第二章 5-1
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「うわぁ…これはまた、どれくらいの人がいるのかしら」
レイネリアにとっては二度目となる訪問であったが、帝都の南側に
帝国は質実剛健を
それはミストリアの来訪を歓迎しているように観えた。帝国とはその拡大政策から対立する向きが強かったが、臣民の中には純粋に
単純な戦力で
やがて、
突然の事態に微動だに出来ずにいる彼女を尻目に、サナリエルは淑やかに手を振って群衆に応えている。ミストリアもまた慣れた様子で、指向性のない清らかな笑顔を浮かべており、それがより一層の神秘性を醸し出していた。
ミストリア
しかし、それはミストリアや皇女だから出来る芸当であった。仮に彼女が真似をしたとしても、そこまでの価値を相手に示すことは出来ない。その領域に達するまでには、まだまだ彼女では力不足なのであろう。
そして、御料車が宮殿の門を通過すると、車両の壁は元へと戻り、ゆっくりと速度を落として停車する。やがて、扉が外側から開かれると、三人は皇女を先頭にして降車していった。
「遠路遥々、御身の
そこには文武百官を従えた
等しく後光が指すような重厚な存在感は、気を抜けば平伏してしまいそうなほどに威厳に溢れており、宴席では
しかし、それ以上に過敏な反応を示したのはミストリアであった。皇帝へと向けられた表情は驚愕と狼狽に満ちており、美しい翡翠の瞳が濁りを帯びたかのように見開かれている。
明らかに様子が変であった。如何に皇帝の面前であれど、帝国軍全てを相手取ることすら
やがて、臣下たちの間からは不快感を伴う咳払いが聴こえてくる。ミストリアが我に返ったように答礼を述べると、皇帝はただ満足そうに頷くのであった。
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