第105話 討伐準備

 御上の動きで仕事増えるからコロナウイルス死滅してくれないかなぁと思う今日この頃です。


**************************************


 さて、クスタ君を迎えに行くまでに、今日を抜いてあと4日。今日は、グレイウルフリーダーのルプスから聞いていた情報を元に、コボルトを殲滅しに行く。そのため、今日は、僕の【召喚】をアントンさんとレナータさんに見せることになる。


 インシピットの町を出て、黒魔の森に入った時点で【気配察知】を最大限に広げる。ううむ、中々ひっかからないなあ。よし、困った時の【召喚】だ。今日は【召喚】を使いまくると宣言している。まずは、統合末端攻撃統制官のジョージ・マーティン中尉を【召喚】する。敬礼に続いて、お互いに再会の握手をする。続いて、RF-4C“ファントムⅡ”を16機【召喚】し、ヘッドセットを装着した僕の指揮のもとでジョージを経由して索敵を開始する。


 その様子を、ポカンとした様子で見ているクリスにアントンさん、レナータさん。まあ、3人には異世界の動くモノの【召喚】を見せるのが初めてだからね。仕方ないね。轟音とともに飛び去っていくファントムⅡを見送り、情報が来るのを待つ。その間に、僕の【召喚】について3人に説明をする。


「ということはだ、俺が以前見た鉄の鳥は、ガイウスが【召喚】した“飛行機”ってやつなんだな。」


「ええ、そうです。ギルドでそのことを聞いたときは、冷や汗をかきましたよ。」


「いやあ、面白いねえ。飛竜ワイバーンを落とすことができるようなヤツもいるんだねえ。それにドラゴンよりも速いかもしれないね。音はうるさいけど。」


「ガイウス殿の能力は底が知れないですね。ん?ちょっと待ってください。先程、説明の時に“呂布”という方と“島津義弘”という方を配下とともに【召喚】したわけですよね。それならば、領軍が一時的にでも構成できるのでは・・・?」


「ああ、クリスは良いところに気が付いたね。僕もそう考えていたんだよ。国軍が引き揚げて、正規の領軍が編成できるまでの間にどうしようかと。そこで、その隙間の時間を埋めるために軍を【召喚】するつもりだよ。」


「ならば、我々、アメリカ軍を召喚されたらよろしいかと。」


 ジョージが話に入ってきた。


「今現在、【召喚】されている自分が属しているアメリカ軍を基準として、“呂布”の率いた軍勢は約1,800年前、“島津義弘”が率いた軍勢は約400年前の装備と部隊編成となっています。そして我々アメリカ軍は過去の戦訓を生かしながら成長してきました。是非とも、我が軍を。」


「ジョージの言うこともわかるけど、鉄砲は奥の手にとっておきたいんだよねえ。義弘たちの使っていた火縄銃くらいなら、火魔法と風魔法を使って鉛玉を撃ち放っているって言い訳ができるからね。」


「でしたら、軍事教練や施設の設置は任せてください。タフな兵隊に、難攻不落の要塞を作れますよ。」


「まあ、それくらいなら。とりあえず現地に行かないことには始まらないからね。また、今度、お願いするよ。」


「了解しました。あ、それと、貴族になられたのでしたね。遅くなりましたが、おめでとうございます。」


「ありがとう。ジョージ。さて、コボルトの集落なり集団なりは見つかったかなあ。」


「『オール・ロメオ。こちらコマンダー02。目標は発見できたか?』」


『こちら、ロメオリーダー。ダメだ。もう少し範囲を広げる。』


『こちら、ロメオ11。ロメオリーダー、コマンダー02。目標を発見した。集落のようだ。矢を撃ってきやがる。』


「ジョージ、ロメオ11を中心に索敵網を形成。取りこぼしは極力無くしたい。」


「了解です。ガイウス卿。『ロメオリーダー。ロメオ11を中心に索敵網を形成し、コボルトどもを1体残らず見つけ出せ。』」


『ロメオリーダー、了解した。』


 ようし、目標を発見できたみたいだ。飛行中のロメオ11の下あたりに【空間転移】をしよう。みんなを集め、【空間転移】をする。すると、黒魔の森だが先程とは違う場所に出た。【空間転移】成功だ。上空ではおそらくロメオ11らしき機影がある地点を中心に旋回飛行を続けている。その中心地がコボルトの集落だろう。【気配察知】でもゴブリンよりは大きく、オークよりは小さい多くの気配が動いているのがわかる。


 みんなで周囲を警戒しながら、前進する。【気配察知】では、こちらに向かってくる気配は皆無で、逆に集落に向かって行く気配が多い。結構、広範囲に散らばっていたようだ。その集落に向かうコボルトに見つからないようにさらに警戒しながら前身をする。


 しばらくして、木々の間から人工物が見えた。木でできた防壁と見張り台、それと門だ。ここまで確認できれば、ロメオ隊には帰還してもらってもいいだろう。ジョージも同意見だ。ロメオ隊に礼を言い【送還】する。すると、先程まで聞こえていた轟音が消える。


 森に静寂が戻る。聞こえるのは、自分たちの息遣いと、防壁の内側から聞こえる騒がしい声。【異種言語翻訳】のおかげで、コボルト達が何を言っているかわかる。聞こえてくる言葉を要約すると、“集落の外に出ていたコボルトは、全て戻って来た。先程の怪鳥は何者かの仕業しわざかもしれない。門を閉じ、防備を固める”こんな感じだ。みんなにも説明する。


 そして、攻略会議だ。【召喚】するのは、僕たちの世界でも通用する武装を持つ呂布、高順、張遼と騎馬と歩兵の混合部隊。島津隊も考えてけど、その、狂気の度合いがね。初めてだとあれは衝撃だから後にとっておくべきかも。ジョージの言っていた日本人って、みんなあんな感じなのかな。まあ、いいや。


 それで、作戦だけど、僕とクリス、エミーリアさんにユリアさん、そしてレナータさんの【魔法】攻撃で門を破壊し、呂布隊と共に一気に流れ込む。そして、あとは狩り尽くすだけ。簡単だ。さあ、コボルトどもに悪夢を見せてあげよう。夢と違うのは本当に命を狩られるということだけかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る