決着
魔王:暴走、
常に攻め続けるのは、ルリの方であったが。その内ナフティカに当たるのは、わずか数撃。しかも当たっているだけで、有効打には、なりえない。
一方のナフティカは、シオンと戦っていた時に比べ、自ら仕掛けようとは、していないが、ルリの攻撃に合わせ、カウンターを決め込み、
その戦いを、遠巻きで見ているフィン達。ルリに加勢できるなら、もしかしたらナフティカともう少し、良い戦いが出来たかもしれないが、今のルリには理性がない。ただ己の感情のままに動く獣。下手に手を出せば、自分達に矛先が向くかもしれない。それを分かっているからフィン達は、見ている事しかできなかった。
シオンの意識が失われてから数十分、一方的な戦いも終わりを迎えようとしている。
ほとんど表情を変えず、終始不気味に笑っている男に対し、目を血走らせ、肩で息をするボロボロな少女。
結果は見えている。そんな事は、本人達も周りで見ている者も分かっている。
その状況はおそらく覆せない、そんな事は分かっているが、2人の少女は、ボロボロに傷を付けられ、片腕を失っている、意識の無い体の手を取り。願う。
「お願いシオンにぃ!起きて、ルリちゃんを救って!!」
「兄さん、いつまでも寝てるなんてダメです。起きてください!」
その言葉に呼応するかのように、ボロボロの体で死んだと思われていた。シオンはピクリと動いた。
「お願いシオンにぃ!起きて、ルリちゃんを救って!!」
「兄さん、いつまでも寝てるなんてダメです。起きてください!」
キャロとシャロの声が聞こえる。助けを求める声が。一度は守れなかったが、チャンスはもう一回与えられた。そして神に、ドゥエサスに任された。
「頼むぞい」
神に任されたなら、答えるしかないな。力も貰った、体力、魔力もフルで回復した。それどころか、半神になったおかげか、体力も魔力も無尽蔵に有る気がしてきた。が、まだ左腕はない状態だ。
「そうだな、いつまでも寝てられねぇよな」
「「!!??」
独り言を言ったつもりが、声に出てしまったのだろう。おかげで、キャロとシャロが俺から飛び退き、腰を抜かしている。
そんな2人を見ながら、俺はゆっくり立ち上がった。
「シ、シオンにぃ。本当にシオンにぃなの?」
「そうだよ、心配掛けてごめんな」
「兄さん...なんで、そんなボロボロの体で立てるの?」
シャロに言われて気が付いたが、俺の体は、まだボロボロで、どう見ても動けないように見える。
実際はそんな事、ないんだけど。
「父さん、母さん」
「「!!??」」
今まで、戦いに意識を向けていて、俺のことを見ていない2人に、声をかけたら。キャロ達と同じ反応をした。1つだけ違うのは、俺がいきなり声を掛けたから、2人が武器を構えた事だ。だけど、ボロボロの俺だと気が付くと、直ぐ武器を下ろした。
「シオン、無事だったのか!?」
「シオン、ルリちゃんが...」
「分かっている。この戦いは俺が終らせる」
そう言って、俺は気配を殺しながら。ルリ達の方に向かって行った。
俺は、あるタイミングを待っていた。ルリに対して止めを刺そうとする。その瞬間を。
ルリは、もうボロボロで、ナフティカは、ゆっくり近づいて行く。それは俺の胸を貫いた後、俺に止めを刺そうとした光景と良く似ている。
ここだ!俺の本能がそう訴えた。
案の定、動けないルリに対して、首元目掛けて、ナフティカが剣を振りかざした。そして、それを俺の剣が弾く。そこで初めて、俺の存在を改めてナフティカが認識した。
「な、君は。確かに胸を貫いたはず!心臓を貫いたと思ったが、ギリギリで心臓を外したか」
流石に、この状況には驚いているようで、ナフティカの不気味な笑みも、この時ばかりは驚きに変わっていた。だけど、俺のボロボロの体を見るや、また不気味な笑顔に戻る。
「シ...オ...ン..」
「よく今の、一撃をはじけたね、そのボロボロの体、片腕を失い。立ってるのもやっとな筈なのに、まだそんな力あるんだ」
「何を勘違いしてやがる」
俺は威圧しながら、睨みをきかす。俺の言葉とその態度に何かを察したのか、俺から一瞬で距離を取った。だが
「少しの間動くな、〈
俺は、距離を取ったナフティカをその場に固定し。俺の最愛の人のほうを見る。今まで、
「ナン...デ。コレモ...ユメ...」
若干片言で、俺を見ても、現実だと理解していない様子。そんな彼女に近づき、おもいっきり抱きしめた。
「ごめんな、悲しませて。大丈夫、俺はここにいるよ」
ルリは、静かに涙を流した。そして俺に答えるように、俺のことを抱きしめ返してくれた。
「本当に、シオンなんだよね、これは夢じゃないよね?」
「あぁ、夢じゃない。俺は確かに生きてる」
その瞬間、俺達は光に包まれた。見る見るうちに、ボロボロだった俺達の傷は治っていく。とても暖かくて優しい光だった。
ボロボロだった衣服が元通りになり、戦いで失った、左腕が再生している。
ルリは、切れれた傷などがなくなっていて。真っ白いドレスに包まれいて。少し大人びたように見えた。
ルリの急な変化に少し戸惑い、一応〔完全鑑定〕してみる。
鑑定結果
名前 ルリ・サタナス
種族 魔人
その他 魔王:覚醒状態
なるほど、これが覚醒状態なのか。とりあえず正気に戻ってくれてよかった。もしかしたら一戦交えるかもしれないと、内心ドキドキしていたから。
「ルリ、その姿も素敵だよ」
「ふぇ!!」
「じゃ、この戦い、終らせてくるよ」
名残惜しいが、ルリから離れて、今だ固定されてる、ナフティカに向かっていく。奴の表情にはかなりの焦りが見える。恐れく俺の状態に気が付いたのだろう。
「まさか君も、選ばれた人間だったのか、いやでも、さっきまでそんな風には見えなかった。と、止まれ。それ以上ぼくに近づくな」
今までの不気味な笑みは消え、必死になった姿は、まるで駄々をこねる、子供の様だった。仕方がないので、言われた通り、止ってやった。腕を伸ばせばお互いの体が触れる距離で。
散々やられて、俺もかなり頭にきている。特にこいつのせいでルリを泣かし。ルリの事を散々攻撃したこいつを、俺は絶対に許さない。
「お前の事を、生かすつもりは、ないけど礼は言っとくよ。お前のおかげで、また新しい力を貰った。だからありがとう。そして、消えてなくなれ!〈
「や、やめ」
ナフティカが言葉を言い終わる前に、辺りを光が支配する。そして、光がなくなれば。今までそこに居た筈のナフティカの姿は、消えていた。
俺の魔法で、神の使徒である、ナフティカを消滅させる事に成功した。
こうして、誰も死ぬ事無く、ズイーゲルでの戦いを、終わらせる事ができた。
...何か忘れていような。
戦いを終えた後のステータスと魔法・スキルの解説
半神になったシオンのステータス
力-測定不能
素早さ-測定不能
魔力-測定不能
体力-測定不能
防御-測定不能
〈
辺りを光で包み込み。対象を消滅させるか。対象の場所を指定して、そこに光を発生させ。指定場所だけ消滅させる事ができる。
魔王のスキルが覚醒したルリのステータス
力-SS
素早さ-SS
魔力-SSS
体力-SS
防御-S
〔魔王:覚醒状態〕 魔王と魔王の素質のある者だけが使えるスキル。スキル〔魔王〕には、いくつか状態があり、その内の1つ。魔王としての力を完全に引き出して、ステータスを大幅に上げる。そしてこの状態の時だけ、特別な服装に変わる。尚ステータスは、普通の状態に戻っても、変わる事はない。
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ミリア「シオンは、私達と遠い存在になったのね」
フィン「そうかもしれない、でも僕達の息子には変わりないよ」
キャロ「シオンにぃは、いつまでも私の憧れだわ!」
シャロ「流石兄さん、かっこいい~」
???「アレ?ワレ、モシカシテクウキ?」
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