第160話 要撃
「さぁ、もう直ぐマイーヤ村だぁ!みなの者ぉ!攻撃準備だぁ!」
騎士団長ミトーの号令で200人の騎士が、キビキビと武器を準備し始めた。
100人の冒険者も武器を用意する。
剣聖ルイも剣を抜くが……。
「ルイちゃん、ギルド長、ちょっとー。みんなには内緒でー。」
とノワが突然現れてルイとギルド長を陰に連れて行く。
「ルイちゃん、マジでヤバいよー。亜人600人が待ち伏せしてるしー、ヒッポグリフに乗ったゴブリンキングが3人居るから。まともに行ったら死ぬよー。全滅必至だぞー」
「え!! それって本当ですか?」
ギルド長は驚き焦りだす。
「本当だよー。タクミ様から機を見て逃げる様にとの指示でーす。じゃーねー、頑張ってー」
それだけ告げて姿を消したノワ。
「ゴブリンキング!!」
驚愕のルイ。
「ルイさん、不味いですね、何かあったら冒険者は逃がします、取り敢えず後方を警戒しましょう」
ギルド長は周りを見渡し警戒の態勢になった。
「うむ、分かった」
その頃、先頭を進む騎士団の騎士達の目にマイーヤ村が見えてきて、マイーヤ村の前に、ゴブリンの群れが待ち構えているのが見えた。
騎士達が囁く。
「おい、想定より数が多そうだぞ」
「ふん、精々100匹だ」
「そうそう、ゴブリン100匹でビビるなよ」
「全員!トツゲ──」
騎士団長ミトーが、突撃の号令を掛けようとしたその時!
上空から飛んで来た槍がミトーの胸に突き刺さっていた。
グサッ!
「んぐっ」
バタッ!と倒れる騎士団長ミトー。
「騎士団長おおおおおおお!」
周りの騎士が駆け寄る。
「団長がやられたぁ!」
「なんだ!あの空中のモンスターは?」
「ヒッポグリフか?」
「弓隊、空のモンスターを狙え!」
騒然となり戸惑う騎士達と冒険者達。
「ちぃ、突撃だぁ!」
副団長のネコマガが突撃の号令を掛けた。
上空を飛ぶ3体のヒッポグリフから、
騎士団の中央に飛び降りる3つの影。
「がはは、死ねええええええええ!」
飛び降りたゴブリンキングのゴブスケが、大剣で周りの騎士を撫で斬りにしていく。
団長の側に飛び降りたゴブリンキングのゴブマルは、団長を介抱しようとしていた騎士を蹴り殺し、団長に突き刺さった槍を素早く抜くと、槍を振り回し周りの騎士を弾き飛ばす。
「総員突撃だぁああああああ!」
ゴブリンキングのゴブオの号令で、周りに隠れていた500の亜人達がリシオジ軍の前後左右から襲って来た。
「くっ、撤退だぁ!冒険者は撤退しろおおおおおお!」
ギルド長は大声で叫ぶとルイを見た。
「ルイさん、撤退の先導は任せます。俺は殿を努めます」
と言ってギルド長は、冒険者達を後方に逃がす事にした。
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