第178話 式典&パーティー開催に向けて
クスタ君が戻ってくるとすぐに仕事を言い渡す。
「今、
「わかりました。両方ともヘニッヒ様に確認をとってきます。」
「お願いします。クスタさん。」
ジギスムントさんを送って戻ってきたばかりのクスタ君に次の指示を出す。僕の周囲が目まぐるしく動きだすのが王都では4人の昇爵というもので実感できた。僕は貴族であり領主であるから、臣下にはそれ相応のモノを与えていかないといけないし、そのための場というモノも考えなければならない。
まずは手始めに男爵に昇爵したグイードさん、アルトさん、ロルフさん。子爵に昇爵したジギスムントさん達の昇爵祝いの式典とパーティーを開催しないといけない。事前の準備のためにも時間が必要になる。でも期間を開けすぎるのもよくない。2週間後の日曜日に開くのがベターかもしれないね。
しかし、僕にはダンスの経験なんて無くて、クリスとユリアさんに教えてもらった程度のものしかできない。んー、どうしたものか。呂布に剣舞とかは教わっているんだけどなあ。それで、何とか
そう考えていると扉がノックされた。
「閣下。ヘニッヒです。クスタ殿の持って来た件でお話があります。」
「どうぞ、入りたまえ。」
「失礼いたします。」
クスタ君が扉を開け、ヘニッヒさんが入ってくる。
「まずは土産物ありがたく頂戴いたしました。さて、早速ですが報告させていただきます。
「人数は?」
「87名です。」
「ならば大丈夫でしょう。2週間後の日曜日に手配のほうをお願いします。」
「承知しました。領内の各貴族、代官への招待状もご準備いたします。」
「お願いします。それと、ツァハリアス・シントラー伯爵と帝国のイオアン・ナボコフ辺境伯にも出してください。またピーテル・オリフィエル殿は主役の1人ですので必ず出るように念を押してください。距離はありますが明日にでも
「では、その内容で作成いたします。しかし、
「ああ、その件ですね。式典の日にクレムリンの外に儀仗兵のように形だけでも立哨させようと思いまして。1週間しか時間はありませんけどね。」
「呂布将軍の部隊があるではないですか。」
「彼らは義弘が率いる島津隊と同じく即応部隊とします。ゲーニウス領の主要人物が集まりますから
「何か起こるとお考えで?」
「まあ、イオアン殿とは相互不可侵を結んでいますが帝国とは結んでいませんからね。それに黒魔の森の掃除を当日までにすすめるとしても取り逃がす魔物がいるかもしれませんから。」
「ふむ、わかりました。では、そのように致しましょう。領軍は儀仗兵以外の者は通常通りでよろしいでしょうか?」
「はい、それでお願いします。」
「それでは、失礼いたしました。」
クスタ君が扉を開け、ヘニッヒさんが退出する。僕はクスタ君を手招きして笑顔で言う。
「式典とパーティーにはクスタさんも参加をするんですからね。僕の補佐官なんですから。」
「えっ!?そうなんですか!?ぼ、僕はダンスとかできないんですけど。」
「僕もできませんよ。まあ、僕主催なのでダンスは強要しませんから安心してください。」
そう言うとホッとしたような表情になる。ふむ、驚かせすぎたかな?ちょっと反省。雑談をしながら業務を進めているとすぐに終業時刻になった。僕とクスタ君は帰り支度をすぐに済ませ、ヘニッヒさんに退庁の挨拶をしてすれ違う職員さん達に早く帰るように言いながら行政庁舎を出た。グイードさん達に護衛してもらいクレムリンへと帰りついた。
夕食後にお土産をローザさん達に渡したらみんなとても喜んでくれた。喜んでもらえてよかったあ。
みんなが各自の部屋に戻ったところで【空間転移】を使いナトス村へと向かう。すぐに自分の家へと向かい、父さん達にそろそろニルレブに来ないか聞いてみた。畑も家畜も全て【空間転移】で運べるので、【空間転移】という言葉を使わずフォルトゥナ様のお力を借りて一瞬で家ごとニルレブに行けると説明をした。
村長とかに挨拶があるから土曜日まで待ってほしいと言われた。まあ、急にこんなこと言われてもね。そのまま僕は【空間転移】を使ってクレムリンに戻った。そんなこんなで6月13日は終わった。
翌日、6月14日水曜日は夜明けと同時に活動を開始して“シュタールヴィレ”の面々で様子見のために黒魔の森に潜った。クスタ君には午後から出てくると伝えているので書類仕事のほうは大丈夫だろう。
結構久しぶりな気がするけど五感はよく働いてくれるし、【気配察知】も問題なし。お互いの連携も上手く出来ている。森に入ってから2時間でゴブリンの群れを3つ索敵&殲滅できた。今はロックウルフの群れを相手に戦闘中だ。アントンさんは力任せに大剣で押し潰して、クリス、ローザさん、レナータさん、ユリアさんは毛皮に覆われていない目、鼻、口内を的確に攻撃し、エミーリアさんは魔法でロックウルフを
僕も穂先を高熱状態にした槍で溶断しながらロックウルフを倒していく。っと、何体か逃げようとしたけどすぐに【土魔法】で壁を作り出し逃げ道を塞ぐ。
「君たちが楽になれるのは死体になった時だけだよ。」
伝わっているかどうかわからないけど、僕はそう言って噛みつこうと跳びかかってきた1体を串刺しにし、返す刃でもう1体を殺す。高熱で溶断しているから血が飛び散ることは無い。逃げようとしていたロックウルフ達が怯んだように見えた。
「残念だけど、君たち魔物や盗賊の類には基本的な生存権は認めていないからね。皆殺しだよ。まあ、転生の輪に入って次は魔物以外に生まれ変わることをフォルトゥナ様に祈ってあげよう。だから死んでもらう。」
黒魔の森の掃除は始まったばかりだ。
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