第154話 死に至る者達

「ひぃ。逃げろ!」


恐怖にかられた『英雄に至る者達』のメンバーは、一目散に逃げようとするが・・・。


モカは、ブラックジャガー獣人のノワの、闇魔法の触手に絡め捕られた。

「きゃああああ! な、ナニコレ?」


カナガオは剣聖ルイに、剣の腹で殴られて、叩き飛ばされた。


バゴッ!

「ぐへっ」


「何処へ行く? 話はまだ着いて無いぞ!」


タシバはジャイアントハーフの聖騎士リンの、シールドバッシュで弾き飛ばされる。


ドガッ!!!


「逃がさん!」


「畜生! 俺達をどうしようって言うんだ。冒険者筆頭の俺達がいないと街が大変な事になるんだ! 領主だって黙って無いぞ!」


『英雄に至る者達』のリーダー、ミムラカが叫ぶ。


「領主? 城壁都市リシオジの領主か? 別にどうでも良いよ。リシオジ毎ぶっ潰しても良いんだよ」


「リシオジ? あんた何言ってんだ? この辺りの領主は王家のラナ王女だぞ! マヒロシ王国の王家に逆らうのかぁ! どうなっても知らねえぞぉ!」


「はぁ? ラナ? ここはラナの領地なのか? いつの間にかラナの領地に来てたのか。どうりでおかしいと思ったんだ。リシオジのギルドでは、Cランク冒険者以上は指定依頼で、マイーヤ村救援に行ってるはずだもんな」


「無礼な! ラナ王女を呼び捨てにした事を言い付けるからな! 不敬罪で捕まりやがれ!」


「お前をここから生きて帰す気ねえから、そんな事誰も言いつけられんだろう。もっともラナに言っても全く問題ないし、本人にも呼び捨てで呼んでるしな。なあ、リン」


「そうです。そもそもマヒロシ王国の現国王のキオーガだって、タクミ様には文句も言えないでしょう」


「へっ? あんた達ナニモノ?」

ミムラカが呆然となってる。


「まあ、死んでいくお前等には関係ないよ」


「いや、Eランクのゴミと言った事は、謝るから許してくれ。素材も勿論いらないし、なぁ」


「私はAランクですけどねぇ。タクミ様とノワさんに対する暴言の数々、ただでは許せませんねぇ」


ルイは冒険者証を見せる。


「へっ? Aランクぅ?」


「ルイ、何助けようとしてんだ。此奴らは殺すの確定だよ。俺は許さないし、生きて帰すと、また別の冒険者パーティーに悪さするに決まってる」


「ひぃ。すいません。すいません。許して下さい。何でもしますから~」


涙を流しながら土下座して陳謝する、『英雄に至る者達』の4人。


俺は4人の陳謝を無視して、『森の狩人』の5人の方に振り向く。


「取り敢えず、『森の狩人』の皆さんは街に帰りなさい。ギルドに全て正直に報告して良いから、その時はEランク冒険者のタクミに『英雄に至る者達』が消されたって間違えずに言うんだよ」


「は、はい・・・」


「おい、キオーツ!お前からも助ける様にお願いしろぉおおおお!」

叫ぶミムラカ。


『森の狩人』の5人はどうすれば良いのか分からない様子だったが、リンに背中を押されて離れていく。


「はいはい、お帰りは彼方あちらですよ」


「へっ? は、はぁ」

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