ブラーファ少女とクローラガール

作者 牧野 曜

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★★★ Excellent!!!

これから私は的外れなレビューを書く。未読の方はこのレビューを読んでる暇があるなら一刻も早く本編を読んだ方が良いし、既読の方も本編を再読する方が良い(小説は一度しか読まない主義の方も含めて)。

さて、本作は牧野曜名義で書かれた初めての作品となる。以前は「よう」名義で一作だけ短編が書かれていたが、現在は公開されていない。牧野氏は、ツイッター等で人気の病理医・ヤンデル先生とPodcast「いんよう」を定期的に配信していてファンも多い。しかし、2月5日時点ではPodcastで本作を紹介・宣伝している様子はない。このことから、既存の知名度に頼ることなく、純粋に作品を読んでもらいたい、また、それに値する作品を書き上げたしこれからも書いていくという、強い意志を感じる。

本編に移ろう。いきなり横文字で、定義から導入される。ハイブロウなSFの匂いがする。生命科学を研究する作者ならではの、説得力がある設定が、良い意味でラノベライクなキャラクターの背景となり、ストーリーが展開される。意識とは何か、自分とは何か、そういった疑問がフックとなり、続きが気になりだす。どういうわけか、第7話ぐらいから「これは大変なことになった」と感じた。夢中でスクロールし読み進む。謝らないといけない。クールビューティと可愛い少女が、何か難しげな話をしている様子を楽しむ作品だと勘違いしていた。どうなるのか。よくあるように意識の乗っ取りに繋がるのか?
第2章18話から一転、展開が変わったように見える。以前の短編がモディファイされ、ここに吸収されている。不穏な描写が挟まる。さらに続きが気になる。私が興味深かったのは、技術がもたらす問題を、トラブルやパニックとして書くのではなく、それが社会と摩擦を起こしながらも日常として取り込まれていく過程が落ち着いた文体で書かれていることだった。一見、話がすこし飛んだように見える… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

生命科学ときくと、情感や感傷とは関わりの薄い、試験管の世界のように感じてしまうが、たとえ科学の力で生み出されたものであっても、生を受けた人間は生身の身体に心を持った存在になるということ。
物語に語られる少女たちは、ただ少女としての哀しみを漂わせて生きている。
科白だけ読むと硬質な青年のような薫子にも、哀しみの余韻を感じる。
哲学を学んでからの薫子のものがたりも、ぜひ読みたい。

★★★ Excellent!!!

主人公の薫子は遺伝学を学んだ後に、ブラーファデバイスの国立研究所に勤めていた元研究者。簡潔な第1話に書かれているブラーファデバイスの特性から、その研究が進むと人の個、境界について考えざるを得なくなっていく。リアルな研究所や研究者の描写と、生物、医療、デバイスの最先端の知見を元に書かれたブラーファの描写が面白く、引き込まれるように読み進めた。

読んでいるうちに、私は透明さを感じているのに気づいた。今思うと第2話冒頭から雨で、空は曇っているはずなのに、その空気は透明さを感じさせる。

主人公の薫子からは分かりやすい感情が感じられない。だけれども、風景の描写に感じる透明感を、薫子の感情にも感じる。そして透明な綺麗さの奥に秘められた、激しいけれども凍りついた感情も。

周りの人々の境界線を踏まえた暖かさが薫子を支えながら、二人の少女との出会いは薫子に変化をもたらし、物語は佳境へ入る。

冒頭の薫子と冬夏の会話を読んで、薫子に心動いた人には是非読んで欲しい作品。

いつの日か、本当に何年も先でよいので、薫子のその後を読みたいと思う。

★★★ Excellent!!!

オタクは刷り込みをされていますので、推しの色が付いているだけでそれを推しだと思う傾向にあります。私の感想はそういう類のものです。また、内容にすこし触れているかもしれませんから、もし読者の方がこのレビューを読むのであれば、作品を読み終わったあとの方が良いかもしれません。

この小説はマンガ攻殻機動隊1,2 のストーリーを現代の生物系研究者がリブートしたものです。だって人工生命体とクローンの話をしているんですよ。それ以外考えられません。

電脳ではなくブラーファと呼ばれるシステムで、旧来の脳みそを追加して機能を増幅させるものよりも、現実感があり非常にワクワクします。
そして、冬夏のブラーファから発生したマリア。彼女が1人歩きをしてゆく。そしてエイミーの鏡うつしの自己という説明。鏡写の自己が1人歩きをして行く。これだけでご飯何杯でもいけるし、この表現は絵画にして美術館にでも飾られているレベルです。そしてその制御不能な感じはやはり攻殻機動隊です。

そして複製としてのクローラ。人間はもはや無性生殖できるようになったのですね。多分最初にクローラを出産した女性はネットで不用意にマリアであるとか、マリアを冒涜するなとか、シミスカイウォーかーとか、おいパルパティーン全世界で妊娠させまくるなとか書かれたんだと思います。

クローラについては周辺の状況が濃すぎてクローラであるからという理由が薄くなっていましたが、世間の手垢にまみれた我々からみたら未来の技術ってとても良いと思います。マジで。レーザー銃は雑に扱ってほしいし、ボトムズは乗り捨ててほしいんですよ。彼らにとってはただの手段であり道具ですから。

もしかして、そういう点ではこの小説はスターウォーズなのかもしれない。おはなしの展開がぱっと見100パーセントじゃないが、よくよく考えると考察の余地が残る感じはまさにスターウォーズ。

そして私… 続きを読む

★★ Very Good!!

ブラーファという近未来に出てきそうなシステムが普通に利用されてる世界で、公開されてる四話までではそのシステムを使っていく事での不具合がでるかも?という部分が謎として提示されている。
設定が多少複雑だが故にこの先どんな展開になるのか?といった事がとても気になる作品でした。
前回の作品もそうだったのですが、百合としては両方の女性のキャラクターが個性的すぎて女性同士の会話としては固く感じられてしまうのが少し気になります。でも逆に知性的な女性が好みで少しツンデレ的な知的な萌えが好みの方には合うのかなと思います。
題材的にこの先どのような展開になっていくのかとても気になります。今後の公開も応援しつつ楽しみに待ってます。