第97話 トナル商会

マウワージ商会を出た俺とブラックジャガー獣人のノワは、暫く街を歩く。


「気分悪いなぁ。」


「そうですよねぇー。まさかあんなに低い金額でポーションを買おうとするなんて、きっとタクミ様が若くて、私が女なので侮っていたんでしょうねぇー。」


「まあ、そうだろうな。そのまま買えればラッキーで、ダメでも出来るだけ値切って買おうとする気満々に思えたよ。」


「ほんとですねぇー。」


「次はどうする?」


「ポーション用の樽と瓶は買っておきたいので、違う商会に行きますかぁー。」


「そうだね。マウワージ商会と競合している店に行ってみるか。くくく。」


「あぁー。意地悪ですねぇー。」


俺達はまた屋台に行って、饅頭を買って商会の場所を聞いた。


この町でマウワージ商会の次に大きいトナル商会の場所を聞いた。


トナル商会に入る。


「いらっしゃい。何をお求めですか?」


明るく元気な女の子の店員。


店員は感じが良いね。


「ポーション用の樽と瓶が欲しい。」


「はーい。こちらにありますので、ご確認ください。」


各種サイズの樽と瓶が陳列してあった。


「有り難う、見させて貰うよ。」


店員の女の子に礼を言ってノワを向くと、ノワは頷いて陳列してあるポーション用の樽と瓶を確認した。


ノワはかなりの数の樽と瓶を購入し、アイテムバッグにしまう。


「ところで、この店はモンスターの解体や素材の買い取りはしてるのかい?」


「はい!買い取りのコーナーにご案内します。」


「解体は私もできますよー。」

ノワが俺の肩を軽く叩いてアピールする。


「うん、知ってるけど。買い取りもしてもらうから、ついでにね。」


俺達は解体と買い取りのコーナーに案内された。


「おう!俺が担当のキーアだ。」


ボサボサ髪で無精髭のオヤジが出てきた。

解体用の長くゴツいナイフを手にしている。


「タクミとノワです。取り敢えずマッドバイソンの買い取りをお願いしたいのですが、可能ですか?」


「ほう、マッドバイソンかぁ!あの肉は美味いからなぁ。金額は弾むぜ。ここに出してくれ。」


大きめの作業台を指差すキーア。


俺はアイテムボックスから、マッドバイソンの死骸を作業台に出した。


「ほほう、良い腕だな。首を一刀両断か。身体には傷が一切無いので、素材として上等だな・・・!んな?血抜きしていないのにこの鮮度は何だあああああ!!」


「ははは。」

笑って誤魔化す。


「食材としても最上級だな!・・・冒険者ギルドを通さないって事は 訳ありだと思うが、このぐらい上等であれば、金貨3枚払っても良いぞ!」


お!なかなか良心的だな。


ここならドラゴンを任せても良いかな?


「ドラゴンもあるけど解体出来るか?」


「ド、ド、ド、ドラゴンだってええええ!」


俺は作業台には置けなさそうなので、アイテムボックスからドラゴンの死骸を出して、倉庫の広いスペース置いた。


「おおおおおお!初めて見たぞ!」


「素材や肉を売る気は無いので、解体だけ頼もうと思ってるが、解体するのにどのくらいの時間が必要だ?」


「時間?馬鹿言うな、最短でも3日は掛かるぞ。応援も頼むから、解体だけで銀貨30枚だな。」


「そうかぁ。3日もこの町にいるつもりは無いので、ここで解体するのは止めるよ。」


俺はドラゴンの死骸を、アイテムボックスに収納した。


「えええ!3日ぐらいこの町にいろよ。」

キーアは残念そうな顔をしている。


俺はマッドバイソンの買い取り料である、金貨3枚を受け取り店を後にした。

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