時間を掛けて読みました。
自信を持ってオススメすることの出来る作品。間違いなく本物です。
文章の巧みさや、違和感なく流れゆく展開、丁寧な心理描写など、良点を挙げればきりがないのですが。
正直な話、それらの理由などほんの些細なものに過ぎませんでした。
失われつつあるあの〝光〟が、まさに今この場に存在している。ただその一言に尽きます。
他になんと表現すればいいのか、読めば分かるとはこのことでしょうか。
レビューになっていませんね、申し訳ない……
剣と魔法、神話で構築された本物のハイファンタジー世界を。その中で懸命に藻掻く少女を、是非一度体感してみて下さい。おそらくは確実に惹き込まれます。
プロローグ一話目から作者であるアクリル板様の、圧倒される文章力と表現力に引き込まれ、以降も手抜きのない丁寧な演出に脱帽、そして二人の主人公である少女達の繊細な心情の移り変わりが心に響きます。
構想に長い年月を掛けていらっしゃった、その深い設定や世界観、熱量が文章に込められており、重厚なストーリーのファンタジーが好物! という方にとてもお勧めな作品です!!
第一章まで拝読しており、奥深く丁寧な作品のため更新はゆっくりのようですが第二章を楽しみに待っています。
ウオオオオアアアア\( 'ω')/アアアアアッッッッ!!!!!
ラノベが定着する以前の異世界ファンタジーは『その作り込みにより別の世界を感じさせる』ものだった。
現在の異世界ファンタジーは殆どが現代風にアレンジされていて馴染みやすくされている。反面、異世界がゲーム風のノリとなり本来の意味で異世界を体験できていないとも言える。
こちらの作品はその作り込みにより異世界にある国家がまるで確かに存在するかのような錯覚さえ受ける。描写の細やかさや人物像の確立、その世界で人々が生きていると感じるのだ。
これはハードカバーで出ている海外のファンタジー──例えば『氷と炎の歌』と現代ラノベを上手く融合させた様な作品と言えるだろう。
本格的ファンタジーをじっくり読みたい方にはお薦めの一作。
……と、ファンタジーをほとんど読まない自分でも感じ入ってしまった作品です。酩酊感のある風景描写から、ヒロインであり主人公であるふたりのモノローグまで、堅確かつ情動あふれる筆致で活写されます。なんというか基礎体力が違うというか、完全に横綱相撲……相撲もほとんど見たことないんですが、そんな感じです。
進行度としてはプロローグと1章が終わったところですが、どちらも白眉の出来です。1個ずつ単体で完結できるぐらい、エピソードの立て方が濃密で立体的です。区切りがあまりないようで、どこからでも入って気軽に読み進められる印象です。
ネタバレになってしまいますが、「出会いと別れ」が大きなモチーフとなっている作品です(ひとまず自分はそう読み取りました)。しかも、これからいなくなる人、もういなくなってしまった人との出会いと別れが、そこでは念頭に置かれています。
個人的にはそこに最も惹かれました。作者の方のまなざしの強さを感じます。
この作品は、”文学”として仕上げられたハイファンタジー作品です。今時の作風を採り入れつつも、隆盛を極めるラノべとは一線を画した文体に滲む古さは、作品を安売りしない、文学としての矜持を感じさせます。
例えば、作品の中で『想念の浸潤』という言葉がさらっと出てきますが、難しい言い回しの言葉でさえも、そこにあって然るべきものになっています。おそらく作者は、文学に対して深い造詣を持つ方なのではないでしょうか。古い作品も新しい作品も知る、そんな知見があるように思います。
図書館で手に取った古い文献を紐解いた時、そこに記された異世界に吸い込まれ、そこで生きている人々と共にその世界を生きていくような、そんな気持ちにさせられる作品に仕上げられています。
今はまだ第一章が終わったところなので先の話になりますが、いつか最後まで読み終わり、パタンと分厚い本を閉じ、再び図書館の棚に戻す時が楽しみに思えて仕方がありません。いつかまた本棚から誰かが手に取り、この作品を読み耽る時が来るはずです。これは、そう思わせる文学作品です。