第69話 物語にハマるとはどういうことか
先日、奥森 ゆうやさんのエッセイ(※1)にて「どういう理由で作品にハマりますか?」と問いかけられて立ち止まりました。
ハマるってどういうことだろう。僕は絶賛「宝石の国」にハマっていますが、この意味を考えると、存外言葉にするのが難しいんです。
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笑える国語辞典(※2)によると「ハマるとは、趣味や食べ物などに夢中になって抜け出せなくなっている、という意味の俗語。穴などにぴったり入る、あてはまる、溝などに落ちるという意味の『嵌る、填る(はまる)』からきており、ぴったりサイズの穴に入ってしまって抜け出せない状況を表している」とあり、イメージは理解しやすいですね。
ただ、僕が「何かに没頭する」の意味で「ハマる」と言う言葉を使う時、無くてはならないものがあります。それは「能動性」です。何かにハマった時、僕は確実に「自分で掘って」ます。穴の中で更に掘って、お宝を期待する。そして、採掘されたものに恍惚とする。
この連鎖が止められない状態が「ハマった」ということです。
最初は確かに「穴を覗き込んで『とりあえず見てみるか』くらいの軽い気持ちで飛び込んだら素晴らしかった」という感じですが、それだけだとハマるとは言わないです。自分で掘り始めないと。
だから「あの作品にハマっちゃってー! 完徹して最後まで見ちゃった!」と、常連のオヤジに薦められて古い作品に共感を示すスナック店員のように僕も良く言いますが、これはハマっているかどうか微妙なラインですね。入り口という感じです。
ここから何周も完走したり、スピンオフへと手を伸ばし、序盤の何気ない一言からも埋められたお宝を掘り出すようになったら「ハマった」と言えますね。下手すると作者も埋めたつもりのないお宝を勝手に探りあてることもあるかもしれません。
つまり、ハマるとは「能動的」で、ある意味「創作的」な行為です。
この意味で読み専の皆さんも創作的です。何かにハマることが出来れば、作品に昇華できなくても十分創作的だと思っています。純粋な感想やコメントで新たな芽を育てられることもありますからね。
正直「ハマる」という行為のハードルはかなり高いと思います。でも、だからこそハマった作品は記憶にも残りますし、その人に影響を与えるのですね。ハマることは良いことです。
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さて、次は何かに「ハマる」ための要素を簡単に見ていきましょう。邪道も紹介します。
※1 エッセイ「月が綺麗ですね」 奥森 ゆうや
第32話 物語にハマる瞬間ってありますか?
https://kakuyomu.jp/works/1177354054896540326/episodes/1177354054934189831
※2 笑える国語辞典
https://www.fleapedia.com/
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