第38話
「おもちゃの銃か、そりゃある意味間違ってねぇかもな」
おもちゃの銃かと聞かれたレイジは笑いながらそう答え、ある意味と答えた意味を笑顔でアキラに話す。
「コイツは、スモーク弾を発射するグレネードランチャー……っぽく作ったモンでな、この円柱のカードリッジを発射してしばらく経つとカードリッジが中に入っている粉を噴射するようになっている。 ちなみに中は小麦粉だ、戦う為じゃなく、逃げるために使えよ!」
「なるほど……だからおもちゃみたいなものですね? はははは!」
アキラはそれを聞いて笑ってしまった。
それは確かに、聞いてみれば子供の発想を高度にしたような品だったからである。
だがここでアキラはとあるアイディアを思い付く。
「あ、それなら奮迅爆発させる為に使えるかも!」
それは、この煙を利用して奮迅爆発を起こそうと言う発想だった。
確かにそれを意図的に起こせれば強力な武器になるだろう。
しかしレイジはその意見に否定的な意見を笑いながら述べる。
「はっはっは、そりゃフィクションの見すぎだぜ?」
「な、何でです?」
「だってよ、奮迅爆発ってのは色々な要因が積み重なって発生するモンだぜ。 そんな簡単に奮迅爆発が起きるんなら、小麦粉なんかにも奮迅爆発に関するの注意書きが必要になるじゃねぇか?」
「た、確かに……」
確かにそれはレイジの言う通りかもしれない。
そんな簡単に発生するなら、奮迅爆発の危険性や対処法がニュースを通じて世に広まりそうなものである。
「おうレイジ、迎えに来たぞ! お、アキラも一緒だな? お前勝手に突っ込むなよバカ」
「すいません先生……」
「おう、来たか!」
そんな時だった、祭が右手をあげてレイジを迎えに来たのは。
そしてニッコリした笑顔で二人は。
「祭、んじゃ交代の奴が来たら、その魔王城とやらへ案内してもらおうか!」
「おう! 足引っ張んなよ、未来の旦那様!」
「お前こそな、未来のかみさん!」
まるで熱い友情で結ばれた男達のような会話をするのであった。
(ホント、仲良いんだか悪いんだかわからない二人だな……)
…………。
さて、魔王城へと戻ってきたアキラ一行を出迎えたセラティアは絶望した。
と言うのもレイジにこっそり
黒崎零士
レベル199
HP80213
攻撃9998
防御9142
魔力558
魔力耐性6051
幸運6
と言う結果が出た為である。
なのでセラティアは。
(疫病神が増えよった……)
と大変嫌そうな表情を浮かべてしまう。
そして、その効力はいきなり発揮されることになった。
「ぎゃ!」
「だ、大丈夫かセラティア!?」
「うぅ、大丈夫じゃアキラ……」
何故かこのタイミングで魔王城入口の天井の板が落下し、セラティアの頭上を直撃する。
だが、これは不幸の始まりであった。
メキメキメキメキ……。
「ん……? な、何じゃ、嫌な予感しかしないんじゃがワシ!?」
天井が悲鳴をあげている、それは徐々に大きくなると共に、メキメキと言う音はギシギシと言う音に代わり、そして。
バキバキバキバキ!
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! 魔王城が壊れてるんじゃがぁぁぁぁぁぁ!」
「祭、アキラ、あとそこの何か!? 逃げるぞ!」
「おうよレイジ!」
「うわ、あぶねぇぇぇぇぇぇ!」
その日、魔王城は小さな白い煙を上げ、木の廃材の山と化したのである。
その後、アキラ達が魔王城後の片付けをする中、泣きながらマオの部屋へ飛び込んだセラティアは。
「マオぉぉぉぉぉぉぉ、我の魔王城が、我の魔王城が壊れたぁぁぁぁぁぁ! あの疫病神共が、疫病神共が!」
「へ? 何がどういう事か全くわかんないんだけど!?」
マオにそう訴えるのだが、マオはただ困惑するしかなかったのであった。
…………
結局片付けするのに一日かかったアキラ達は次の日を迎える。
その結果得られたのは、レイジの協力を得てダンジョンに潜れなかったという結果。
そして本日から平日、その為祭は教壇にたっている。
なので行動できるのは朝、電話で祭から「マオを助けるまで休んでいていいぞ」と気を使ってもらったアキラ一人だけなのである。
だからアキラは今、その言葉に甘えダンジョンへ潜ろうとしている。
もちろん死ぬことを前提に考え、レイジからもらった銃もどきを部屋においてだ。
そう行動させるのは、どこかで見たことがあるあのダンジョンに何かあるんじゃないか?
そう感じたからだ。
だからアキラはダンジョンへ向かい、情報収集を兼ねてダンジョンへ潜り続ける生活を続けることになる。
だが、その行動は無駄に終わった。
ジンレイがマオの消滅8日前には、自信の幸運の良さで、あっさり願いを叶える赤い宝石を手に入れ、「マオを幽霊じゃないようにしてほしい」とその場で願い、あっさりマオを助けてしまった為に……。
幸運の低さはある意味、罪なのかもしれない。
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