第78話 騎士隊長マーカヤ
臨時で宰相になったチャマグは騎士隊長に会いに行った。
騎士隊長マーカヤは、最近前任の騎士隊長である熊獣人のトクマモが、辞めたので、副隊長から昇進した人族だ。
「マーカヤ、伯爵様からの命令だ。」
チャマグは威張ってマーカヤに告げる。
「はい。お聞きしましょう。」
「先ず、薬師達がこの都市から逃げた。逃げた薬師達を捕まえて奴隷にするのだ。」
「え?それは一大事ですが、都市を出るのは自由ですよね。捕まえる理由がありません。」
「都市に重大な損失を与えるのだぞ。反逆罪として捕まえろ!」
「そりゃ無茶です。王国法では、そんな事で反逆罪は適用されません。」
「無茶でも何でも遣れ!」
「う~ん。それでは伯爵か宰相様の命令書を下さい。とても口頭の命令で実施出来る物ではありません。」
「何!俺の命令が聞けないのか!」
チャマグが威圧するが、マーカヤは全く動じない。
「俺の命令?伯爵の命令じゃ無かったのですか?何と言われ様が、命令書をいただかなければ遣れません。」
「ぐぬぬ・・・。分かった後程持ってくる。」
ここは我慢して、答えるチャマグ。
「それから、薬師の名簿も併せて入手して貰えますか?名前も分からない者を捕まえられませんよ。」
「それくらい騎士が調べろ。」
「住民の情報は騎士隊で管理してないのは、知ってるでしょう。衛兵か官僚に提出させて下さい。」
「むむ、そ、そうかそうだな。それから後二つの命令がある。」
「はい。」
「冒険者達が少なくなって、迷宮の間引きが出来ないので、迷宮探索を命ずる。素材も取ってくる様にな。」
「素材?モンスターを倒す事は出来ますが、解体や素材の採取は出来ません。」
「なにぃ!解体も出来んのかぁ!」
「自分達が食べる分には、問題ありませんが、売り物となるレベルの解体は出来ませんよ。採取は問題外です。」
「冒険者を雇えば良かろう!」
「ん?その冒険者がいないんですよね?」
「む、そうだが、そこを何とかするのが仕事だろ。」
「迷宮探索は騎士の仕事ではありません。」
「それは、そうだが・・・。」
「じゃあ、モンスターの亡骸を持ち帰りますので、解体する人員は宰相の方で用意して下さい。薬草等の採取は出来かねます。」
「うぬ、そんな事も出来んのか。」
「出来ません。」
「くっ、まあ良い・・・。もう一つ命令だ。商人の護衛をしてくれ。」
「はい。いつどちらの商人の護衛を、すれば良いしょうか?」
「通常業務として冒険者の替わりの護衛をするのだ。対象や期間は商業ギルドマスターに詳細を確認しろ!」
「通常業務で護衛?はぁ、チャマグ宰相、現在亜人と獣人の騎士が抜けて要員不足です。とても今、命令された全てをこなす事は出来ません。」
「うぬ、そこを何とか・・・。」
「何ともなりませんね。要員不足が解消されるまで、業務上慣れてる護衛の仕事だけ遣らせて貰います。薬師は指名手配にして賞金を付けて下さい。そして、迷宮は入口の警戒ぐらいが精一杯ですな。」
「賞金?そんな金を使えるか!」
「じゃあ、衛兵にでも遣らせて下さい。」
「は、伯爵の命令だぞ!」
「過剰命令です。騎士の状況を宰相が把握しないでどうするのですか?騎士隊の人員に関する報告と、追加要員の要望書は提出済みのはずですので、検討願います。要員追加無しでは、受けられません。騎士の追加は都市防衛に関わる喫緊の課題ですよ。早急の対応をお願いします。」
「ぐぬぬ・・・。」
反論出来ないチャマグ。
「しかも通常業務として護衛をするなら、都市防衛の戦力も護衛に回しますよ。至急増員して下さい。」
追加で止めを刺されるチャマグだ。
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