第117話 栄光の大剣
ミーズ村、村長の家の前。
馬車から第二王女ラナが笑顔で降りてきた。
「タクミ!来てくれたのね!」
「あんたの護衛で来た訳じゃ無い、近くの森に狩りに行く途中で寄っただけだ。これから村を出るところだ。」
「森での狩りは中止しなさい。狩りで得る分以上の報酬を出します。それで文句は無いでしょう。」
「相変わらず強引な小娘だなぁ。断る。そもそも俺と敵対してる事を国王とレクに伝えたのか?」
「伝えません!何があろうと、やらねばならない事があるのです。私の指示に従いなさい。」
馬車から、ラナに同行していた5人の冒険者っぽい奴らが降りてきた。
「おい!俺はBランク冒険者パーティー『栄光の大剣』のタスイだ。見た感じ冒険者の様だが、王女様に無礼だぞ!」
「私はマイコだ!無礼にも程があるわ。お前等は見た事が無いが、どうせランクが低い冒険者だろう。この国の王女様から声を掛けていただいたのよ、二つ返事で従いなさい。」
「俺はツオーだ。ラナ様、こんな奴らは必要ありません。俺が排除しましょうか?」
その他2名の女性冒険者は名前は名乗らず、無言で俺達を睨んでいる。
「ふっ、私はAランク冒険者ルイだ。貴方達の方が無礼であろう。」
ルイが前に出て冒険者証を見せた。
2名の女性冒険者が急にキラキラした目をして、ルイの前に進み出た。
「え!ルイ様?剣聖の?わ、私はカトヨナと申します。」
「私はオミノです。まさかこの様な村で剣聖ルイ様とお会い出来るとは。」
ラナはカトヨナ達を押し退け、ルイの前に出て来た。
「ほほう、剣聖ルイか。良いところで出会った。Aランク冒険者には指名依頼を出せると聞いている。報酬は充分な額を出します。タクミと一緒に私の護衛をしなさい。」
「私はタクミ様と共に行動していますので、お断りします。」
「おう、ルイさんとやら、そのタクミっていう奴は何者だ。」
タスイがラナの横に並びルイと向かい合う。
「俺がタクミだ。ただの商人だよ。」
商業ギルドの登録証を提示した。
此奴らにはEランクの冒険者証より、商業ギルドの登録証を、見せた方が良いだろうと思って出してみた。
「「「商人?!」」」
ラナとタスイとルイが目を丸くする。
「Eランク冒険者でしょう!」
ラナが叫ぶ。
「冒険者は休業中だ。」
適当な事を言って煙に巻こう。
「はぁ?デーモンスレイヤーが、冒険者を休業してどうする気なのぉ!」
ラナが大声を出す。
「デ、デーモンスレイヤー!!!」
『栄光の大剣』達は驚愕した。
「何、デーモンスレイヤー如きで驚いてんだ。ラナの護衛でミーズ村に同行して来たって事は、悪魔を討伐するんだろ?」
「え!悪魔討伐?本当ですかラナ王女?」
驚いてラナ王女に振り向いタスイ。
「まあ、そう言う事ね。タクミは私の目的を知っていたのね。」
「えええええええ!!」
「聞いて無いしぃ!」
「悪魔なんて無理に決まってるわ!」
「そうよ。悪魔は国で対応してよ!」
「おい、俺達だけに悪魔と戦わせようとしてたのかぁ!」
騒ぎ出す『栄光の大剣』の冒険者達。
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