第6話 小さなプライド
ドラゴンの肉でバーベキューをした。ドラゴンはめちゃくちゃ美味い。A5ランクかそれ以上の味だ。漫画によくある様なお肉の食べ方にもチャレンジ! 骨付き肉最高!
ドラゴンの牙や爪は武器に鱗や骨や皮は防具に加工出来るが、おいそれと表に出せないらしい。
何故ならドラゴン素材を狙われ、更に命まで狙われる可能性があるらしい。
ドラゴンの素材はアイテムボックスの中に
「ドラゴン美味え! 蘭もそう思うよな? 俺はあの時何も出来なかったけど」
肉壁位にはなれたかな?
「ヨーイチ……普通はドラゴンを見たら、逃げるか諦めるかの二択よ。何も出来なくて当たり前よ。個体によるけどドラゴンは単独で魔王と戦えるって言われてるのよ?」
レイ先生は優しく諭してくれていたが、気になる単語がある。
「魔王!? 魔王って居るの? 魔王が居るなら勇者は?」
「今は居ないはずよ。因みに魔王は先代の勇者が倒してから、100年間現れていません。アスベルク王国は勇者の子孫と言われています。王家は勇者の名を今でも受け継いでいます。現国王はアスベル・オダと名乗っているわ」
おだ? オダ? 織田?
「織田⁉︎ え? 信長⁉︎」
「洋一、多分信長じゃないと思う。100年前なら信長はいないでしょ」
蘭が呆れているが異世界なんだから時空が歪んだりしてないのかな
「ヨーイチ、そのノブナガとはどんな人なの?」
レイ先生が信長に興味津々だ。異世界人にも興味を保たれるとはすげーな信長。
「あー第六天魔王、魔王だよ」
「えっヨーイチの世界にも魔王が居たの!? 」
ありゃ? びっくりしてるな。
「洋一、それじゃ本物の魔王だって誤解しちゃうよ。第六天魔王と呼ばれた事もあるけど、人間で名のある武将だよ。異国文化を取り入れたり、色々と伝説を残した人かな」
「ああ、歴戦の将かあ。ヨーイチ話す時はちゃんと説明しないとダメよ? 誤解されちゃうからね?」
おうふ。レイ先生に可愛く注意された、一々仕草が可愛すぎる。
「ヨーイチのステータスってどんな感じなの? 良かったら見せてくれない?」
スッステータス!? やばいこれはまずい流れだ
「えっ? ススステータスは家出したんじゃなかったかな? 確か実家に帰りますって書き置きがあったような」
挙動不審になってしまう。
「ステータスが実家に帰るって、ヨーイチのステータス何だからヨーイチが実家でしょ。ステータス見せたくないの?」
これは正直に言うしかないか……。
「俺話した通り貧弱だから、そのレイ先生ガッカリするんじゃないかなあって。こんなに教えたのに成長してないじゃない! この豚が! 的な」
「豚何て言わないから、大丈夫だからね? 見せてみて?」
頭を撫でながら優しく言ってくれた。仕方ない覚悟を決めよう。
「蘭お願い、見せてあげて」
「洋一本当に良いんだね?」
「うん、良いよ。これもまた現実だし」
柊洋一
12歳
職業 引きこもりの豚野郎
「待て待て待てえええ! 職業引きこもりって確かにここに引きこもってるけど豚野郎って何だよ! むきいー! 馬鹿にしやがって! 無職はどこ行った? せめて狩人とか、ゴブリンキラーとかさ!」
「私引きこもりって職業初めて見た」
レイ先生が初めて見た職業に感動してるけど、そこじゃない! そこじゃないんだ! ステータスに馬鹿にされてるのが問題なの!
称号ーー
レベル5
体力40
魔力 0
攻撃力20
防御15
素早さ20
運500
スキルーー
「うおお!! レベル5になってる、だけどスピードは同年代の女子に勝てない、男子には防御力で負けるからもっと勝てない、NOおおおお!! やはり魔力は0かあ。魔力無いって話だしなあ」
「魔力が0? 0何て事あるのかしらうーん」
むむむむ失望されてしまう! 秘技話題チェンジだ!
「レイ先生のステータスは?」
♦︎
レイ•コウーラル
20歳
職業 精魔剣士《せいまけんし》
称号 風鳴りの狩人 《かざなりのかりびと》
レベル 36
体力 300
魔力 600
攻撃力 150
防御力 100
素早さ 300
運 30
スキル
精霊魔法・火魔法初級・風魔法上級・水魔法初級・生活魔法
スラッシュ・ブレイジングアロー・レインアロー
隠密中級・気配察知中級・罠検知初級
加護
世界樹の加護
「強っ!? 運以外ステータス高すぎ! スキルも魔法もいっぱいでカッコいいなあ」
「そうなのよ……運だけは上がらないのよね。どんなに強くなってもね」
レイ先生からどよーんとした暗い空気が流れ出す
「まっまあ、運しかない俺より全然いいよ! 加護も無いしスキルも無いし魔力も無い、やる気だけしかありません! 」
そう考えると俺弱過ぎる……なだが負けんぞ!
「洋一はやる気と根性だけは、人一倍あるもんね。やると決めたら絶対諦めないし、かなりしつこいし」
「しつこいんじゃなくて、粘り強いの! 俺は負けず嫌い何だよ」
拗ねて体育座りをする。
「まあそう言う事にしとくよ、レイわかったでしょ? 洋一の体力じゃ街に辿り着く前に力つきちゃうのよ。私がスキルを使えば話は簡単何だけど、洋一は納得しないからね」
「俺は男だからさ、歩くなら自分の足で! 冒険するなら自分の足で! それに蘭を護るのは俺の役目だからね!」
これだけは絶対に譲れない、ちっぽけだが俺の小さなプライドだ。
「この調子だからね」
蘭が苦笑いをしている。
「蘭ちゃんも苦労するわね。ヨーイチは前しか見てないのね、それもある種の才能よ。人は自分より優れた人を認められなかったり、妬んだりするわ。でもヨーイチは前しか見てないからそれも無いのね。変わってるわね」
ふふふと笑うレイ先生の笑顔は、可愛すぎて俺は思わず見惚れてしまった。
「洋一は基本的に素直で真っ直ぐだしマイナス思考じゃないし、バカでスケベだし、負けず嫌いだからね」
「あれれれ? 俺を褒めるターンじゃないの? バカでスケベは完全に余計だよ? 褒めれば伸びる子だよ?」
バカはまだ良いけど、スケベはレイ先生に言わなくても良いんじゃないかな?
「あはは! 2人共面白すぎあれ? だから私の胸で変な笑い方を」
ばっと胸を隠しジト目を向けてくる、あながち誤解じゃないから反論しにくい!
「あっあれはそのほら、女の人に抱きしめられて邪悪なオッさんが心に現れたと言うかあのその」
しどろもどろになってしまった。だってでかいんだもの! 美人だし! みちゃうよ!
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