第130話 押し通る

冒険者ギルドの解体所を出た俺達。


俺とブラックジャガー獣人のノワ、ジャイアントハーフの聖騎士リン、剣聖ルイの4人は街中を歩く。


「それで、これからどうするのですか?」とルイが俺に聞いてきた。


「そうだなぁ。マヒロシ王国は俺達と敵対したし、サトウ国とも戦端を開く準備をしてるって、言ってたからなぁ。」


そう言いながら、王城へ向かっている。


「宣戦布告でもしてくるか。」


「は?」

驚き立ち止まるルイを置いて、歩を進める。


「そんな、知人の家に遊びに行くような感じで宣戦布告って・・・、え!センセンフコク・・・。あ!待ってください。」


なんだかブツブツ独り言を言っていたが、ハッとして、直ぐに追い掛けて来るルイ。


王城の門の前に来た。


「何だ!何か用か?」

フルプレートアーマーでフルフェイスの兜だけ外した門番の大男が、槍を片手に問い掛けてきた。


「こんにちは!ご苦労様です。宣戦布告に来たんだけど。通してくれない?」


「がっはっは、お前馬鹿か?そんな理由で通すわけなかろう。」


「そりゃそうだね。押し通るよ。」


俺は近所を散歩する様な気軽さで門番の横を歩いていく。リンとルイとノワも無言で俺の後ろをついてくる。


門番が槍の石突を俺の前に伸ばして、「おい、巫山戯るなよ、痛い目に合いたいのか?」と言った。


「お前がな。」

俺は時を止め、聖剣で槍を半分に切断し、時を動かす。


門番は持っていた槍が突然半分になった事に驚いた。その隙に、門番を横蹴りで蹴飛ばした。


ドガッ!!!


門柱に背中から激突し気絶する門番を尻目に、門を開けて、王城の敷地に足を踏み入れた。


その瞬間、右横から槍が突き出された。


「くせ者!喰らえ!」


門番がもう1人門柱の影から攻撃して来たのだ。


リンが盾を展開して、俺の横に踏み込み盾で槍先を弾き飛ばした。


「無礼者!」


ズシュッ!


盾で槍を弾かれ体勢を崩した門番の喉に、リンは展開した短槍を突き刺した。


ドガッ!!!


そして片手で突き刺した短槍を持ち上げ、門番の死体を振り飛ばす。


「す、凄い・・・。」

唖然とするルイ。


俺は前を見ると、流石王城だ。城が遠くに見える。


両側には手入れされた緑の植物が植えられており、城までの道があった。


「城までは遠いな。馬車で来れば良かったよ。」と俺がリンに言うと、「あちらに門番が移動する為の馬がいます。」とリンが門柱の横に繋がれた、

2頭の馬を指差す。


「成る程、良いね。でも俺って馬に乗れないんだよね。」


「大丈夫です。私が馬を操ります。」


「おう、有難う。馬は2頭か。どうしよっかなぁ。」


「あ!タクミ様、私の事はおかまいなくー、監視してる人達を始末してから、追い掛けますよー。」とノワ。


「え!そんな人居る?」


「はい!3人いますよー。」


「おお、じゃあ任せたよ。」


その内にリンが馬を2頭連れて来て、1頭に跨がる。


「ルイは馬に乗れるのか?」


「はい。勿論です。」と言って馬に跨がるルイ。


俺はリンに手を差し出され、馬に引き上げられた。


俺が前でリンが後ろに乗る。

子供の様だが、身長差があるので、これで良いのだろうな。


そして馬に乗って、城に向かった。

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