第91話 コンビネーション
「見事なコンビネーションじゃないか」
「正業と裏稼業が、密接に繋がっていた。仮にそうであったとしても、成型開発グループが認める訳が無いじゃないか。韓宏文も、異母兄弟の弟のため元々疎遠で殆ど会った事もなければ、口を効いた事もない。風の噂で20代の時に九龍団に入ったと聞いたので完全に縁を切ったと言っていた」
「反社会的な組織と繋がりがあると思われたら、かなりマイナスだろうしな」
「企業イメージは、とてつもなく大打撃を受けてしまうからな」
「今、そんな成型開発グループに会いに、わざわざ大阪までハンナリマッタリーの社長代理が出かけているんだ。何かあるな」
「今、その成型開発グループにハンナリマッタリーの藤澤が来ている」
「空売りされた会社がか?」
「ああ」
「繋がりがわからないなあ。また何かわかったら、また飯のたねにするよ」
そう言って板垣が電話を切った。他の3人に板垣と話した事をみんなに説明した。安が腕組みをして言った。
「成型開発グループと九龍団が繋がっているというんだな。藤澤と繋がっているだけでも驚きなのに。何ていう会社なんだ」
「藤澤を問い詰めるしかないですね」
松川がそう言った。
「しかし、証拠が弱いから、問い詰められずに逃げられてしまう。きっと」
五十幡が言った。
藤澤たちのレクサスが地下駐車場から出て来た。急いで車から出るとGSXで追った、レクサスが新地に向かう。有名な天ぷら料理店の前に停まった。後部座席から、韓文宏と、山中渓一、藤澤毅と降りて来た。
「隠し砦の三人みたいだな」
独り言を呟く。レクサスが移動した。成型開発グループから3人をレクサス一台に乗せてきた。一体3人で何の話をしているのだろう。非常に気になった。気になったなら、それを聴くしかない。GSXカタナに乗り、駐車場を探しているレクサスに近付き路肩に停めさた。
レクサスの運転手の小桜葉七が、パワーウィンドウを下ろし顔を出した。
「どうしました?」
「回収しに来た」
そう言ってGSXカタナから降りると、運転席から小桜も降りて来た。後部座席のドアを開け、ポケットになっている部分に手を突っ込んだ。そして手の平に何かを掴むとこちらに渡した。超小型の録音機だった。毎日小桜にレクサスに仕込んで貰っていたのだ。
GSXカタナに跨り、カローラの停まっている所に向かう。録音機を録音された物を車内で再生した。藤澤の生々しい声が聞こえてきた。
京都から出発する際に最初、成型開発グループの山中と話す藤澤の電話の声が聞こえた。
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