第12話 冒険者ギルド3

俺は冒険者ギルドのサブマスターに馬乗りになって、顔を殴り続ける。


両肩を壊したので、抵抗は出来ない。


「殴ってめようとした事は謝る。それくらいでめてくれないか?」


初めは無表情をしていたが、俺の攻撃は何時までも続き、顔が腫れ上がり、顔を歪める。


昔俺を苛めてた奴等は、俺が「めて」って頼んでもめなかった。


更に殴り続ける。


サブマスターは次第に心が折れていく。


「や、止めてくれ、た、頼む。」


殴り続ける。


HPはまだまだあるだろう。

限界まで死なない程度に殴るぞ。


顔の皮膚が裂けて血が滲む。


「た、たすけてくれえええ。」


殴り続ける。


受付の職員が奥に走り去るのが、目の片隅に見えた。


「ひ、ひぃ。くほぅ。」


涙が滲んで、声も掠れる。


殴り続ける。


「小僧!そこまでじゃ!」


受付の奥、2階からエルフの婆さんが降りて来て、俺を囲む冒険者達を吹き飛ばす。


そして俺の目の前に立つ。

俺はエルフのババアを睨む。


殴り続けるのは止めない。


「ギルドマスターだ。」

「確か元Sランクだったよな?」

「良かった、この蛮行も終わる。」

「『災厄』の登場だ。」

冒険者達の囁きが聞こえる。


殴り続ける。


「ギルド内での暴力行為は看過出来んのじゃ。」


殴り続けながらエルフを見る。


「ババア!お前の行為も暴力だろう。自分は良いけど、他人には注意するのか?」


「ババアだと?2度とでかい口を叩け無い様にしてやるのじゃ。」


ババアの怒りで空気が凍る。


「ひぃ。」

「うわああ。」

「あいつ殺されるぞ!」

冒険者達は囁く。


無視して殴り続ける。


ギルドマスターのババアから膨大で濃厚な魔力が吹き出す。


「な、なんて強大な魔力だ!」

「うおっ。」

冒険者達は、たじろぎ後退る。


殴り続ける。


数千の風の刃が俺を襲う。

荒れ狂う風刃。


濃厚な風が俺の居た・・場所を動き回る。


「ん?」

エルフは首を傾げる。


「いない!そんな馬鹿な。」


サブマスターに風の刃が掠り、服が破け皮膚が裂けて血達磨になっていた。


瀕死だが死んではいない様だ。


時を再度・・止めた。


俺はエルフの後ろで、アイテムボックスから王家の宝物庫から奪った聖剣を取り出す。


このババア、服の防御力が半端ねえ。

聖剣じゃ無いと斬れないと思った。


エルフの両腕を切り落とす。


聖剣をアイテムボックスにしまい、エルフを蹴り倒す。


仰向けにして馬乗りになる。


普通に殴っても効果が無さそうだ。


アイテムボックスから王家の宝物庫にあった魔王の手甲を装備する。


1番攻撃力が上がり、痛みを数百倍にする奴だ。


過去の勇者の戦利品だろう。


時を動かす。


エルフの顔を殴りながら。

「おい、ババア!俺を殺そうとしたな!」


「い、いつの間に!な、何があった?い、痛い。両腕が無い!ああああ。」


エルフの顔を殴り続けながら。

「煩い!他人を殺そうとしたんだ。死ぬ覚悟ぐらい出来てるだろう。両腕ぐらいで狼狽えるな。元Sランクなんだろ?」


「ひ、ひぃ~ん。たすけてええええ!痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。」


殴り続ける。


「嘘泣きするな!涙も出てないぞ。」

HPが半分以上残ってるのを知ってるんだぞ。


殴り続ける。


「い、痛い。ゆ、許してたもう。」


殴り続ける。


「殺そうとした事は謝るのじゃ。もう勘弁してたもぅ。ひぃ~ん。痛いのじゃ~。」


殴り続ける。


「殺そうとしたのに、謝っただけ・・で許されると思ってるのか?」


殴り続ける。


「ひぃ。痛い痛い。許してたもう。何でも言う事を聞くのじゃ。これ以上殴られたら死ぬのじゃ。痛いのじゃ。」


流石魔王の手甲。

攻撃力が凄まじい。


このエルフのババアはレベル73で、HPが腐るほどあったが、既に1割を切った。


「何でも言う事を聞くって言ったな!言質を取ったぞ。」


殴るのをやめた。

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