解答編2

 B. β>δ>γ>α


 他の3体と異なり、規定年齢(高校生程度)まで施設で培養され、教育ポッドで知識を埋め込まれた促成αは、子供の頃の記憶等も持ちません。そのため「記憶を取り戻し、両親と共に暮らす」ことを将来の夢に据えますが、存在しない記憶と両親を手に入れることは事実上不可能です。

 各分野の最高峰たる人材による教育を受けた英才βは、教育の専門家ではない教師陣からの厭々たる指導の中、一般的な評価からすれば知識も応用力も優れた万能の秀才となりますが、自己認識としては何をやっても一流になれず、教師に迷惑をかける劣等生として育ちます。将来の夢は「自分だけに出来ることを見つけたい」となりますが、これは英才βの能力をもってすれば特に難しいことではありません。

 自学γは好きな時間に寝起きし、飲食し、無数の娯楽を浴び、合間に司書AIへ会話やゲームの相手を頼むなどして、自由に暮らしてきましたが、規定年齢で高校に通い始めるに当たり「一生このまま働かずに暮らしたい」という夢を持ちました。自身で働いてを創出できない以上、他者から保護を申請してもらう必要があり、難度も高いと考えられます。

 養育係の研究所職員の元で大きな問題もなく育った家教δは、男子Ωからの教育を受けるにつれ、自身の学業への適性の低さを再認識しました。「将来はタピオカ屋になるため、学校の勉強は必須でない」と夢を語る家教δですが、アルバイト店員としてであれば、採用自体は難しくないでしょう。ただ、その頃にタピオカブームが完全に終息し、タピオカ販売業者が存在しない可能性もあるため、確実とは言えません。

 以上より、将来の夢の叶い易さは β>δ>γ>α の順となります。

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