第78話 執事 石田健大
「だろう?人は見かけによらないもんさ」
「まさか、トトロの映画を観る度に泣くんだと言うんじゃないだろうな。ゾッとするからやめてくれ」
「おいおい、トトロだぜ?泣いちまうだろうが。それが特別は恥ずかしい訳でもないだろう?」
「中村雅俊の学園物のテレビドラマみたいに、涙は心の汗だというような事は言わないだけマシなだかな」
阪神高速に乗る。朝が早いと道路も空いている。渋滞のストレスが無くて気持ちが良かった。安が音楽をかける。マイケルシェンカーグループ。イントウジアリーナ。なかなかいい選曲だ。
名神を使い、京都南インターで降りた。後は1号線から久世橋通りを走り、西大路通りに向かう。嵐山の自宅兼事務所には、30分ほど前に到着した。駐車場のシャッターが開き中に車を入れ停めると、シャッターが自動に降りた。誰がこちらの様子を見ているのだろうか。あちらこちらにもモニターがあるのでそういう可能性はある。ドアを開け中に中に入り、エレベーターホールに向かう。
そこには、見慣れ無い濃い緑の制服を着た警備員が立っていた。胸に K K Kという文字が入っていた。こちらの姿を見つけると軽く会釈をした。エレベーターに乗り込み3Fに上がると、そこには白髪を2ブロックに分けたり執事の石田健大が待っていた。
「蛇喰様、お待ちしておりました」
「下にいた警備員は何処の?」
「ええっ、それでございますが、昨日の夕方から蛇喰様のボディガードと入れ替わりで K K K総合ガードに警備を委託する事になりました。以前から総合ガード様には、171号沿いにある本社を警備してもらっていたのですが、こちらの自宅兼事務所も含めて今後からは警備してもらう事になりました」
「では、我々のボディガードはどうなりますか?」
執事は、それを聞いて急に困ったような顔をした。
「そこまでは私は、存じ上げておりません。この間の阪神高速での1件では西崎美咲社長の命を守っていただき、大変お世話になりました。西崎社長も非常に感謝しております」
「では、我々では無く何故新たに警備員を配置したのですか?」
「そういった諸事情は私ではわかりかねます」
執事が、どう説明していいのか困り果てていた。
「現在、西崎が体調を崩しまして。後の事は何も伺っていないのです」
「西崎社長の体調はどうなんですか?」
「職場復帰に時間がかかるかと思います。今後の事となると体調面を考慮しながら、かかりつけ医とも相談し業務に当たって行くしかないのでしょうか?」
執事は、逆に質問で返して来た。
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