第16話 映像研には手を出せないなら、僕はカクヨムの隅っこでパヴを叫ぶ


「映像研には手を出すな!」という作品がアニメ化されて話題になっています。


 はっきり言います。

 今、は見るべきです。必ず、あなたのどこかの創作欲にカツーンとミートする場面があるはずです。


 頭身変幻自在な設定妄想ダヌキの浅草氏、現実主義リアリズム的経済人で金言&金銭クリエイターの金森氏、走りは変だが洞察の俊傑しゅんけつ水崎氏という女子高生3人が「最強の世界」(アニメ)を創っていく物語です。詳細は公式サイト(※1)に譲りますが、これがまた面白い。

 創作を始めて1年足らずの僕でもムチで叩かれたような興奮を覚えるのです。こう、己の創作論にびしーっと喝を入れてくれるような。叩かれた後に赤く皮膚が変色し、じんじんと熱くなってじっとしていられないような余韻が毎回見終わった後に残ります。


 僕は昔から創作が出来る人に諦めに似た憧れを持っていました。今でもそうです。何かを生み出せる人、それで人を感動させられる人にずっと救われていたからです。


 そして、今、女子高生の言葉に涙が出そうになるほど打ち抜かれています。

 一部、紹介しましょう。




「終わるとか完成するとかではなく、魂を込めた妥協と諦めの結石が出る」――浅草氏

 わかる……っ!! 物語が完成したり、エッセイの一記事を書き上げた時の、何とも言えない充実感と遣る瀬無さと不甲斐なさを濃縮した、センスに満ち満ちたフレーズ。




「金を貰って責任を持つのと、金を貰わず責任も取らないのと、どっちが健全か言ってみろ」――金森氏

『好きで書いているから』『無償だから』

 この言葉の意味を考えさせられます。時は金なりってね。僕の文字を読んで貰うことで、僕はお金より大切な皆さんの時間を消費させているのです。だから、僕は無償であることを言い訳に手を抜きたくはない。全力をもって僕は僕の持つ変態性を記し、健全に不健全な内容を書き綴ることを目標とする。




「他人なんて関係ない。あんたはあんたが満足できるロボットを好き勝手描く以外に選択肢は無いんすよ。だが出来上がったものがクソ面白くなかったら、責任は全部お前にあるからな! なぜならあんたは監督なんだ」――金森氏

 僕は好き勝手に書きます。そして、その責任をとるのはもちろん僕です。あまりに変態性が滲み出て誰からも見向きもされなくなっても、目を覆いたくなるような浅ましい本性を曝け出して批難を受けても、僕は変態でなければならず、その言葉に責任を持たねばならぬのです。アメとムチを同時に与える素晴らしい叱咤激励の言葉。




「大半の人が細部を見なくても、私は私を救わなきゃいけない。動きの一つ一つに感動する人に、”私はここにいる”って言わなくちゃいけないんだ!」――水崎氏

 僕は変態性が溢れ出る作品が見たい。どうしてそうなってしまうんだ、と自分で自分に頭を抱えねば気が済まないのです。そうしたキャラを創り、身から出た石を「綺麗だろ、結石なんだぜ、これ」と紹介せねば死んでしまいます。それを面白がってくれる人だけで僕は生き延びる。




 何を血迷ってか昨年から衝動的に書き始めた言葉たち。滂沱の如く時間を掛けて、不格好ながらも漆喰を塗りたくって、何とか形にして来ました。そんな経験をしたからこそ、浅草氏の例えで失笑し、金森氏の金言に頬をぶたれ、水崎氏の信念が背中を押します。


 だから、僕はカクヨムの隅っこで叫び続けます。


pervへんたいはここにいる」


 言葉を尽くして、僕は僕を救わなきゃいけないのです。






 ※1 映像研には手を出すな! アニメ公式サイト

 http://eizouken-anime.com/

 監督は湯浅政明さん。森見登美彦さんの「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」を見事にアニメ化して僕のキャラ造形の根幹を築き、バイブルである松本大洋「ピンポン」のアニメ化を手掛けて全Askewを感涙せしめた天才です。

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