第242話 鍛冶ギルドにいこう

月1投稿ペースになってしまって申し訳ありません。

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 さて、昨日、8月24日月曜日に職務に復帰してから今日で2日目。特に問題なく業務をこなし、15時から時間休を取り、クレムリンに戻って着替えてから鍛冶ギルドへと向かうよ。前に義弘をはじめとする島津隊、呂布をはじめとする呂布隊、ルーデル大佐をはじめとするパイロット達からヒヒイロカネ製の武具と防具に装飾をしたらどうかとすすめられていたんだよね。一目で僕とわかるように装飾しておけば味方の士気は上がり敵の士気は下がるだろうから効果的だということで。


 ということでジョージは勿論のこと豊久と呂布も誘ってみる。ルーデル大佐はいつも通り空の上なので誘えなかったよ。3人とも案外乗り気で2つ返事で着いてくることになった。一応、お忍びという形で僕だけフードを深くかぶり街に向かう。まだ、陽が長いから明るいなぁ。


 門番さんは僕達の事を知っているから顔を隠している僕が居てもすぐに通してくれたし、なんなら敬礼しようともしたので慌てて止めたよ。そして、街を巡回中の衛兵にも声をかけられたけど、武人として顔の知れている呂布と豊久が上手く説明してくれたおかげで特に問題も無く鍛冶ギルドについた。


 鍛冶ギルドの入口を開け、目当ての職人さんを探そうと受付カウンターに向かっている途中で悲壮な声が聞こえてきた。あれは叫びに近いね。


「なんで、ウチの鍛冶工房に一軒も依頼が入っていないんスかー!?」


「いや、さっきも説明した通り、出向いたお客様を君のお師匠さんが追い返したからだよ?」


 ふむ、面白そうだね。同行している皆も興味があるようだね。受付へ向かう足を止めて会話を聞く。まあ、これだけの大きな声だから聞きたくなくても聞こえてきちゃうよね。受付のおじさんに向かって抗議?している少年?少女?の人種は普通の人族っぽいけど何となく纏っている雰囲気が・・・。


 【鑑定】を軽く使ってみる。おぉ!?父親が魔族で母親がハーフエルフなんだ。珍しいね。さらに祖父母まで鑑定してみる。父方は魔族だったけど、母方はドワーフとエルフだった。それで母親はハーフエルフなんだね。それでドワーフには名工も多いから、鍛冶工房に弟子入りしたって感じかな。あ、ちなみにかなりの美形さんだけど男性だったよ。名前はエリア。


 でも、ドワーフだから鍛冶職人にならないといけないという掟みたいなモノは無かったはずなんだけどなぁ。しかし、ジョージの言う地球の読み物ではドワーフとはそのまま鍛冶職人の比喩みたいなモノとして扱われているとのことだから、地球の神様が変なちょっかいでもかけたのかな?

ま、それらはおいといて、彼と職員さんの会話に意識を戻そう。


「新規のお客さんを確保しないとマジでヤバいんスよ!?」


「いや、ギルドは紹介するだけだからね?お客様に強制はできないし、さっきも言ったように君のお師匠さんのエフモントさんがウチで紹介したお客様の注文を受けないのがそもそもの原因なんだよ?わかっているよね。」


「うう・・・。」


「ウチもエフモントさんの鍛冶職人としての腕を見込んでいるから紹介をしているんだよ?それでそちらの都合で断っておいて仕事をまわせってすじが通らないのでは?」


 あら、すっかり打ちのめされたみたいだね。では、お話しに混ぜてもらおうかな。呂布に目で合図をする。


「すまぬが、腕の良い鍛冶屋を探して本日、こちらに参った。貴殿らの話しは聞かせてもらった。ギルドがよいのであればそこの鍛冶屋を紹介してもらいたい。」


 筋骨隆々の大男である呂布は存在そのものが武威を放っているからね。職員さんもエリアさんも固まってしまった。僕は小声で言いながら貴族証を渡す。


「呂布、これを職員さんに渡して小部屋を用意してもらってそこで話すようにしよう。」


「御意。すまぬがこちらの方は今、現在このような役職についておる。どこか別の部屋で話しができればよいのだが?」


 職員さんに貴族証を渡す呂布。職員さんは貴族証を確認して目を見開いて背の一番小さい僕を見る。はいはい、子供だから僕ですよ。“僕がガイウス・ゲーニウス辺境伯ですよ”という意味を込めて軽く頷く。


「すぐに部屋を用意いたします。少々お待ちください。エリアさんも勝手に帰らないでくださいよ。」


 呂布と豊久を見て完全に2人の放つ武威に屈服しているエリアさんは高速で頷く。ジョージ?彼は壁にもたれかかりながら暇つぶしに持ってきた本を読み始めているよ。なんだかんだで見た目よりも図太い神経と完成された肉体を持っている1人だからね。ああ、勿論、彼も、すこ~しだけ威嚇のためかプレッシャーを軽く放っているね。おかげで僕達の周囲は人がいない。ま、一番端っこの窓口だから業務の妨害にはなってないようでよかったかな。


 さてさて、実りのある話しができるといいねぇ。


 すぐに部屋の用意ができたようで、自己紹介からの話し合いを始める。あ、ちなみに職員さんは早々に退室したよ。厄介事には巻き込まれたくないもんねぇ。それで、エリアさんは僕の名前を聞いて目を見開いていたけど、お供の3人を見ると納得するように頷いた。そして自分の鍛冶工房について話し始める


「ウチの師匠は昔ながらの職人気質の頑固さをさらに固めたような性格なんス。しかも、腕が良いモノなので、色んなお客が来るんです。だから、お客を選んでしまうんスよ。今までもお貴族様の依頼はあったんですが、実力が足りんとか色々と難癖をつけて追い返してしまうんス。でも、辺境伯様のお願いなら。」


「ふむ、失礼ですが今まではどうやって収入を?」


「ヘニッヒ子爵閣下が国軍や衛兵隊の仕事を紹介してくれていたんス。ただ、領軍になってからは、その、言いにくいのですけど、ガイウス辺境伯閣下と会ったことも無いのに仕事は受けたくないと言って・・・。」


「うん?ですが、領軍、衛兵隊共に武具や防具のメンテナンスは定期的に行われているようですが。」


「ええ、師匠のご友人方が代わりにしてくださっている状況なんス。ああ、皆さん腕の良い方々なのでご安心を。」


「ええ、特に問題が起きたなどは報告が無いので、心配はしておりませんよ。ふむ、では、エリアさんのお師匠さんに僕が会う必要がありますね。今から工房にお伺いしても?」


「大丈夫っス!!」


 さて、どんな人なのかなぁ。楽しみだねぇ。

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