否定される善意


ビスケットは割れていた

まだ何も触っていないのに

一体どういうことなのか

この世界は謎が多すぎる

わたしはビスケットを齧ることにした

寄り目で

一心不乱に

「がつがつがつっ」

飛び散った屑を足元で蟻が運びたがっていた

でも重すぎて無理だった

助けてあげることにした

巣穴まで持って行ってあげるのだ

ずおおっ

突如、得体の知れない巨大な物体が頭上から舞い降りて来て

蟻は散り散りに逃げた

「まるで満員電車で老人に席を譲ったら断られたようなそんな不愉快な気分だよ!」

蟻の圧死が確定した


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