23 一方その頃。【レックスSIDE】
※レックスsideは蓮side同様、BL注意。
蓮と桜が兄弟会議を開いていた頃──レックスはエボルシオン魔法学園の少し西に位置するエボルシオン城にいた。レックスの父親であるアレスに学園での出来事を定期的に報告をする為だ。
レックスは震える手を背中に回す。レックスの肩にはレックスの顔色を窺うヘクトルがいた。
「──以上が前回の報告以降の気付いたことです。これからも学園運営の為、より生徒達の意見を取り入れるための施策を講じたいと思っております」
「うむ、そうか。……ところでレックスよ。其方、他にも何か我に話したいことはないのか?」
「! と、いいますと」
突然のアレスの質問にレックスは焦る。自分が何かミスをしてしまったのではないかと思ったからだ。しかしアレスは特に怒る様子もなく、己の髭を撫でた。
「いやな。風の噂で聞いたのだが、最近お前が侍らせている男子生徒がいるらしいではないか。それだけでも驚きだが、その生徒は
「!! 父上。レンは今、この場に関係ないでしょう……!!」
気付けばレックスは爪を己の皮膚に食いこませていることに気づく。すぐに我に返って、「失礼いたしました」と頭を下げた。そうして足早に玉座の間を出る。アレスはそんなレックスの後ろ姿にため息を溢していた……。
玉座の間を出て、大袈裟に地を踏んで歩くレックスは次第に我慢できなくなり、廊下の壁に拳をぶつけた。そしてそのまま壁に額をつけ、歯を食いしばる。
「国王である余が下民といるなどおかしいと言いたいわけか、あの国王は……!! レンの事を何も知らないくせに!! 何もかも、余を縛らんと気が済まんのか!?」
『れ、レックス様……』
ヘクトルが心配そうに己を見つめる様子にレックスは冷静さを取り戻した。そうして目頭を押さえ、自分自身に問う。
──何故余は、こんなに腹立たしいのだ?
最近、蓮の名前に過剰に反応してしまう。先ほども蓮を国王に侮辱された瞬間、レックスは国王を殴りたいとまで思ってしまった。それに瞼を閉じれば、考える暇さえあれば、いつだって蓮が思い浮かぶ。
どうして、どうして──。
何度も何度も自分に語り掛け、レックスは頭を抱えた。
「余は、とうとうおかしくなってしまったのかヘクトル。 こうしている間にも余は──レンに会いたい。最近はいつだって、余の頭の中にはあいつがいるのだ」
『!』
「アレとはまだ短い付き合いだがあいつは他の貴族共とは違い、心から余を慕ってくれているのが分かる。あいつといると今までこんなにも生き苦しかったこの世界が色づいて見えるんだ。これは、この、この感情は、一体──余は──」
『し、失礼ながら申し上げますと……』
生まれて初めて覚える違和感に戸惑うレックス。そんな彼にヘクトルはとある〝可能性〟を話すことにした──。
***
次はリリスside。
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