設定集 用語(魔法関連)


※各記述は第二部開始時点のものを含みます。ネタバレにご注意ください。



天人てんじん


 かつて霊峰タカチホに降臨し、人々に幾多の叡智えいちを授けたとされる神々。特に顕著なものに六大があり、その内の火水風土の四属性が魔法として今日に伝わっている。

 正体は遥か遥か古の時代に散布された粒子に宿る集合意識であり、アグニ、アプ、ヴァーユ、プリティヴィーの四種が存在する。その目的は魔力を制御し、人の手で利用できるようにすることであった。

 地姫ちぎと呼ばれる魔法の素質を持つ人間と交信し、集積された智慧を授けることで文明を発展させ、やがては大陸を支配する巨大国家を形成させていった。

 五百年前、第五の天人アーカーシャの降臨により消滅したが、高純度のマイナが一定量満ちることで復活を果たすとされている。

 各天人の名称はインド哲学の五大元素「地(プリティヴィー)」「水(アプ)」「火(アグニ)」「風(ヴァーユ)」「空(アーカーシャ)」(サンスクリット語)より。地火風については同属性の神の名でもある。



地姫ちぎ


 天人と交信する素質を持った人間。女性が多かったために姫の名を冠しているが、本来は性差よりも血統や魔力が色濃く影響している。

 天人から授かった智慧を人々に伝える役目を持ち、天人信仰の生きた御神体として崇められており、国家の形成にも深く関与したとされる。

 天性の素質と天人の指南により優れた魔力と魔法技術を有し、戦略規模の魔術師として各大陸の戦争に利用、或いは介入してきたともいわれている。

 本来の使命は高純度のマイナを吸収し、天人が受肉する依代よりしろとなることであり、ヴィナンクル聖合国では深海の双璧そうへきと謳われたロザリー姉妹が成功している。

 アーカーシャによる天人の消滅に伴い、各属性の地姫もまた同じ運命を辿ったとされており、現存する者はミストリアのみであると考えられてきた。なお、天人地姫とは最後の地姫となったミストリアの尊称として喧伝されたものである。

 名称は日本神話の「天神地祇てんじんちぎ」より。天神は天津神あまつかみ、地祇は国津神くにつかみを指し、全ての神々の意。



★マイナ


 世界中にあまねく存在するが誰人たれびとにもきょうせない力、魔力を貯蔵・伝導する物質。

 火、水、風、土の四つの属性、活性と非活性の二つの状態があり、天人からもたらされた智慧により、マイナを介して魔力を利用する技術として魔法が発展してきた。

 正体は遥か遥か古の時代、霊峰タカチホから散布された因子が在来の微小物質と融合して魔力を吸収したものであり、謂わば天人の肉体そのものといえる。

 永い時間を掛けて世界中に分布しており、自然界のあらゆる場所や人間を始めとした生物の体内にも存在している。通常であれば無害であるが、過剰に蓄積されると宿主の肉体を変性させてしまい、特に動物が変異したものは魔物と呼ばれている。

 本来の機能は魔力を吸収するだけでなく、生命力などの全般的な力を取り込んで変換させるものであり、この性質を利用、支配することが空属性の本質である。

 名称は太平洋諸島に伝わる神秘的な力の概念「マナ」より。ファンタジー作品の多くで魔法の源として使用されている。



★プラナ


 自然界に存在するマイナに対し、術者自身に宿っているとされる魔力のこと。魔法の行使において、マイナから出力される魔力を制御する役割を持つと考えられている。

 プラナの貯蔵量には個人差があり、一般的には優れた魔術師ほど多く保有するとされる。また、練度が必要な上に非効率的な手段ではあるが、魔力が枯渇して非活性状態にあるマイナにプラナを充填し、再度の魔法の行使に供することも可能である。

 しかし、本来はプラナもまたマイナの一部に過ぎず、マイナによる生命力の吸収と魔力への変換の機構を概念的に捉えたものであり、それに気付いたレイネリアは空属性の力を進化させることに成功した。

 名称はインド哲学の「プラーナ(生物の生命力の意)」より。ファンタジー作品の多くで魔法の源として使用されている。



★六大


 天人より人々に授けられた力の概念。一般には魔法を意味し、火水風土の四属性が知られている。

 他の二つの内、一方はくう属性として情報だけは伝わっているが、他方は一切が不明である。なお、魔法とはマイナを介して魔力を用いる技術と定義されているため、厳密には空属性は魔法ではなく無法と呼ばれるべきものである。

 名称はインド哲学の「六大」より。



★四工程


 魔法の行使においてマイナからの魔力出力を調整するために確立された技術。詠唱、触媒、誓約、儀式の四種があり、複雑な工程を経るほど効果も増すとされるが、魔術師の力量次第では省略も可能である。

 詠唱は言霊により精神を恍惚とさせてマイナとの同調を促すもので、最も一般的な手段である。

 触媒は神秘物や魔道具などを依代として術者の技量を補正するもので、用いる物によって効力は千差万別である。

 誓約は恒常的に戒律を遵守することで特定の恩恵を享受するもので、誰でも高い効力を得ることが出来るが、平時から行動の制限を負うために一般には避けられている。

 儀式は祭壇や生贄などを要し、また複数の術者による合力ごうりきも可能とするもので、執行の難易度も効果も上記三つを遥かに凌ぐものである。

 なお、天人地姫としてのミストリアは、複雑な儀式を要する高位魔法を無詠唱かつ連続して行使できるという。



★ゲッシュ


 魔法の四工程の一つ『誓約』の亜種、或いは悪用したもの。本来は戒律の遵守により恩恵を享受するものであるが、もっぱら制限を目的として増大した魔力で自身を反復的に縛り付けてしまう。

 非人道的な手段として既に破却された技法であるが、旧皇国時代の文献を紐解いたカエレアによってタルペイアに施され、皇女のもとへと送り込まれた。なお、皇女には即座に看破されたようで、師である老魔術師により付け替えられた。

 最終的には空属性の修練の仕上げとして、少女の慟哭を受け止めたレイネリアの手で解除された。

 名称はアイルランド語で禁忌を意味する「ゲッシュ」より。ケルト神話においては英雄の末路としてよく用いられる。

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