからである

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