第231話 常闇のボーク

Aランク冒険者の剣聖ルイが「常闇のボーク」と呼んだ男の影から、おぞましい漆黒の闇の触手が現れた。


「女! 退けぇ! 邪魔だぁ!」


ボークが叫び、闇の触手でルイを横に払い弾き飛ばした。


ドカッ!


「ひぃ」


SSランク冒険者の殺気を恐れて、硬直していたルイは躱す事が出来ない。


しかし壁にぶつかる寸前で闇の触手がルイを包み、ダメージを負うことは無かった。


「ちっ、お前の仕業か!」

ボークは魔力の出力先を見る。


「仲間のルイに何をするの? ふふふ、許さないよー」


そこには、魔王の本を左手に持ったブラックジャガー獣人のノワが、不敵な笑みを浮かべていた。


「えっ?」


驚き戸惑うボーク。


ノワの周りには、ボークの闇の触手の数倍の数の闇の触手が蠢いていた。


しかもその数は更に増えて行く。


「そんな馬鹿な? 俺より多く触手を出せる奴がいるなんて……」


しかもその触手は、一つ一つが別々の動きを行い、全て制御されている事が分かる。


「しかも……、その数を操れるとは……、何者なんだ?」


ブワッ……。


目の前が真っ暗になる程の大量の触手がボークを飲み込み襲う。


「ぐあああああああ」


ボークが慌てて闇の触手で抵抗しようとするが、圧倒的な物量と威力に為す術がなく、がんじがらめに拘束された。


更に逆さまに吊されるボーク。


「や、やめろおおおおお」


「お仕置きが必要でしょ」

薄笑いのノワ。


ドカッ! バコッ!


抵抗出来ずに壁に叩きつけられるボーク。


「ぐへっ」


ドカッ!


「ぐひっ」


ダダン!


「た、助けて……く……れ……」


「だめー」


「ひぃ」


ドコッ!


床に叩きつけられたボークは血を流し気絶した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


タクミの前に走り寄って来た冒険者は3人。


先頭を走る巨体の男は、斧を振り上げていた。


魔力を帯びて炎を纏う斧。


「魔斧の餌食にしてやる!」


しかし、ジャイアントハーフの聖騎士リンは「聖騎士の守りパラディンガード」を発動していた。


左手に展開した盾を持ち半身で構えたリンは、右手の魔槍アムドゥスを振り翳している。


ガン!


聖騎士の守りで弾かれた魔斧に向けて、リンは魔槍アムドゥスを振り下ろした。


ドロッ……。


「ば、馬鹿な! 俺の……、俺の魔斧がああああああああ」


リンの魔槍アムドゥスにより魔斧の刃が半分から溶けて消滅し、魔力の炎も消えていた。


「タクミ様には指1本触れさせません!」


リンは盾を構えたまま敵に突進を食らわせる。


「シールドバッシュ!!」


ドカッ!


「ぐはっ」


斧を溶かされて茫然としていた男は、盾に弾き飛ばされて、後ろから来ていた男女を巻き込みふっ飛んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


因みにタクミが何もせず見ていたわけではありません。


タクミも怒っていますからね。


その話は次回です。


乞うご期待!!!

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