娘と一緒に舞女(まいひめ)さん
ロビーでは、なにやら三人が真剣に相談しています。
森彰子さんが、店を他の店員に任せて、お菓子を運んできました。
「どうぞ、それから申し訳ありませんが、お飲み物はそちらの自動販売機でお願いします」
「自動販売機は無料ですから」
自動販売機といっても、カップ式のもので、挽きたてコーヒーなどが出てきます。
「ねえ森さん、この方たちの娘さん、今度女神様にお仕えすることになったのよ」
「蓬莱御巫(ほうらいみかんなぎ)の舞女(まいひめ)さんよ」
「それはすごいですね、おめでとうございます」
「女神様にお仕えするって、身も心もだって知っている?」
と、フランソワーズさんが二人に聞いています。
「採用通知に書かれていましたわ、女神様に望まれれば、全てを差し出す事、夜に侍る事も覚悟の事って」
「でもこの事って、つまりは女同士の婚姻みたいなものでしょう?」
と、浮田貴子さん。
「でも、こう書かれていましたわよ、女奴隷と心得る事って、どういう事かしら?」
山野五十鈴さんが疑問を口にします。
「一応、建前ってことらしいですわ、虐待なんてことはないと断言できますわ」
フランソワーズさんが答えます。
「どうして断言できるの?」
「私も女神様にお仕えしていますから」
二人は絶句していましたが、
「……私たちでも、女神様にお仕え出来るのかしら……」
「私が推薦してもいいけど、娘さんと一緒に夜伽の覚悟が必要よ、なんせ女神様は、宇宙一の変態と呼ばれているのよ」
でも二人のお母さんは、少し興奮しているようですね。
「変態?女神様が?」
「そう、変態!極め付きのね」
「例えばどんな?」
「水芸など要求されることが有るわよ、ポニーガールもしなければならないようよ、大体、女神様はサドっ気が有りますものね」
あまりにぺらぺらとフランソワーズさんが喋るので、少し驚いた森さんでした。
「そんなに警戒しなくてもいいのよ、この話、イシス様のお許しを得ていますから、ハウスキーパーも了承済みなのよ」
「イシス様が?ハウスキーパーという以上、『格子』を視野に?」
「イシス様がね、ヴィーナス様と親しくお話をした以上、間違いなく本人は望むはず、クリームヒルトさんと娘さんの関係上、ヴィーナス様は嫌とは云えないだろうとおっしゃっていたの」
「お二方、女神様の女奴隷の覚悟はあるのでしょう?」
「女神様って、お二人の推測通りの方、もう会っているでしょう?ただし、ここではお名前は言えませんが」
「娘と一緒に、女神様の女奴隷となります」
二人の母親は、このように云いました。
「取りあえずは、蓬莱御巫(ほうらいみかんなぎ)の舞女(まいひめ)さんという事で、推薦しておきます」
「すぐに梓巫女(あずさみこ)となれるように、努力して下さいね」
「抱かれる為には、それなりの工夫が必要ですから」
フランソワーズさん、夫人の貫禄ですね。
二人を見送ったフランソワーズさんが、帰り際に、
「森さん、もうすぐ知らせが有ると思うけど、側女に昇格との事よ」
と、教えてくれました。
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