設定集 人名(帝国)


★ドミティアヌス=トク=ディアテスシャー


 ディアテスシャー帝国の皇帝。三国同盟の盟主たるヌーナ大陸の覇者にして、乱世の野望をうちに秘めたまつろわぬ巨星。

 大陸で最大の権勢を誇り、その御心は重厚長大にして常人の理解の範疇外とされるが、必要とあらば老若男女、貴賤貧富きせんひんぷ賢明愚昧けんめいぐまいを問わず、そのげんを受け入れる度量の持ち主である。

 王国との宴席ではレイネリアを半ば強制的に帝国へ招致しようとしたり、帝都での典礼てんれいと御会見の際にはミストリアと密約を交わしたりするなど、御幸に纏わる二人の行動に多大なる影響を与えてきた。

 ツキノア兵の領土侵犯と国王弑逆しいぎゃくに乗じ、兵を率いて王都を占領した後はネビケスト皇国の復国を宣言、自らを神皇しんのうと改号した。

 正体はかつて大陸を影で支配していた火の天人アグニであり、ヌーナの地姫ちぎたる神皇の系譜に連なる皇帝に憑依している。レイネリアに秘められた空属性の力を目覚めさせるべく策謀を巡らせているが、その真意は不明。

 名称はローマ帝国第11代皇帝ティトゥス・フラウィウス・ドミティアヌスより。当初は穏健な人物であったが、次第に暴虐へと変貌したために暗殺され、元老院によって記録を抹消された。



★ネルウァ=トク=ディアテスシャー


 ディアテスシャー帝国の皇太子。大陸統一の野望をあらわにする父に反目し、また妹には何かと翻弄される不遇な好青年。

 長年にわたり帝国軍第一師団エフェソスの師団長を務めており、屈強な兵士たちを統率する器量に加え、自らもまた華麗な剣のえを魅せる武人である。

 帝国には珍しく権謀術数を嫌う実直な性格のため、覇道を歩む皇帝との折り合いはすこぶる悪いが、サナリエル皇女からは本性を隠されており兄妹仲は良好。

 世継ぎでありながら色恋沙汰には疎く、皇女からしきりにレイネリアのことを語り聴かされる内に、いつの間にか気になる存在へと変わっていた。レイネリア被害者の会その参。

 シュンプ平野における惨劇の後、王嗣おうしウィンダニアの保護を名目に王国へと侵攻する皇帝に真っ向から反抗し、ついには国家反逆罪の容疑で帝都カンヨウに幽閉されてしまう。

 連座により配下のエフェソスもまた解体の憂き目に遭うが、元副長のスキピオらの尽力により脱獄に成功、バラトリプル教国へ向けて逃北する。

 名称はローマ帝国第12代皇帝マルクス・コッケイウス・ネルウァより。ローマ帝国の最盛期を築いたとされる五賢帝の初代。



★アウグストゥス=トク=ディアテスシャー


 ディアテスシャー帝国の国祖。五百年前の人物で、ネルウァ、サナリエルの祖先。

 ネビケスト皇国の第一皇子であったが、神皇の崩御による混乱から各地で反乱が相次ぎ大戦が勃発、自ら皇位の廃嫡はいちゃくを宣言し帝国を樹立した。

 王国、教国との三国同盟の盟主として大戦を終結させた後は、徹底した焚書坑儒ふんしょこうじゅにより旧皇国時代の歴史や文化をことごとく破却した。

 名称はローマ帝国初代皇帝インペラトル・カエサル・アウグストゥスより。ローマを共和制から帝政へと変革した地中海世界の覇者。



★カエレア=ギ=カシウス


 ディアテスシャー帝国の武官。皇帝の寵愛を受け若くして幕僚入りを果たした次代の将。

 鍛え抜かれた筋肉を纏う明朗快活な人物で、帝都の夜宴においてはレイネリアに肉薄する大胆不敵さを見せる。諜報活動にも長けており、同族のタルペイアを皇女のもとに送り込み内情を探らせていた。

 正体はネビケスト皇国時代の名家の子孫。当初は旧時代への回帰を目論む復権派に同調していたが、帝国をかつての皇国のような強国とすることが責務と考え、過激思想からの脱却を果たした。

 しかし、軍事演習においてミストリアの力を目の当たりにしたことで絶望、皇女と共謀して暗殺を企て、人質としてレイネリアを誘拐した。

 ミストリアの機転と空の力の発露により計画は失敗、レイネリアの頬に傷を付けたことで皇女の怒りを買い、口封じを兼ねて誅殺された。

 名称はローマ帝国の軍人カッシウス・カエレアより。第3代皇帝カリグラを暗殺した首謀者として処刑された。



★タルペイア


 サナリエル皇女に仕える侍女。物静かで感情の起伏に乏しい薄幸な少女。

 元は孤児であったが、カシウス家に養子として迎え入れられ、皇女の私邸に間者として送り込まれた。その際にはカエレアに逆らえないようにゲッシュが施された。

 カエレアの命によりレイネリアを誘き出し、ミストリア暗殺のための人質として拘束するが、彼女が空の力を発現させたことで意識を喪失、計画も失敗に終わり捕らえられた。

 実は侍女となった直後にゲッシュの対象を皇女に移し替えられており、逆にカエレアの動向を探る役目を与えられていた。

 事件後は空属性の修練に励むレイネリアの前に現れ、皇女の命によりプラナを奪う力の実験台となる。当初は憎悪の感情が理解を遠ざけていたが、やがて少女の慟哭を受け止めた彼女により、ゲッシュごとプラナを奪われて開放された。

 名称はローマの建国伝説に登場する女性タルペイアより。王政ローマを裏切った人物として処刑場にその名が冠されている。

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