その先の道を


看板があった

それを読んだ

ここから先へは

狂人は無条件に進めるらしかった

面倒な書類に記述する必要が無いのだ

だから狂人の真似をする者がいっぱいいた

「ぴゃあぴゃあ」

狂人はぴゃあぴゃあ言うだろうか?

わたしは思った

言うかもしれないな

書類に記す筆を取ろうとした

それを係員によって制止された

それが何を意味しているのか理解するのに少し時間がかかった

………わたしが?

狂人?

わたしを狂人と認定する

あなたはどれほど狂っていないと言うのだ

わたしは狂人ではない

そう言おうとした

実際に言ってみたのかもしれない

本当のところよく覚えていない

ただわたしは今、歩いている

その先を


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る