第86話 迷宮都市リトット制圧後

迷宮都市リトットの領主の居城にいる俺と、ジャイアントハーフの聖騎士リン、ブラックジャガー獣人のノワの3人。


マトクシ公爵とリトット伯爵を倒したのだが、それだけでこの都市を手に入れられる訳では無い。


ここで俺達だけがのんびりしてても、何も進まないのだが、俺達以外の人達に任せているんだよねぇ。


公爵や伯爵達の亡骸は、既に牧場軍暗部の者達が処分しており、部屋の中も片付いている。


ノックの後、懐かしい人達が現れた。


暗部前隊長のケントジジイだ。ノワの祖父でもある。元暗部人達は牧場軍の諜報を担って貰っている。


その後ろにノワの父であるヤマト。

ヤマトは牧場軍の暗部隊長だ。


そしてジャガー獣人であるノワの母ミズキ。


「タクミ様、迷宮都市リトットの制圧が完了しました。」


「ジジイ、ご苦労さん、久しぶりだな。変わりは無いか?」


「変わりは御座いません。ノワはお役に立っておりますでしょうか?」


「うん。凄く活躍して貰ってる。助かってるよ。」


「それを聞いて安心しました。」

ジジイとヤマトとミズキも微笑み頷く。


「この後、主要メンバーが、この城に集合する事になっております。準備が整いましたらお呼びしますので、今暫くお待ちください。」


「うん。任せたよ。」


「はい。お任せください。」


ジジイは頷くと部屋を出て行く。


ヤマトとミズキは部屋に残り、ノワと話をしていた。


親子だからねぇ・・・。

微笑ましく見守るのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


準備が整ったと連絡があり、謁見の間に呼ばれた。


案内されて、謁見の間の後ろの入口より入ると、目の前には領主の椅子が室内の一段高いところに置かれていた。


王座の様だ。


そこに座る。


目の前の一段低いフロアには、牧場軍の幹部達が跪いていた。


「普通に立って貰って良いですよ。」


「はっ!」

立ち上がり顔を見せる幹部達。


勇者教の元教主で牧場領主のレン。

元聖騎士隊長で牧場軍将軍のイサミ。

ノワの祖父ケント。

ノワの父で元暗部隊長のヤマト。

ノワの母であるジャガー獣人のミズキ。

ミズキの父でジャガー獣人族長のコーサカ。

コーサカの息子キョータカ。

元牧場護衛隊隊長でオークのオクオ。

コボルトのコボオ、コボル、コウキ。


オーガのオガオが自己紹介した。

「タクミ様、オガオと申します。お蔭様で私達オーガも仲間に入れていただきました。粉骨砕身全力で頑張ります!」


「お、おう。頑張ってね。」


「はい!」

此奴はリトットに行く途中で会ったオーガだな。幹部になったんだね。


そして、ジャッカル獣人の冒険者のジャキ。

「タクミ様、冒険者ギルドではお助けいただき、有難う御座いました。」


「お、おう。頑張ってね。」


「はい!」


最後にリトットの元宰相である鼬獣人のヨシナ。

「この度は有難う御座います。」


「おう。ヨシナにはこの都市の領主をして貰うので、宜しくな。」


「はい。タクミ様のお考えは、レン様にお聞きしております。種族差別の無い領地運営に務めます。」


「ところで、領主はレンだろう?何で俺がこんなところに座ってるんだ。」


「いえいえ、タクミ様は私より更に上の存在です。タクミ様がいる前で領主面など出来ませぬ。」


「はぁ、しょうが無い。後は任せたぞ。俺は王都に行く。」


「はい!承知致しました!」


牧場軍は今や公爵領を制圧し、建国宣言していた。


周りの国は何処も認めて無いけどね。


公爵領と森と迷宮都市が領土になった訳だ。かなり広い領地だぞ。


国名をタクミ王国にしたいと打診があったが、断固拒否。


俺の姓からサトウ王国にして貰った。


この世界でサトウを名乗る気が無いので、この辺りが妥協点だ。

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