第24話 学校生活


 入学式から1日が経った翌日

 今日から学校生活が始まるのだが・・・何故に馬車とナリアが同行してくるのであろうか?

 馬車はまだいい・・何故にナリア?

 ナリアは同行が当たり前の様にしており聞きづらいので登校前に父へ聞きに行った

 そして、俺の知らなかった事が判明する

 兄姉の全員が専属メイドを連れて登校していたのだ

 久々に思考停止した・・・

 ナリアに不満とかあるわけじゃないんだよ?

 ただ学院の登校にメイド連れてくか普通?

 フリーズしてる俺に父が


「そもそも国立学校以外の貴族はお付きがいる者は同伴して補助して貰うものだ。後、陛下からラフィは極力登下校は馬車を使えとのお達しだ」


 陛下ー!!何勝手に決めちゃってくれてんですかー!!

 ・・・・・・俺は渋々馬車でナリアを同伴し学院に向かう

 尚、馬車での登下校はクロノアス家では俺だけのようだ

 昨日の散策が無駄に・・・泣いてもいいですかね?


 予想外の事が朝からあったが無事に学校へ到着しナリアがついてくる

 お付は教室前まで荷物を持ってついて来て昼食時には主人の配膳をする

 授業中は待機か必要な物があれば買いに行くのが仕事だ


 ナリアと別れ教室に入ると王族組は既に来ていた

 他には貴族の7席と9席も来ていたがリリィ王女とティアは愛想笑いで相手に話を合わせていた

 二人は俺が来たのに気付くとその場を離れ俺の元に来る

 フェル殿下もこちらに来て挨拶を交わすと7席の奴が睨んでくる

 何故に睨むのかわからんので聞いてみるか


「君は何で僕を睨むのかな?」


「貴様が殿下、王女、公爵令嬢と、身分も弁えず話しているからだ!」


「身分って・・・少なくとも学校の敷地内ではまずいと思うんだけど?」


「辺境伯家の三男が侯爵家の僕に口答えするのか!」


「ふ~ん、侯爵家ねぇ。で、君はどうしたいのかな?決闘ならいくらでも受けて立つよ?」


「何故僕が貴様と決闘しなければならない!主席も不正をして取ったものだろう!貴様の様な者はこの場に相応しくない!さっさと辞めてしまえ!」


「試験は実力。不正って何をどうするのかな?仮にやっていたとして証拠は?君の言い分は通らないと思うけど?」


「貴様がお三方と不釣り合いだと言っている!」


「それを決めるのは僕でありこの3人だ。君が言う事じゃない」


 不毛なやり取りだ・・・これは嫉妬だな

 自分は相手にして貰えず俺には親しいからって所かな?

 面倒くさいなぁ・・と思うと同時にリリィ王女が笑顔のまま凍てつくような雰囲気を出して彼をバッサリと切り捨てた


「確かバイアズス侯爵家でしたか・・・これはお父様にご報告してお付き合いを考えねばなりませんね。グラフィエル様は命の恩人でもあり、クロノアス家は現在お父様の新しい思い付きの実験を手伝っている最中です。グラフィエル様を貶める事は他の全てを陥れる事と現在は同意義であり、それには王家も含まれる。王家に叛意有りと受け取ってよろしいのですね?」


 早口にリリィ王女がまくしたてる

 彼も顔を青褪めさせる

 リリィ王女は更に追い打ちでお付きを呼び、言伝を陛下に届ける様に伝える

 俺に文句を言ってきた彼はその場で土下座し謝罪するも聞き届けられず、この話は陛下の耳に入り、彼は家でこっぴどく叱られたと翌日リリィ王女から聞いた


 今日は朝から色々起き過ぎじゃないですかねぇ・・・

 気が付くと残りの生徒も来ており時間になって席に着くが彼は青褪めたままだ

 先生が心配して聞くがリリィ王女が更に追い打ちをかけ事情を話す

 先生はため息をしつつ俺だけにしただけで他の者にはそういう素振りが無い事からSの9席への降格と厳重注意に留めた

 喧嘩売る相手を間違えてお気の毒に・・・


 ちょっとした問題があったもののホームルームも終わりこれから授業だ

 午前中は主に貴族科か内政科のどちらかの授業か両方の授業が多い

 どちらも最低週3回は授業があり、内1回は確実に同日の午前中に両科ある

 午前中にある他の授業は研究科・メイド科・商業科・執事科・魔道具科の授業で午後は冒険科・魔法科・調理科・武術科・騎士科と調理科以外は身体を動かす授業になっている

 貴族科と内政科の両方が午前中にある場合は午後の選択授業が無ければ半日で終了だ


 また授業の割り当て表は半月毎に配られる

 今日の授業だと午前中は貴族・内政で午後は魔法・武術がある

 リリィ王女とティアは午前中のみで俺とフェル殿下は午後1回目の授業を出て終了である

 女の子2人は俺達の授業が終わるまで待つそうだ


 こんな感じで授業を受けて行き、月が替わった頃にはそれなりに友達も出来ていた

 以前絡んできた侯爵家の子はクラスでボッチとなっていた

 まぁ厳重注意に至った件があるから自業自得なんだけどね


 俺はいつもと同じ時間に登校し挨拶を交わす

 今日は王族3人組とではなく5~8席の子達と話をしていた

 5席 ケアリー・ガウワビア 平民次女

 6席 ベガドリオ・シャミット シャミット商会長男

 7席 ミュリアム・フィン・エッカフォルト 子爵家4女

 8席 リアーヌ・フィン・ティオール 騎士爵家長女

 と俺の5人で授業について話し合っている


 それぞれの選択授業は

 ケアリーはメイド・調理・貴族

 ベガドリオは商業・調理・貴族

 ミュリアムは調理・魔法・貴族

 リアーヌは調理・武術・魔法・貴族

 と全員が調理と貴族を取っている


 平民や商人が貴族を取るのはいざと言う時に失礼が無いようにするため

 調理に関しては貴族も含め女の子は花嫁修業の一環もあると言った

 ベガドリオは商人の跡取りなので野営や商売に生かせないかと思い選択したそうだ

 リアーヌは魔闘拳流本家の子供でミュリアムは内政役人の娘である


 ここで爵位について少し語っておこう

 爵位だが本来は騎士爵・準男爵の爵位は世襲が認められていない

 ただ、一定数の貴族家がいないと国も困るので暗黙の了解で世襲がなされている

 尚、名誉爵位は何があっても1代限りなので世襲は出来ない

 リアーヌの家は代々魔闘拳流の王国軍兵士指南役になっているので騎士爵家

 魔闘拳流は素質が無いと扱えない技が大多数を占める為、基本武術の指南をしてるそうだ




 閑話休題


 さて話を戻そう

 今の話の議題は調理科の事で、リリィ王女もティアも愚痴っていたのだが調理科なのに未だに調理をしておらず授業は全て筆記で食材についてしか学んでいない

 この事を担任に進言するかどうかが議題だ

 話し合いは、進言はするが理由を聞いてみようで決まった


 朝礼の議題で聞いてみると実際の調理は秋からしかいつも行わないであった

 この議題も毎年各クラスで出るらしく同じ説明をしていた

 その説明とは基礎知識を学び終わる頃に秋の収穫祭の時期になるのでそれに合わせて行うとの事

 夏季休暇前は調理科の授業は多いが以降は週1回以上3回未満になり授業時間も最終授業に組み込まれると説明された

 先生はついでに伝えておくと言い貴族科は3年目からは無くなると伝えた

 2年の間に全て教え残り2年は各々の能力を伸ばすために使うそうだ

 今から2年間はこの上なくつまらない授業になりそうだ・・はぁ・・・


 案の定この2年間は面白くなかった

 1年目だが・・特に何もない

 強いて上げるなら夏季休暇だろうか?


 学校は夏季・冬季・春季に長期休暇がある

 夏季は2か月半冬季は3か月春季は1か月だ

 そこで夏季は一人を除き級友全員で海にバカンスに行った

 護衛は兵15名に輝く星のメンバーで信用も実力も実績もあるし個人的にも信頼できるので俺が王族の方々に推薦した

 1か月間の依頼だが王族のご指名でウォルド達は大層喜んでいた

 王族はやはり依頼料が普通より良いようだ

 海でのバカンス中は兵たちも含め順番に休みを取ってもらった

 王都が南寄りにあるので海も近く片道8日バカンス14日の計30日を楽しく過ごした

 依頼完了後は来年もとヴィルノー先代に頼まれたらしく引き受けるそうだ

 どちらも気の早い事で・・


 冬季は全員が家族と過ごした

 春季も冬期と同じだ


 2年生になった時に少し変化があった

 デンダロス(俺に喧嘩売った侯爵家の子)がAに落ちて代わりにAからSに上がった子がいる

 ヴィオレッタ・フィン・ダグレスト伯爵令嬢

 ダグレスト伯爵家の6女で家は代々近衛騎士を務めている

 ダグレスト伯爵家は王家と同じく男子が生まれにくいそうだ

 今代当主も悩みの種であり夜は頑張っているらしい


 2年目も特に何も・・無かったわけではないが概ね平穏だった

 2年目夏季休暇も海にバカンスで、今回は当然9人全員で向かう

 護衛も去年と変わらずで、冬季・春季も特に特別な事は無い

 2年目春季休暇前に選択授業の見直しがあった位だろうか

 3年目から貴族科授業が無いので選択授業を増やすか否かだ

 悩んだが冒険科を一応選択しといた

 代わりに魔法科を除外して調理・内政・冒険に組み直したのだ


 そういえばクロノアス家の兄姉は全員が高度高等学院に入学した

 この流れだと俺も入学しないといけない感じだな


 3年生に上がった時はクラスの入れ替えは無かった

 そして3年目が始まる

 3年目も順調に学校生活を送れていた

 途中までは・・・




 季節は巡り3年目の終わりが近づく頃、王都に未曽有の災厄が襲い掛かる・・・

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