永遠も半ばまで来て ―同じ夏を繰り返す僕と未来から来たキミ―

群像劇フェチ(末下浩志)

プロローグ 

001 また夏が来る

 真っ赤な太陽が島全体を照らしている。顔をあげて直視したら、網膜が焼けてしまいそうだった。汗が滝のように噴き出してくる。

 だけど、僕は夏という季節が嫌いではなかった。


「……暑い」


 今年も夏を迎えられることに、こうして一年間しっかりと生きることができることが嬉しかった。


 少し前――僕は夏に囚われていた。

 ずっと同じ日を何回も繰り返す、輪廻の中心にいたのだ。

 だけど、今の僕は今日を精一杯生きていけば、輝く明日を迎えることができる。


 それもこれも、全部――が僕を守ってくれていたから。


 きっと、キミがいなければ今も僕は同じ夏の日をループしていただろう。

 あの頃のことを鮮明に思い出すことはできないけれど、懐かしいと思える。


「……もうこんな時間か」


 時計を見ると朝の六時だった。あと少しで島民たちが、夏休みの恒例行事であるラジオ体操が始まる。それが終わったらに会いに行こう。


 僕は立ち上がり、目的の場所へとゆっくり歩き出す。カメラや本などを詰め込んだバッグを肩にかけて。


 少しずつ過去を思い返してみる――僕が繰り返した夏の日々を。そして、どのようにしてあの輪廻から抜け出したのかを……


 


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