第2話 蒼髪の少女

 その出逢いが運命だったのか、奇跡のような偶然だったのか、僕には分からない。

 でも、これだけは言える。

 アオとの出逢いは、僕にとってかけがえのないものだったんだ。




 少し雨が降った日の翌日、カイトがいつものように海を見に行くと、すぐに異変に気づいた。


「え? ……船?」


 なにせ海岸に昨日までは無かった船があったのだから。

 その船は村で作るような木造の船ではなく、全体が光沢のある素材で覆われていた。

 もしかして鉄などの金属とカイトは考えたが、だとしたらとんでもないことだ。

 資源が限られているこの島では金属はとても希少なものである。

 村の北の山で採れるらしいが量は少なく、採るのにも危険が伴い、精錬、加工のノウハウを知るのはとある1組の家族だけである。

 もしこの船が金属で出来ているならーーまず間違いなくこの島で造られたものではない。


(ーー海の向こうから来たのか!?)


 初めて自分の世界の外から来た船ーーカイトの心臓は否応なく強く脈打つがーー


(でもこれはーー誰もいないんじゃないか?)


 カイトがどうしてそんな結論に至ったかは船を見れば明らかだった。

 なぜならこの船は船体が所々歪に潰れていたのだ。まるで上から大きな物体が何度も衝突したようにーー


(難破船……だろうな。恐らく生きている人はいないだろうけど、何か海の向こうの手掛かりがあるかもしれないーー!)


 そう考えるとカイトは海岸に打ち上げられた船に乗り込んで調べ始める。


「……船上には何も無し。船体が大きいから下に部屋とかはありそうだけど、どこから入ればいいんだ?」


 カイトは調べてみたが特に外の世界の情報は見つからなかった。船体部分に何かあるとは思ったが、カイトが考えたとおり船体は金属の様な固い素材で覆われていて、所々破損しているが人が入れそうな大きな穴までは空いていない。


「何もないのか? いや、きっと何かある筈だ! これくらいで諦めてたまるか」


 諦めずカイトが船体をくまなく調べているとーー


(ーー誰かいるんですか?)


「っ!?」


 声が聞こえた? いや、カイトの脳に直接声が響いたのだ。


「だ、誰か乗ってるのか!? う、海の向こうから来たのか!?」


(ーー自己診断プログラム起動ーー成功。損傷状況確認ーー装甲部分の74%が破損、武装の内96%が使用不可、内部システムの82%が使用不可。自己修復プログラム起動ーー失敗。自己での修復が不可能なため、外部からの救援の要請が必要と判断、直ちに外部救援要請を発信)


「な、何なんだ!?」


 突然カイトの頭に流れ込んできた大量の無機質な声は全く意味が分からなかったが、最後の少し焦ったような声だけはカイトでも理解出来た。


(周辺探知ーー船体上部に生体反応を確認、救援要請を実施ーーすみません、死にそうなので助けてください)


 よく聴いてみるとそれはまだ若い女性の声に聞こえた。

 助けを求めている人が中にいる、カイトはそのことで頭が一杯になった。


「わ、分かった! どうすればいい!?」


(ーーえっと、取り敢えず私から降りてもらえます?)


 私から? という言葉に疑問を持ったが、とにかく急いで船から降りた。


(ちょっと離れてて下さいーー救援要請の受諾を確認。船体維持エネルギーを生体生成及び余剰エネルギーを生体維持エネルギーに利用、一時的に生体モードのみでの行動を行います)


「な、何だよさっきから!? う、うわ!」


 突然船体が強い光を発してカイトは思わず目を閉じた。光はすぐに収まったようでカイトが恐る恐る目を開けるとーー船が跡形もなく消えていた。


「ど、どういうことだよ!? 船はどこに行ったんだ!? 中の人はどこにーー」


「こ、ここです~ここにいます~」


 突然先程までのように脳内に響くではない生の声が聞こえたので船があった場所をよく探してみるとーーそこには美しい蒼い髪が特徴的な女の子がうつ伏せで倒れていた。


「思ったよりエネルギーがギリギリで動けません~。そこの人、早く助けて~ヘルプミー!」


 ーー裸で。

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群青の世界を君と キケ @kike3814

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