第160話 休日・その2

 更新が遅れてしまい申し訳ありません。


**************************************


 飛竜ワイバーンの群れがニルレブまでやってくるという話しをしないといけないので、ヘラクレイトスの背で【空間転移】を使いニルレブの北門近くの普通の森にでる。そして、そのまま北門へと向かう。勿論、いつもの黒馬を【召喚】してね。


 さて、飛竜ワイバーンの群れの報告を最初に行くのは領都衛兵隊司令部。今日は休日だけど衛兵隊司令のウルリクさんか会ったことのない副司令さんがいるだろう。衛兵隊の司令部庁舎に入ると、僕に気付いた衛兵さんが敬礼をする。すると、領都民の対応をしている衛兵さん以外全員が起立して敬礼してきた。僕は答礼し、職務に戻るように言う。近くの衛兵さんを捕まえ、尋ねる。


「司令か副司令はいるかね?」


「はっ、本日はウルリク司令がおります。執務室までご案内いたしましょうか?」


「迷惑でなければ頼むよ。」


「了解しました。では、こちらです。」


 案内され庁舎の2階に上がる。廊下をしばらく歩き“司令官執務室”と書かれたプレートのある部屋に着いた。案内してくれた衛兵さんがノックして僕のことを伝える。すぐに入室許可が出た。僕は衛兵さんに礼を言い、室内に入る。


「休日出勤ご苦労。ウルリク殿。この部屋は私と貴殿だけかな。」


「はい、閣下。私と閣下の2人だけです。」


「それでは、口調は素で話しをしますね。それではですね・・・。」


 僕は、黒魔の森に入り、飛竜王ワイバーンロード率いる飛竜ワイバーンの群れを捕獲し、その群れがニルレブ近郊に向かってきていることを伝えた。すると、ウルリクさんは顔を青くして、扉まで走り開くなり、


「誰か2,3人執務室まで上がってこい!!緊急案件だ!!」


 そう叫んだあと僕を見て、ため息をつきながら、


「失礼ながら閣下。そう言う行動を取る際は事前に連絡をして下さい。民に無用の混乱を招きます。」


「すみません。」


「謝ることはありません。ただ、次に同様のことをする際にかして戴ければよろしいのです。それに、今回は群れが到着するまで時間がありますからな。対処ができましょう。」


 そんな会話をしていると、扉がノックされる。「入れ。」とウルリクさんが許可を出す。「「「失礼します。」」」と二の腕に赤線2本の小隊長格を示す模様をつけた3人の衛兵さんが入室してきた。彼らに対してウルリクさんが僕の言ったことを伝える。3人ともウルリクさんと同じく顔を青くしたが、すぐに対処のために執務室を出て行った。


「まあ、これで大丈夫でしょう。住民たちへの周知を徹底します。ところで、飛竜ワイバーンは何処に降りるのですか?」


「えっとですね。大体の場所は決めています。僕の屋敷と街道を挟んで反対側に設置しようかと思っています。」


「ふむ、ならば、第2種戦闘兵装の衛兵分隊を率いて私もその場所まで同行します。領主と衛兵隊が一緒に動いていれば、民も安心するでしょう。」


「わかりました。それでは、お願いします。」


「15分だけお時間を戴きます。その間はこちらでお待ちください。」


「わかりました。」


 ウルリクさんは装備を着けるために部屋を出て行く。その間に【遠隔監視】でヘラクレイトス達の様子を見る。黒魔の森上空を悠々と飛行している。クリスの表情も普段と変わらないから、問題は起きて無いようだ。そんな感じで、ニルレブに向かっているグイードさん達や呂布隊の様子も見て時間を潰す。両方とも大きな問題は起きて無いようだ。


 15分経たないうちに扉がノックされ、第2種戦闘兵装に身を包んだウルリクさんが入ってくる。司令官を示す赤い5本線が鎧の方の部分に入っている。


「閣下のご準備がよろしければ出発しましょう。」


「ええ、僕は大丈夫です。」


 そして、ウルリクさんと衛兵さん達の立会いのもとで、街道を挟んでクレムリンの対面に適当に大きな施設を【召喚】する。すると、砂で出来た広場かな?そんなものとその向こうに人工物が立っている。【鑑定】すると“エドワーズ飛行場(空軍基地)”と出た。ふむ、軍事施設か。なら、大丈夫だね。しかし、“空軍”の軍事施設ということは、【召喚】した飛行機を此処に駐留させることができるのかな。


 まあ、飛竜ワイバーンの群れが休まるには十分だろうね。そのまま竜騎士ドラグーンの駐屯地としても使えるからいいね。それにこれだけの敷地面積があれば、領軍の演習にも使えるかな?


「これが閣下のお力ですか・・・。凄まじいものがありますな。」


「ふむ、司令官には初めて見せたかね?」


「馬や武具関係は見せてもらいましたが、これほどのモノを【召喚】できるとは知りませんでした。もしかすると世界一の召喚士かもしれませぬな。」


「世界一などのそこのところはあまり興味が無いな。兎に角、領の発展のためにできることをするまでだ。ところで、貴官の部下たちが先程から微動だにしないのだが。」


「あー、これは、常識というストッパーが掛かってしまっていますな。まあ、もうしばらくすれば現実を直視できましょう。」


「ふむ、そうか。ならば、ここは任せても良いかな?クリスとヘラクレイトス、ああ、ヘラクレイトスとは飛竜王ワイバーンロードのことだ。私が名付けた。彼女たちを迎えに行きたいと思う。」


「わかりました。ここはお任せ下さい。」


「頼んだ。」


 そう言って、僕は背中から翼を生やし一気に飛び上がる。そのまま黒魔の森の上空へと向かい、他人の視界から外れたことを確認して、クリスとヘラクレイトスたちの所まで【空間転移】した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る