聖夜のファンタジー
クリスマスに雪が降り積もりました
酸性雨が固まって出来たろくでもない雪でした
恋人たちは知らん顔してはしゃぎました
最終的にお互いの乳首をつまみ合うことに行き着きました
「恥を知れ!」
お爺さんが叫びました
そして脳卒中で死にました
戦時中、大活躍したお爺さんでした
一人で六人もの敵兵を銃剣で刺し殺しその後、現地の女を強姦したお爺さんでした
でも死にました
隣りのお婆さんは言いました
「まーまー若い人たちの好きなようにやらせてあげたら良いじゃないですか」
お爺さんが死んだことにまだ気付いていませんでした
頭が少しあれでした
最近の若者に理解のある自分ということに何か誇りを抱いているようでした
全くくだらない存在でした
そのお婆さんの眼前で恋人たちがセックスをし始めました
途端にお婆さんの表情が曇り始めました
胸の奥底に封印していた筈の強烈な激情の波が心の扉を破壊して流出しました
「あんたたち恥を知りなさい!」
そして脳卒中で死にました
老人
それは脳卒中でよく死にます
お爺さんとお婆さんを乗せた救急車はのろのろと蛇行運転し助手席からクッキーをばら撒きました
だって今日はクリスマス
明らかに助からない人を乗せる場合ゆっくりとそんな風に誰かの幸せを願っても良いと思えたのです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます