第132話 突然のテロ予告

 訛りが強いな、これズーズー弁だよな? ハヌマの事も知ってるみたいだし、蘭を一発で神獣って見抜いたって事はリュイやバーニアと同じ精霊か?


「なっなあ君は『ウインじゃない! 久々私、リュイよ? わかる? 懐かしいわねえー』あっあ……ウインって言うんだね宜しく」


 俺が話しかけているところをリュイにぶった斬られてしまう。とりあえずこちらの自己紹介をしなければ


『あらリュイでね? 貴方少す大ぎぐなったんでね? もー聞いでよ。ハヌマ様ったら、人使い荒えのよ。おらは、精霊であって使いっ走りでねのにさ。強い奴等近付いでっから、見でごいって言うのよ! 自分で行げばいいのにさ! ひどぐなーい?』


(※訳:あらリュイじゃない? 貴方少し大きくなったんじゃない? もー聞いてよ。ハヌマ様ったら、人使い荒いのよ。私は、精霊であって使いっ走りじゃないのにさ。強い奴等が近付いてるから、見てこいって言うのよ! 自分で行けばいいのにさ! ひどくなーい?)


 うおっ! 俺をガン無視してリュイと話はじめやがった! しかもズーズー弁がキツ過ぎて、なにを言ってるか全くわからん!


『うんうん、そっかー。それは酷いねえ、言う事聞かなくても良いんじゃない? 無視しちゃいなさいよ。バーニアなんて、元女神様に運ばせながら寝てるわよ』


 リュイにはわかるのか? すげえな、通訳して貰おう。


「なっなあリュイ。方言キツ過ぎてなにが、なんだかさっぱりわからないんだが、通訳してくれるかな?」


『えっ? 私にわかったのはハヌマ様に酷い扱いされたって事だけよ? だいたい、ウインの方言を聞き取れる人なんて、精霊王様位じゃない?』


 こいつ! 小声でめちゃくちゃ失礼な事を言ってやがる。バーニアもアナスタシアのポーチから、出てくる気配もないし。


『おらの訛りがぎづぐでわれ。ハヌマ様の所さ用があるのですたら、ご案内すますがいががすますか? ついでにハヌマ様をぶっ殺……いえ、ハヌマ様をお叱りになって頂げだら幸いだ』


(※訳: 『私の訛りがきつくてすいません。ハヌマ様の所に用があるのでしたら、ご案内しますがいかがしますか? ついでにハヌマ様をぶっ殺……いえ、ハヌマ様をお叱りになって頂けたら幸いです』)


『じゃあウイン、案内宜しく! 皆んなウインに着いてくのよ!』


 あっあれ? 俺の聞き間違いじゃなかったら、ハヌマ様をぶっ殺せって聞こえたんだが。リュイは気づかなかったみたいだが。


「なっなあ蘭、あの子ハヌマ様をぶっ殺せって、言わなかったか?」


「言ったわね。酷い扱いを受けているんじゃない?」


「酷い扱いを受けているからって殺害依頼はなあ。まあ言い直したし、ここは流すかあ」


「その方が無難よ。それより、洋一は葵をコントロールしてよね。新しい女の子、精霊様だけど……出てきて興奮しない筈がないんだから」


 たっ確かに師匠が、貧乳の精霊を見て興奮しない筈がない。貧乳の使徒だからな師匠は。


「ウイン、君はシルフィを知ってる?」


 師匠の質問に、ウインは困った様な表情を浮かべながら、首を縦に振る。


「やっぱりか。ありがとうございます。シルフィに宜しく伝えて下さい。葵は今も抗い続けていると」


 それだけ言うと、師匠は黙ってウインの後を着いていく。なんだ今のやり取りは? 俺が呆けていると


『あんたにヒントをあげるわ。精霊の世界は一つなのよ』


 色々な世界があっても精霊の世界は一つって事か? ウインは師匠が言ったシルフィを知ってるって事なのか? アナスタシアはわかっているみたいだが、語る気はないんだな。なら今は、語らなくても良い話って事か。



 ウインのズーズー弁を聴きながらハヌマがいるギレイアの国が見える丘着く。

 あれは国と呼んでいいのかな? 街位の規模しかないし、城が一つ真ん中にあり、その周りに城を囲む様に家が沢山並んでいる。


「アナスタシア、なんで城が和式なんだ?」


『あーそれは、三代前の勇者の影響ね。城との間に堀もあるでしょ? 攻め難い形にしたって言ってたけど、空からなら関係ないわね』


 空から攻めるとか、元も子もない事を言うなよ。江戸時代に近代兵器を持ち込む様なもんだぞ。夢がないだろうが!


「ふっ。女には城の浪漫がわからないんだよ」


 俺がドヤ顔でアナスタシアを見下していると


『喰らえっ!』


「ふぎゃっ!!!」


 アナスタシアめええ。俺の息子にパンチしやがってええ! 玉が上に……! 痛い! 痛過ぎる!


「洋一が煽るからいけないのよ。葵もアナスタシア様に協力してたしね」


 だからアナスタシアのパンチが、あんなに重く……!


『ヨーイチ! ハヌマはあの城の一番上にいるみたいよ! ここから雷砲ぶっ放す?』


 リュイの発言にアナスタシアがびっくりしている。ああ、雷砲の威力を知らないからだな? こっからでも届くぞ?


「リュイ様、やめてください。洋一もアナスタシア様がびっくりしてたいのは、突然のテロ宣言の方だからね」


「えっそっち? ってきり届く訳ないじゃない的な感じで、びっくりしてるのかと思ったよ」


「そんな事ある訳ないでしょ」

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