第271話 邪神3

オトキ帝国の王都ドオエの崩壊した王城跡にて、俺達は邪神と戦っている。


俺達は7人……、だよな?

俺、勇者タクミ、異世界転移者。

ジャイアントハーフの聖騎士リン。

ブラックジャガー獣人のノワ。

人間の剣聖ルイ。

コボルトアサシンエンペラーのコウキ。

レッドデビルベアエンペラーの袈裟懸け。


そして魔王ソロモンの72柱の悪魔の内、1柱である悪魔バティン。


うん、7人だ。


まあ、バティンが「俺達」に含まれるかと言うと含まれない気もするけどね。


そこに……。


「おいおい、我が加護を与えたのに、この程度の弱神を倒せないとは情けないな」


破壊と再生を司る神シヴァが現れた。


「加護?」

そう言えばダンジョンでそんなの貰ったな。


「加護を使えば、もっとましに戦えるだろう」


「加護を使うって……?」


加護って常時発動してないの?


「ああ、そこからか、面倒だ! べリアル! タクミに加護の使い方を伝授しなさい」


「はい! 畏まりました」


宙に浮くシヴァの、斜め後ろに現れたべリアルは、美しい顔で3対6枚の黒い羽を持つ堕天使で悪魔。赤い目でどす黒い魔力を纏う。


「やあ! 久しぶりだな、タクミ。」


俺が邪神の攻撃を必死に躱しているのに、余裕の表情で右手を上げているべリアル。


「ぬ! べリアル……」

バティンはべリアルを見て何だか微妙な表情になったが、シヴァと目が合うと無表情にかわった。


べリアルは魔王ソロモンの72柱を抜けたって言ってたからね。詳しくは知らんけど、何かしらの因縁があるのかもね。


「あはははは」

べリアルはバティンを向いて、作り笑いを浮かべた。


「タクミ! ステータスは見れるだろ?」


「見れるよ……。ってか! 誰かちょっとの間変わってよ」


俺がステータスを確認しようとしたら、邪神の爪が俺にかすりそうになった。


「ひはっ、『聖騎士の守りパラディンガード』も後、数回ですぅ。はあはあ……」


リンの「聖騎士の守りパラディンガード」が俺を守り、邪神の爪を防いだ。


「シヴァ様! ちょっとかわって下さい」

俺はシヴァの元へ魔王のブーツで駆けて行く。


「仕方ないねェ」

シヴァが俺とすれ違い邪神の前に躍り出た。


俺はステータスを見る。

「べリアル、ステータスを見たよ。次にどうすれば良い?」


俺のステータス表示の一番下に見える「シヴァの加護」の文字。


「シヴァの加護をクリックするんだよ」


「クリック? マウスのポインタなんてないからクリックなんて出来んだろ」


「押すイメージだね」


俺は「シヴァの加護」目で押すイメージを浮かべた。


「なんも変わらんけど?」


「戦ってみれば分かるさ」


「本当?」


「マジマジ」

べリアルはニコニコしている。


「タクミ様ー、そう言えば帝国の勇者ハヤテが持っていた聖剣はどうしましたー?」

ノアが俺の下に移動してきて、俺を見上げた。


「ああ、そんなのあったな」

俺は聖剣エクスカリバーをアイテムボックスから展開した。


右手と左手にそれぞれ聖剣を持つ俺。

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