第46話 愛の神のお名前は?


「なんで、こんな質の悪い悪戯をした?」


 俺は、チャラ神の尻をいつでも叩けるようにロックしながら、チャラ神に話しかける。


『悪戯ではなくて、誰の加護も受けてない神獣が、神界に来てくれるなんて初めてだしさ〜。いっそ僕の、勢力に入ってくれないかなーって思って。僕の部屋に招こうとしたら、途中でなにかに弾かれて、急いできた? みたいな感じです』


 チャラ神を下ろした、チャラ神は尻を出したままだから、当然フルチンだ。


「なにかに、弾かれた?」


 チャラ神は、俺を指差した。


『君の中の……なにか巨大な力に弾かれたんだよ?』


 俺は、そっとチャラ神の指を掴み、あさっての方向に曲げた。


『ぎゃああああ!! 指が変な方向にいいいい!』


「人を指差すな。俺は柊洋一だ。覚えておけ」


 チャラ神は、顔を赤くして俺を見つめている。なにか、寒気がする。そうこれは、オカマと遭遇した時のような……。


『くううう! 神を前にこの態度! 好きになりそうだ!』


「洋一君は、モテモテだね蘭ちゃん」


「同性からモテないのよ。地球にいた時から。何故か、この手の方々には凄く、モテモテだけど。その点光一は、地球に居た時からモテモテだったんじゃない?」


「それがその、なんて言うか僕、コミュ症でいつも下を向いてたので恋愛はおろか、友達も」


「こっちでは、コミュ症って感じしないわよ?」


「洋一君や蘭ちゃんがいたからかな? 彼なら、不思議と自然に話せるんです。安心すると言うか、上手く説明できないんですけど」


「あーなるほどね」


 彼奴ら! 世間話をして。俺の貞操の危機をスルーしてやがる。チャラ神のアレがアレしてるのに!


『僕、洋一君のお嫁さんになりたいなー』


 目を潤ませて、気色の悪い事を言うチャラ神


「おっお前男だろ! 俺も男だ、後はわかるな?」


『僕がお嫁さんになって、尻を差し出せばOKなんだね!?』


「ひいいいいい! 話が通じない!」


『僕と君の間に、言葉の壁はいらないさ!』


「だっ誰か助けてえええ! お願い! 金貨あげるからあああああ!」


『━━━ほんまやろな?』


━━━━ドカーン!


 轟音と共に、目の前に青髪ロングの着物を着た妙齢の女性が現れる。身長は150cm位、目はコバルトブルーおっぱいが無い⁉︎ いや着物でわからないだけか!? いや洋一スカウターよ! 今こそ真価を発揮するんだ! 


 おりゃあああああああ!


 AAだと⁉︎ ばっばかな。幼児体型のアナスタシアですら、Bはあるのに……ライルの胸筋よりないだと……おお! 神よ! なんたる悲劇!


「うわあああああああ!」


 俺は、思わず叫び、地面を叩きながら泣いた。


 貧乳神は、眉間をピクピクさせながら腕を組んでいる。


『この糞ガキ、しばいたろか』


「しばけばいいさ! 貴女の気持ちはわかる! こんなロリババアの、アナスタシアよりも慎ましい物をお持ちの貴女の無念! 俺には、わかるぞべぶらあああああ」


 蘭に、思いっきりぶっ飛ばされた。


『あのガキおもろいなあ。神威は効かんし、私の威圧を受けてなお、私を小馬鹿にして、おちょくってくるし』


「あの、貴女様は?」


『私はアマルナ。あんたは神獣やろ? で、神をクビになったアナスタシアと、アナスタシアの転移者やろ?』


「アマルナ様、私は蘭と言います。先程、無礼な振る舞いをしたのは、私の家族で柊洋一と言います。こちらはアナスタシア様の転移者で、日比谷光一と言います」


「僕は、日比谷光一です。宜しくお願いします!」


『いやや、アンタから金の匂いがしない。さっきの、ヨーイチやったっけ? 彼奴からは、金の匂いがプンプンする。さっきも金貨あげるって叫んでたしい』


「金の匂いですか……」


 俺が、走って戻って来ると光一が凹んでいた。


『兄ちゃん、出すもん出しいや!』


 いきなり貧乳神に胸倉を掴まれ、恐喝をされた。


「ああ、金貨な。はいどうぞ、頑張って貯めるんだぞ? 無駄遣いするなよ?」


 俺は、持っていた金貨22枚を差し出した。


『ノリが悪いとかそんな次元やない! こいつはもっと恐ろしいアホや!』


 目ん玉ひん剥きながら、アホって言われたけど、手術費用に金がかかるんだろう。俺は、金をあんまり使わないし。少しでも、手術費用の足しになるなら、幾らでもだすさ。


『あー頭の中は、ボケ倒してる癖に、なんなんやこいつ。まあ今回は、あのボケをぶっ飛ばせたから、金貨一枚にまけといたる』


 金貨一枚じゃ足りないだろうが! 何を遠慮してるんだ! 言葉とは裏腹に優しさ満点か!? 自分の手術費用を優先しろよ!


『手術費用、手術費用って煩いわ!』


「あのーアマルナ様、先程ぶっ飛ばされた、神様は何て言う神様何でしょうか?」


『彼奴? 愛の神エロスや』


 ん? 今変な言葉が聞こえたような


「貧乳神よ。もう一度教えてくれ」


『なんやねん、エロス! 愛の神エロスや!』


「ぷっあははははははは!エロスってちょっとまて彼奴虐められてんのか?」


「洋一君、ぷっ笑ったら失礼だよ」


「そう言う、光一も笑ってるじゃねえか!」


 2人して大爆笑してたら、アマルナにため息をつかれた。


『なにがおもろいかわからへんけど、エロスは蛇の様にしつこいから、きいつけや』


「えっ!? まじかよ…………俺、尻を狙われてるんだけど」


『ご愁傷様やな』

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