レオちゃん
普段から、早起きを心がけると朝は辛くなくなる。だが、ごく稀に前日の疲れが取れないで翌日に起きられない事もある。
フェータで馬鹿騒ぎした。疲れが残っていたのだろう。目が覚めたときは、ちょうどお昼ぐらいだった。俺の部屋で3人が号泣して、何故泣いているのか、理由は分らなかったが必死に慰め。皆でリビングに向かった。
そこには、椅子に座りながら、お昼ご飯を作っているであろう母さんと、キッチンに居る母さんと話してる父さがいた。時間もお昼だから、もちろん父さんは起きている。
そんな2人も、俺達が来た事に気が付いて、こちらを見ている。と言うか、俺が凄く見られている気がする。
「おはよう父さん達、寝坊しちゃった」
「おはよう、体は大丈夫?」
やっぱり。珍しく寝坊して、少し心配を掛けてしまったようだ。騒ぎすぎた事にちょっと反省する。
「全然大丈夫だよ、まぁお昼まで寝てれば元気いっぱいで、少し体を動かしたいくらい」
実際、半神になったからか、今まで以上に動ける気がするし、今まで以上に何でもできる気がする。
お昼食べ終わったら、何か魔法の練習でもしようかと考えていたら、母さんが料理を一時中断して、席に座った、それから俺にも座るよう言うので、俺も席に座る。
当然だが、ルリ達も自分の席に座った。3人共、まだ若干目がはれている。
「シオン、昨日の事覚えてる?」
皆が席に座り、静まっていた中、唐突に母さんが昨日の事を質問してきた。
始め、この質問の意味が分らず。素直に答えようとしたが。よくよく考えてみる。
(母さんは、無意味な質問などしない。それなのに昨日の事を聞いてきた。もしかして...)
ルリ達が泣いていた理由、妙に緊張が走る空気、父さん達の真剣な表情。俺は、自分の正体とかは全て明かしている。となると他の事。起きた時間が昼間だった。それから考え出されれる答えは、
「昨日は、一日中寝ていて。実は今日は合宿から帰ってきた2日後?」
俺の中での一番ありそうな回答を言ったのだが、父さん達の表情は「やっぱりか」みたい表情だった。
もしかすると、寝過ごしたのは1日ではなく、2日だったか?それとも3日間?!
俺は、どんどん疑心暗鬼になっていく。
そんな中、母さんが一言
「一週間...」
「いっ、しゅう、かん?」
思わず聞き返してしまった。だが間違いなく母さんは一週間と言った。
そこで、ふと思ってしまった。そ、そんな。まさか!
「シオンが、合宿から帰ってきてすでに一週間経ったのよ。その間あなたはずっと眠っていたけど。やっぱり分らなかったのね」
「うそ...だろ」
皆の目をジッと見つめるが、誰も目を逸らさない。それが事実であると言う一番の証拠だった。
手を机につけ、頭に手を当て考える。
振りをしながら、必死にドゥエサスに話しかけてみる。頭の中で。
『おい、ドゥエサスどうなっているんだ!?俺は気づかぬ内に一週間も転生の間にいたのか!?』
『いや、そんなはずないのじゃ』
流石、あっちから俺を見てるだけあってか。返事が早い。
だけど、そうじゃないと一週間も眠っていたわけが分らない。まさか、疲れてたから。とは、思いたくない。
「理由が分らないって、顔じゃな、主」
突如、ドアの向こうも方から声が聞こえる、そちらを見ると、1人の幼女がリビングに入ってきた。
「いや、だれ!?てか、その格好は何?!」
「やはり分らないか、主。我ですよ」
いやいや。我とか言われても分らない。その幼女はお風呂上りなのか、首にタオルを1枚掛けており、下着一枚という。とんでもない格好だった。そこのインパクトが強すぎるが、よく見れば、耳がケモ耳っぽくて、腰辺りから、見るからにふさふさの尻尾が生えている。おそらく獣人。
しかもその子は、俺の事を知っているみたいだった。
「我ですよ、レオです」
「は!?ッ〔完全鑑定〕」
つい咄嗟にスキルを使ってしまった。だって目の前の幼女がおかしな事を言うから。
鑑定結果
名前 レオ・フォール
種族 獣人
その他 シオンの使い魔、獣人の姫
マジかよ、確かに俺と契約したあの、
「分って、貰えましたか?」
「う、うん。とりあえずレオが、あのレオだって事は理解できた。それでどうして俺一週間も寝ていたんだ?」
この疑問は、今の話を終らせてからしようと、秘かに心に誓った。と言うか、獣人の姫とか絶対イベントが発生する奴やん。
レオは、服も着ないまま空いてる席に座った。誰もレオの事驚かないのは、もうすでに知ってるからだろう。俺が寝てる間に本当に何があったんだよ。
「簡単に説明しますと、主が寝ている間に、主の体の中で、神の力が適応されてたのです、まぁ本来、人間が神の力を保有するだけで、その身には想像も出来ない負担が掛かるんですけどね。それを、たった1週間で適応させ、完全に体に馴染ませる主は、流石、転生者で半神という事ですね」
「なるほど」
そう言われれば、納得はいく。今の体が、前以上に馴染んでると思ったがこれは、気のせいじゃなかったと言う事だ。
「私、心配してたんだからね。ヒック、1日寝てるだけなら、疲れてるだけと思って見てたけど。エック、何日も目を覚まさないから、このまま目覚めないんじゃないかと思って」
そう言いながら、またルリが泣きがしてしまった。ルリを悲しませるなんて本当に俺最低だな。とりあえず、お詫び代わりにルリの頭を撫でてやる。するとそれに反応するかのように頭をスリスリ擦りつけて来た。ちょっと猫っぽくて可愛い。ルリの事を撫でていたら、キャロ達も「ずるい」と言い出し、俺の傍に来たので、まとめて撫でてやった。
「ところで、話が変わるが。どうしてレオが獣人の幼女になってるわけ?」
「ん~ん、主の質問に明確な答えはまだ出せてないのですが?我の憶測でよければお聞かせします」
「分った、レオの意見を聞かせてくれ」
正直、その答えはレオ自身じゃなきゃ誰もわからない。父さん達もさっき程までの真剣な表情は時、今は興味を示して、話に耳を傾けている。
「そもそも、獣人は、と言うか、この世界の魔物以外の生物は、基本交尾をしないと生まれません」
俺は一口すすっていた飲み物を盛大に噴出した。いや、幼女の口から交尾って言葉は危険すぎる。
レオは急に噴いた俺を見て、少し心配してくれたが、俺はむせながら、話を続けさせた。
「続きですが、我が思うには、元々特殊な魔物の我が、半神である主と契約する事で、本来ならありえない。変化が起こったと考えてます。ちなみに獣人なのは、おそらく我がキマイラで頭の部分のライオンがベースとなったのかと」
詳しい理由は、やはり分らないが。
今はそれでいい事にした。他の皆も割りと受け入れてくれてるし。新たに家族が増えただけなので、何にも問題ない。それより、ライオンがベースと言う事は、おそらくねこ科なのだろう。後で尻尾もふらせて貰う。
こうして、俺が一週間眠っている間に新たな家族を向かい入れ。お昼ご飯を食べるのだった。
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シオン「今更だけど、俺達のファミリーネームって、フォールなんだよな」
ルリ「そうだね、だからレオちゃんも、レオ・フォールな訳だし」
シオン「ちなみにルリはサタナスだったよな」
ルリ「ピンポーン。正解です」
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