魔王娘の悩み事
「はぁ~」
もう何度目だろうか、部屋のベットに寝転がり壁を見ながらため息をつくのは...
気持ちは決まっているのに、何かが邪魔してその気持ちを認めようとしない。
今日あったことが衝撃過ぎていまだに気持ちの整理もつかない。
~~~~学園の帰り~~~~
「ごめんキャロちゃん、シャロちゃん、ちょっと用事を思い出したから待ってて」
「わかったわ」
「あたし達はここら辺のお店見ているね~」
私達は、シオンが呼び出しで一緒に帰れなかった事から、たまには女子だけで買い物をしよう、ということになり三人で王都のお店を回っていた。
ただ、いつからか分からないが、複数人につけられていて、それに気がついた私は、あえて一人になりそいつらを誘き出そうとした。
仮にキャロちゃん達が狙いだったとしても、人どうりが多く何もできないと思うし、何かしてきてもあの二人なら何とかできると思った。
だけど私が狙いだった場合、あのまま二人の近くにいても、つけられ続けて、その事にいずれあの二人も気がつくだろう、そうした場合きっと不快に思う、気づいていたのに何もしなかったなんて、たちが悪すぎる。だからとりあえず一人になる事にした。
二人と別れた後、すぐに人が少ない路地に入る、すると前に二人、後ろに二人、私の逃げ場をなくすようにつきまわってた連中が現れる。
「私に何か用ですか、さっきから私達をつけてる事は分かってましたよ」
私が知ってるといっても、一切動揺を見せない、もしかしたら始めからばれるように追跡していたのか、それとも動揺してるが顔や動作に表してないだけか、私にはわからない。
「ラッキーだったぜ、ターゲットがまさか一人でこんな場所に来てくれてよ、これで攫いやすくなった」
どうやら、狙いは私だったようだ、とりあえずあの二人が狙われていない事に安心、あとはこいつらを痛めつけていろいろ情報を吐かせれば解決する、そしてキャロちゃん達と買い物に戻れる。
そう思っていた。
「悪いが、こっちも時間がないらしいんでね、すぐに依頼主にお前を渡さなきゃ行けないんだよ、まぁお前が何なのかしらねぇが、おとなしくしてくれや」
目の前の奴が喋り終わった途端、何もない空間から人が現れて私の両腕に手枷をつける。
しまった!!完全に油断した。
いきなりすぎて対処が間に合わず私は両腕の自由を奪われる。
とっさに〈身体強化〉を使おうとしたがそこで違和感に気がつく。
そんな私を見て笑いながら目の前の奴は言った。
「今お前についた手枷な、何でもかなり凄い手枷らしくてよ、依頼主いわくほぼ全ての魔法を封じる手枷らしいぜ」
違和感とは魔法を使おうとしたのに使えず、それも全てこの手枷のせいらしい。
こうなると状況はかなりまずい、逃げ場を封じられて武器もない、そして得意の魔法も使えない、魔法がないと基礎のステータスは普通の人間より少し強いぐらいで、六人もいっぺんには相手にできない。
結果睡眠魔法で眠らされ、私は連れ去られた。
んんっ
目が覚めたときには、全く知らない場所にいた。
いつの間にか腕だけでなく、脚にも何かの枷が付けられており身動きが取れなくなっている。
あれからどれくらい寝ていたのか分からない、だけど一つ確かな事は、寝ている間にシオンが助けに来てくれたことだ。
目の前にはおそらく依頼主と呼ばれていた魔族二人と、シオンが戦っていた、いや戦っていたというよりかは、魔族二人が遊ばれていた。
シオンは槍使いの攻撃を完全に見切り、最小限の動きでよけていて、魔法使いの魔法も同じように避けていた。
だけどシオンのほうからは、一切攻撃せず、何かを気にしながら避けてるように見える。
そしてすぐシオンが何を気にしてるのかわかった。
「ゴフゥ、な、何が起きた!?」
今まで安全位置で魔法を使ってた人がいきなり血を吐き倒れた。
その背後に今まで気がつかなかったがシャロちゃんがいて、私と目が合うと少し微笑んだ。
そしてシャロちゃんの存在に気づいた槍使いが、目標をシャロちゃんに変えて突っ込もうとしたが、シオンに背を向けたが最後、首から上と下が綺麗に分かれて地面に倒れた。
死体から吹きげる血、そしてその独特の臭い。今にして思えばあの時、あれが夢でなく現実なんだと理解したのだと思う。
だけどあの時は私も相当困惑して、恐怖していたと思う。シオンが枷をはずしてくれた時、思わず泣きながら抱きついてしまった。
そのあとはクラスメイトがいきなり現れて、私を様ずけで呼んだりといろいろあったが。正直そのあたりの事は余り覚えてない。
そのあと家に帰りお風呂に入り夕食を食べて、先に部屋に戻らせてもらったがその事も余り覚えていない。
私はシオンに助けてもらったあたりから、ずっとシオンの事を見て、ずっとシオンの事を考えていた。
~~~~今に至る~~~~
「はぁ~、私やっぱりシオンが好きなのかなぁ」
独り言を言っちゃうぐらい、好きなのかどうかを考える。
本当はその気持ちが考えるまでもなく、好きという感情だと自分が一番分かってるのに、それを肯定しきれない。
心の中で、シオンと私は種族が違うから。私は魔王の娘だから。シオンにはキャロちゃん、シャロちゃんがいるから。そもそもこの気持ちは私の一方通行かもしれない。そんな事を考えると不安しかない。
でもやっぱりこの気持ちは間違いじゃないはず!
そう思ったら私は止まらなかった、この気持ちをいつか伝えよう。たとえどんな結果になっても...
気持ちに区切りついて私は無性に夜風にあたりたくなり、ベットから起き上がった。
フィンさん達は寝てるかもしれないから、なるべく音を立てず静かに庭に出た。
「あっ」
そこには、すでに私の思い人が仰向き寝転んでいた。
静かに寝息をたてており、その寝顔は残しておきたいぐらいかわいかった。
私は静かに、その横でシオンと同じように寝転んだ。
~~~~~~~~~~~~
後書き
昨日投稿できなくてすいませんでした。その代わり今回は2本投稿です。
すいません。
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